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コロナ禍で、脳卒中患者さん、減ってるような気がしていましたが、これ、私だけが思っていたわけじゃないようです。

5月から6月、脳卒中患者さんが少なくて、もうどうしようかと思っていました。 患者さんが少ないことはいいことです。 しかし、発症した患者さんがちゃんと搬送されていないのではないか? このままだと、患者さんもそうですが、研修医や臨床実習の学生にも良くないなぁ などと思っていました。 他の脳卒中を診療する病院ではどうなんだろう。。。 これ、世界目線でも見てみると、 やっぱり、減っている! らしいんです。 アメリカオハイオ州北西部の患者データで、 緊急事態宣言が出てから、 脳卒中患者さんも、脳卒中telemedicineも、tPAも 有意に減少していました(脳血栓回収術は有意差なし。) Uchino et al. Stroke 2020 Decline in Stroke Presentations During COVID-19 Surge 内野先生は、私のクリーブランドクリニック留学時の上司です。 長くアメリカにいるので、アメリカ人気質と日本人気質を両方持つ、尊敬する人です。 Uchino et al. Stroke 2020改変 これは、オハイオ州だけではなく、ブラジルでもドイツでも同様の報告がなされています。 Diegoli et al. Stroke 2020 Decrease in Hospital Admissions for Transient Ischemic Attack, Mild, and Moderate Stroke During the COVID-19 Era Hoyer et al. Stroke 2020 Acute Stroke in Times of the COVID-19 Pandemic A Multicenter Study 感染を恐れ、軽症脳梗塞が受診していない可能性が考えられています。 Social distancingやStay-at-home、Telework が脳卒中の発症率を減らしていたりして、、、。 そんなことは、ない、とは思いますが、、、。 SARSやMERSのときも同じように脳卒中の減少傾向があったそうです。 しばらく、COVID-19問題は続きます。 患者さんの来院は増えるのだろうか。 今は、デスクワークや、未来に備える地道な仕事をしっかりこなしておこう。

脳卒中センター開設8周年。

2011年10月1日に脳卒中センターが開設されてから8年経ちました。 おめでとうございます。 ありがとうございます。 個人的な話。 2011年3月19日クリーブランドでの留学のため、日本を発ちました。 ちょうど震災の年でした。 成田空港は省電力のため、薄暗く、 アメリカのトランジットの空港で、数人のアメリカ人から、 「まあ、日本から?地震は大変だったわね。あなたは大丈夫だったの?」 的な言葉を多くもらったのをよく覚えています。 本当は1年以上の期間留学する予定でしたが、脳卒中センター開設にあわせて早期帰国をする事になりました。 もっとアメリカで勉強したかったんですけど、そういう運命だったのだろうと思っています。 それから、脳卒中をする内科医は、2人から6人になりました。 思ったより増えてはいませんけど、 まあ、それも運命というか、そんなもんなんでしょう。 脳卒中を見る内科医を取り巻く問題はありますが、 現場での努力が足りなかったということでしょう。 魅力を伝える そのためには自分が魅力を感じていなければなりません。 ついつい、日常の診療に、忙しさにかまけて、新しい展開への挑戦が足りていない。 「いつもの」仕事に追われて、多忙にしていると、なんだか 「仕事したな!」 っていう感じになりますけど、 なんだか違う。 「多忙は怠惰の隠れみの」 だそうです。 あー、納得。 そうだったのか。なんか、生産性がないなあと思っていました。 新しい展開にチャレンジしよう。 脳卒中を見る内科医の魅力をひろげよう。 科研費締切まであと2週間をきりました。

発症時間が不明でもMRI画像次第でtPA静注療法が可能に。

tPA静注療法は脳梗塞発症から4.5時間以内の患者に施行できる点滴治療です。 脳梗塞急性期治療だけでなく、脳梗塞患者の治療・ケア全体においても、大きな転換点となった治療です。 その適応が拡大というニュース。 脳卒中学会から、 静注血栓溶解(rt-PA)療法適正使用指針 第三版が発表されました。 日本脳卒中学会HPより その中で、 発症時間不明でも、画像次第では、tPA静注療法を行うことが検討可能になりました。 具体的に、どういうことかと言うと、 ------------------------------------ 例: 前日の21時に普段どおり就寝。 翌朝6時起床時から、すでに右麻痺あり。 (21時から6時の間に発症しているが、発症時間を断定することは不可能。つまり、「発症時間不明」) 8時に救急外来に来院。 8時15分、頭部MRI撮影。拡散強調画像(DWI)で高信号が出現しているが、FLAIRではまだ高信号になっていない。 (DWI +/FLAIR -) tPA静注療法施行を検討可能! という流れ。 ------------------------------------- 今までは、発症時間不明のときは、tPA静注療法が施行できませんでした。 しかし2018年に、WAKE-UP trial WAKE-UP trialのメインの結果。発症時間不明、発見から4.5時間以内の 患者を二重盲検でtPA群とplacebo群に分け、3ヶ月後予後を評価 tPA群がPlacebo群より3ヶ月後予後が良好、という結果に。 MRI-Guided Thrombolysis for Stroke with Unknown Time of Onset Thomalla et al. NEJM 2018. からポジティブな結果が出て、世界各地で進んでいた同様の研究も、その結果をもとに、研究を中止したほどでした。 日本では、対照群はPlaceboではなかったものの、同様のTHAWS trialが国立循環器病研究センター中心に行われており、2018年7月に早期終了の運びとなりました。 そして、2019年3月21日から23日に開催された脳卒中学会を機に、tPA静注療法の拡大が発表されたというわ...

