本日はLancet Neurology April 2012から.
脳出血急性期に造影CTをおこなって,スポットサインがあったら血腫が大きくなる.という話.
Prediction of haematoma growth and outcome in patients with intracerebral haemorrhage using the CT-angiography spot sign (PREDICT): a prospective observational study
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(12)70038-8/fulltext
脳出血急性期に造影CTをおこなって,スポットサインがあったら血腫が大きくなる.という話.
Prediction of haematoma growth and outcome in patients with intracerebral haemorrhage using the CT-angiography spot sign (PREDICT): a prospective observational study
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(12)70038-8/fulltext
PREDICT (predicting haematoma growth and outcome in intracerebral haemorrhage using contrast bolus CT)研究は,多施設共同,前向き観察研究です.
対象は18歳以上で,発症6時間以内で,100ml以内の脳出血患者.
出血の容積は,縦×横×高さ÷2でやります.
除外患者は,以下の通り.
1. 腎機能障害患者
2. もともとの生活レベルがやや人に頼らざるを得ない状況またはそれより悪い人(mRS4以上)
3. 二次性脳脳出血(腫瘍,脳動静脈奇形など)
4. 深昏睡
5. 癌などで生命予後が悪い人
手術するかどうかもしくは第7因子を静注するかどうかは,もちろん主治医裁量ですが,経過観察CTまでに手術をした患者は除外されています.
出血の増大の定義は,経過観察のCTで6mlもしくは33%以上の以上の血腫増大,です.
結果・・・・・・
解析されたのはスポットサイン陽性61人とスポットサイン陰性167人.
発症からCT検査までの時間は両群で差はありませんが(p = 0.189),やや陽性群で早い傾向です.
基本項目で差があったのは,入院時の神経症状でした.陽性群で悪かったです(NIHSS score 17 vs 11, p < 0.001).また,ベースラインの血腫量も陽性群で多かったです(19.9ml vs 10.0ml, p<0.001).
単変量解析では,抗凝固薬を内服していた人,神経症状が悪い人(NIHSS score >=18),発症から90分以内の人,そしてスポットサイン陽性の人が,血腫量増大(6%または33%以上の増大)に関与していました.
そして,多変量解析をすると,スポットサイン陽性だけが血腫量増大に関与していました(Odds ratio 2.3, 95%信頼区間 1.6-3.1).
この内容はもともと単施設の研究で得られていたものでしたが,多施設にしても結果は変わらず,スポットサインを目印にした,治療方針決定が今後なされるようになるでしょう.
当院でも,積極的に造影CTを行い,スポットサインの有無を検討しています.
ただ,いつも気になるのは,発症して数時間で当院に来院し,すぐに画像検査に行くので,それまでの病気の状況,ここでは腎機能障害の有無について,確実に知ることができることはできない人に,はたして造影剤を使っていいのだろうか?ということです.
残念ながら,造影剤使って腎不全が悪化した人がいたかどうかは書いていませんでした(いなかったのでしょうが).
わたしが,アメリカにいた時,
「造影剤の同意書?なにそれ.そんなのないよ」
訴訟社会のアメリカなのに,です.
日本はアメリカの真似しすぎて,アメリカよりオーバーになっているのかもしれません.
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