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10月, 2015の投稿を表示しています

西彼杵地区脳卒中病診連携セミナー

安永脳神経外科院長先生の取り計らいで、西彼杵地区で脳卒中の話をさせていただきました。 脳卒中ガイドライン2015の変更点を元に、脳神経内科の視点から私が話をさせていただき、 脳神経外科の立場から、脳神経外科の出雲先生が話をされました。 私からは、新規抗凝固薬(または非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬: Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants (NOAC) )のことを中心に話しました。 新規抗凝固薬は、心房細動患者の塞栓症予防において、グレードBの推奨度になりました。 また、これまでCHADS2 スコア(C: うっ血性心不全=1, H: 高血圧=1, A: 年齢=1, D: 糖尿病, S: 脳梗塞もしくは一過性脳虚血発作=2)が、1点のときは ワルファリン でした。 今回は、NOACになりました。(グレードB) 当院におけるCHADS2 スコア0もしくは1点の人は、27%もいます。 多いと思います。 予後は、CHADS2スコア2-6の人よりもいいようですが、 来院時の重症度は変わりませんでした。 若い、心房細動あり、の脳梗塞患者さん が来院したとしたら、 CHADS2スコア2-6の人と比べて、 来院時の重症度は、そんなに低くなかったりします。 死亡は、変わりなかったりします。 CHADS2スコア0の方。 抗凝固療法を考えるのは、 心筋症がある人、女性、血管疾患を有する。グレードC1 (考慮していいが、十分な科学的根拠はない) 危険因子のない65歳未満。これもグレードC1 どっちもグレードC1。 どういうこと?と思いますが、判断は難しい、ということでしょうか。 ケースバイケースで考えることになりますが、65歳未満は難しいなという印象です。 脳出血 急性期脳出血患者の血圧管理は180mmHg未満から140mmHg未満になりました。(グレードC1) 急性期のニカルジピン使用ができるようになりました。(グレードC1) 一次予防としての高血圧 後期高齢者の血圧管理目標が150/90mmHg未満になりま

ダビガトランの中和剤。アメリカFDAが認可

Non vitamin K antagonist oral anticoagulant: NOACの中で最初に上市されたダビガトランに対する中和剤(イダルシズマブ:Idarucizumab (Praxbind))が、アメリカFDAに認可されました。 FDA approves Praxbind, the first reversal agent for the anticoagulant Pradaxa 認可された根拠となった研究は2つ。 283人の健康な人にダビガトランを内服してもらい、イダルシズマブを投与。 少なくとも24時間以内に抗凝固作用が消失。 the RE-VERSE AD trial. 123人のダビガトラン内服患者。 コントロール不能な出血や緊急手術のためにイダルシズマブ投与。 89%の患者は4時間以内にダビガトランの抗凝固効果消失。 副作用は、低カリウム血症、混乱、便秘、発熱、肺炎。 ただし、製品のラベルには 「可能なかぎり早期に抗凝固療法を再開すること」 と記載。 この中和剤が必要になる患者はそこまで多くないかもしれません。 なぜなら、ほとんどの症例は、対症療法で対処可能。 しかし、生命の危機に瀕するような出血には、常に 止血対応 抗凝固剤効果の中和 出血源への対応 が重要。 ダビガトラン内服患者では、腎機能が悪化している状態での内服(何らかの拍子での急性腎不全や年齢とともに徐々に悪化した腎不全など)が、出血性合併症を引き起こす可能性があり、そういう時にイダルシズマブは重要でしょう。 NOACが使えるようになって、10年、20年となると、内服継続している患者も10年、20年となってきます。 加齢に伴う腎機能の悪化。 NOAC内服患者において、特に注意が必要です。

脳血管内治療の適応拡大は可能か?

脳血管内治療は発症6時間以内の脳主幹動脈閉塞に対して有効。 次のステップは、画像結果を元に、発症6時間以上経過した脳梗塞患者さんに適応を拡大できるのか、ということになります。 Marilyn Rymer, MD, vice president of neuroscience at the University of Kansas Hospital in Kansas City のコメントです。 カンザス州といえば、カンザスミート。 ※書き間違い:カンザスビーフ。。。あまり変わりませんが。 ※再生マークが付いてますが、再生しません。これはスクリーンショットを貼り付けただけです。 すいません。 その背景として。 脳血管内治療で有効な結果を見出した研究は、脳主幹動脈閉塞をCTA, MRA または、脳血管造影で明らかにしました。 MR CLEAN, ESCAPE, SWIFT PRIME, REVASCATは、ASPECTS score > 6(CT評価)の患者で特に有効。 inclusion criteria 例: SWIFT PRIME: 虚血巣コア < 50cc, 80% mismatch (ratio >1.8) EXTEND-IA: 虚血巣コア < 70cc, 20% mismatch (ratio >1.2) 意外と画像 inclusion criteriaは違います。 SWIFT-PRIMEのほうが軽症患者を対象とし、 EXTEND-IAのほうが、より重症患者までを対象としたことがわかります。 ちなみに、mistmatch ratioをどうするかもまだまだ疑問が多いところ。 正直、私は解析していましたが、苦手な分野です。 評価する際に、manualでするのか、ソフトウェアでautomatic (EXTEND-IAはRAPID, noncommercial research version, Stanford Universityを使っています。)にするのか。 70cc, mismatch ratio > 1.2としたEXTEND-IAのほうが、これまでよく利用される数字で、一般的だと私は思います。 しかし、興味深いことに、厳し目の患者さんも登録した

脳卒中センター開設4周年。

2011年10月1日に開設した脳卒中センターは2015年10月1日で・・・、えーっと、 いち、に、・・・ 4周年を迎え、5年目に突入しました。 何周年か忘れるくらいなので、お祝い会とか、花束とか、 準備するような細やかな人間はいません。 2011年、現脳神経内科教授(当時救命救急センター准教授)と2人でスタートしました。 時は勝手に流れて、 いつのまにか、 1人 そして今年は、2人脳卒中を専門にみる脳神経内科医がスタッフとして加わってくれました。 脳神経外科のサポートも頂いて、脳神経内科医として脳卒中センターを運営してきました。 2012年度脳卒中センター 脳卒中センター開設3周年 あー、あれから4年も経ったのかぁ、 と、特に感慨深いものはないです。 過去は過去。もう、ある程度どうでもいいです。 ここから。 更に言うなら、今、を大切に。 今、この瞬間をどれだけ、密度濃く、注意深く、しなやかに、過ごすか。 それだけを考えて、 うつら、うつら、居眠りを交えながら、このブログを書いているわけです。