脳卒中・循環器病対策基本法が全会一致で可決成立

脳卒中・循環器病対策基本法が12月10日衆議院本会議で、全会一致で可決、成立しました。 2009年に脳卒中対策基本法が提唱され、 政権が替わったり、 未曾有の東日本大震災があったり、 法案自体の行く末は、そのときどきで紆余曲折ありましたが、 2018年「脳卒中・循環器病対策基本法」という形で成立しました。 この法案可決にご尽力された先生方は、ご高名な方ばかりなので、 「ご尽力に感謝いたします」 と私が言っても、「いやいや、末端のあんたが、変でしょ」、感が半端ない いや、ぱねー、ので、 そんなことは言わず、 私達世代は、その恩恵、利益を、未来を見据え、しっかり国民に還元していかなくてはならない、と身が引き締まる思いが、 今、少ししています。 という、気持ち。妥当。 私が、考える、この「脳循対策基本法」(の略でどうでしょう。)の最大の目標は、 「健康寿命の延伸」 脳卒中は日本人の死因の第三位ですが、 1. がん、2. 心疾患、3 脳血管疾患、4 老衰、5、肺炎、6 不慮の事故、7 自殺 要介護疾患の第一位です。圧倒的に。 要介護5はいわゆる「寝たきり状態」 現状把握が重要ですので、 「全例登録」 が行われると大きいと思います。 2006年がん対策基本法制定後に、「がん登録」が法制化され、2016年より全例登録されるようになっています。 それが、がん患者さんの状態や、地域ごとのがん診療の状態、それらの経年経過の把握につながり、 どこに力を入れれば、より良いがん診療を国民に提供できるか、の理解に繋がります。 しかし、「じゃぁ、OK、やりましょう」とすぐにならないのは、準備や、お金の問題もありますが、プライバシーの問題もあります。 個人の病気のことも、個人のプライバシーです。 大雑把な議論では、よろしくないわけです。 が、このことについて、国民の理解を得ることは、そう難しくないような気がしますので、ぜひ早急に進めていきたい部分だと、一脳卒中診療医としては思います。 脳卒中、循環器病診療において、もっとも手間とお金がかかるところは、どの部分でしょうか? 予防? 急性期治療? 回復期・維...

第44回総合内科専門医試験、受かってたよ。

良かったです。 勉強を頑張ったかいがありました。 第44回総合内科専門医試験、受けます。試験勉強の話 第44回総合内科専門医認定試験、受けます。その背景の話。 これで、どうなるかというと・・・ 別にどうなることはありません。 今まで通り、患者さんに、一医師として、内科医として、向き合っていきます。 今後、新内科専門医制度における、研修医指導に、この肩書が一役買う、 というくらいだと思っています。 わたしたち、脳神経内科のグループが、病院の研修医指導に貢献できる点においては重要です。 なんて、冷静に書いてますけど。 夕方、部屋に戻って、机の上に、適当に置かれていた、合否通知書。 封筒を開けるのに、若干手が震えて、うまく開けられなかった、 心、おちょこドクターな私でした。

第44回総合内科専門医認定試験、受けます。その背景の話。

2016年9月11日。 試験受けます。 試験勉強しています。 試験結果が出て、受かってから、 「こんな勉強して、私は受かりました」 とブログにしたほうが、内科専門医試験を今後受ける人にとって有意義だし、 自分としても、 「こんなギリギリで勉強したけど、受かった、ゼ」 的なブログにできるので、格好がつきます。 落ちたら、誰にも言わなければいいのです。 が、試験前にブログにします。 なんとなく。 合格率6割ぐらい? なので、落ちるかもしれませんけど、落ちたところで、 別に大した傷がつくような玉でもないので。 ところで、 なぜ、内科専門医を取らないといけないかというと、 実は、個人的によくわかっていません。 すいません。 ただ、来年開始予定だったのに、土俵際ぎりぎりの7月下旬に、激うっちゃりで、延期になった 「新内科専門医制度」 が理由。 内科専門医を持っている人が施設にいないと、新内科専門医を目指す内科医を育てられないから。 専門医を持っている人数の問題など、いろいろありますが、 施設や医局としては、専門医を持っている人が多いほうが、実務的にも立場的にも、有益である。 ということだと思います。 細かいことは、よくわかりませんが、雰囲気的に、内科専門医をとったほうが良さそうなので、受けることにしました。 ただし、この「新内科専門医制度」 土俵際も、際。ごちゃごちゃっ、としてうっちゃられたのにはそれ相応の理由もあるわけです。 新内科専門医制度に切り替わる、研修医にすると、この制度は、 「内科専門医をとるハードルが高すぎ。」さらに、「そこから自分の専門(私ならば神経内科専門医、脳卒中専門医)になるのに、時間かかりすぎ。」 なのです。 多くの人は、社会人として成長するのに、20歳代の勢いを使って、30歳代でためて、40歳代に花開く。 ような気がします。 20歳代に、本気になって、責任をもって、仕事をしたことが、少なくとも私の今の糧です。 私が、今、ちゃんと仕事しているかどうかは、自分ではよくわかりませんけど。 もちろん、学びを得るのに年齢なんて関係ない。 のですが、若い時の集中力をいま発揮しろ、と言われると、 「いや、無理っす」...

ジョーのようになっちゃダメ。-脳卒中専門医と燃え尽き症候群-

「燃えたよ、燃え尽きた、真っ白にな・・・」 ええ、それは、寿命を全うして、棺桶に入るときに言うべき言葉です。 人生の途中で言っちゃダメ。 時には、ジョーに殴られて、鼻からうどんびろ~んのマンモス西みたいになることも大事。 減量苦で、夜中こっそり屋台のうどんを2杯食べた「うどん野郎」マンモス西さん。 そんなこともあるよね。 すいません。漫画好きなので。 今回は、気になるニュースがありましたので、その話。 脳卒中専門医は4割が燃え尽き症候群 (日本の話) ニュースになっているので、話題にせざるを得ないかなぁと勝手に考えて、ブログに取り上げました。 ちなみに出典はこちらです。 Cross-Sectional Survey of Workload and Burnout Among Japanese Physicians Working in Stroke Care The Nationwide Survey of Acute Stroke Care Capacity for Proper Designation of Comprehensive Stroke Center in Japan (J-ASPECT) Study 内容は、2564人(11211人のうち、回答があって、脳卒中診療をしている医師)の回答を検討した。 燃え尽き症候群はMaslach Burnout Inventory General Survey (MBI-GS) scoreで評価した(内容は割愛)。 燃え尽き症候群は、 脳卒中専門医:41.1%、重篤な燃え尽き21.8% 会社員:27.1%(P<0.001)、重篤な燃え尽き12.2%(P=0.004) 公務員:28.8%(P<0.001)、重篤な燃え尽き17.8%(P=0.0268) 意外と公務員も多いなぁ。 このデータ、いろいろな切り取り方があります。 燃え尽き多い。まずい。 と考えるのが一般的でしょう。 だから、サポートお願いします。 という話は、他の人達に頑張ってもらうとして、 私は、へそ曲がりなので、少し斜めからみてみます。 そもそも、燃え尽き症候群の評価尺度MBI-GSをみてみると、 「一日仕事を終えると疲れ果ててぐったりすることが...

第九回脳卒中市民公開講座がありました

第九回長崎脳卒中市民公開講座 来週から始まる脳卒中週間に先立って行われました。 私からは「脳卒中の処方箋」と銘打って,高血圧,高コレステロール血症,心房細動の薬のこと,食事のことを話させていただきました. 脳神経外科医師からは,脳卒中の最新の治療について,情報提供. 脳卒中専門看護師からは,予防のために日ごろの生活を見直すことの重要性について,お話しさせていただきました. 救急救命士から,長崎における救急搬送の現状について. 最後に,脳神経外科教授から,「長崎よもやま話」.これが,一番面白かったという,おちがつきましたが,つつがなく終了いたしました. ご参加いただいた市民の皆様,ありがとうございました. もっともっと,なんどもなんども脳卒中について情報提供しなければならないと考えております. ということで,11月にも長崎市立図書館を利用して,脳卒中の情報提供をさせていただく予定になっています. 長崎市役所の医療担当者の方から,依頼をいただき,決まったことです. そういえば,今日NHKスペシャルで「病の起源 -脳卒中-」があっていたのでした. 21時から. 今,22時だし. 私のように見逃した皆様,再放送を待ちましょう. 脳卒中は,なりたくない病気の一つであることは間違いないと思います. ならないようにすること. これが最も大切. しかし,なってしまうことはあります. 次を起こさない. これもまた大切です. 日ごろの生活を,私も見直そうと思った次第でした. 皆様も,日ごろの食生活や運動について見直してみてはいかがでしょうか. それでは,帰宅します. 本日もお仕事だった皆様. おつかれさまでした. 今日は,一人なので,これからコンビニ弁当です. まぁ,そういうこともあります.

風疹予防接種を受けましょう.

風疹今年に入って6725人だそうです(5月12日まで). 去年の36倍. 曙と2,3か月乳幼児の差があります. 体重なら. 「20歳代から40歳代の男性」と「20歳代の女性」の罹患率が高いです. 25歳から34歳の人は風疹ワクチンを受けていない可能性が高いそうです. 制度変更の影響で. 厳密に言うと私は入らないのですが,先日,ワクチン接種しました. 職場は妙齢の女性が多いので. 私が風疹に罹患して,それが感染したら,もう・・・・大変. と,妻に指摘されて,ワクチン接種しました. はい,わたしは,ボケーっとしているのでそれに自分で気付くわけありません. 同世代の皆さん,まずは抗体価をチェックして,必要ならワクチン接種しましょう. 長崎は助成がまだなので,1万円弱しますが・・・・.

脳卒中市民公開講座があります.

5月25日土曜日メルカつきまちで脳卒中市民公開講座があります. 14時から16時まで. 入場無料です. 脳卒中のことについて,少しでも情報提供できればと考えております. 脳卒中にならないために,再発しないために. そんな感じで話ができればと思っています. お話しさせていただくのは, 脳卒中内科医,脳神経外科医,脳卒中専門看護師,救命救急士 の4名です. 質問時間もございますので,ご質問がある方,どうぞよろしくお願いします. 来年こそは,栄養士さんに話をしてもらおう. 今年は,私から少し食事のことを.

東日本大震災後,津波の強かった地域は脳卒中が増えたそうです.

過去の同地域における脳卒中発症データと比べています. Omama S, et al "Influence of the Great East Japan earthquake and tsunami 2011 on occurrence of cerebrovascular diseases in Iwate, Japan" Stroke 2013 ●津波の強かった地域(high flood area)に住む 「75歳以上の男性」 は, 最初の4週間で 脳梗塞の発生率が2.34倍 (※1)に増えていました. ●男性も女性も合わせると1.20倍(※2)でした. ※1: 95%信頼区間 1.34 - 3.34, P<0.001 ※2: 95%信頼区間 1.00 - 1.40, P=0.028 男性は脳卒中を発症しやすかった. その証拠に, ●「男性」は 脳梗塞,脳出血,くも膜下出血すべてを合わせた発症率が1.51倍(P<0.001) でした. 興味深いことに,これらのデータは 2~4カ月後には,過去のデータと変わらない数値に戻っていました. 津波の影響が軽度,もしくはなかった地域ではみられない傾向でした. 医療(血圧管理,内服)が滞ったこと,水分摂取が滞ったこと,などが問題だったのでしょう. あの,未曾有の出来事は,私たちの目の前で起こりました. このまとめられたデータは,あのような状況下でも,できることを粛々とこなす,日本人の非凡さが示されているような気が,私はします. また,脳卒中が最初の1か月から増えるのならば,その時に,ちゃんと脳卒中を診ることができる医師を派遣しないといけないということですね. 勉強になりました. 私たちは,自由であり,自由でありません. 多くの医師が,地震後に,その地域へ入りました. もっと多くの医師は,その地域へ入らず,自分の仕事を継続していました. 私もそうでした. あの場所に,足を踏み入れていない私は,あのできごとの本質を知らないまま,医師を続けていきます.

ワーファリンの中和剤.アメリカで保険適応に.

ワーファリンとは,血液が固まりにくくなる薬です. 心房細動,心臓の弁を手術した人,そのほか血が固まりやすくなる病気を持っている人が内服しています. 当院では,というか日本の他のたくさんの病院も,ワーファリン内服中の患者で,脳出血や,外傷などにより重篤な状態になった時は,第Ⅸ因子複合体という薬を使っています. これでワーファリンの効果は10分から20分ぐらいでほぼ内服していない状態になります. でも,保険適応「外」なのです. 従いまして,病院が全額負担しています. ん十万します. 早く保険適応になって欲しい薬の一つです. そんな日本の現状にあって,アメリカでは本日ワーファリン内服中の出血性病変に対して,中和剤が保険適応になったという良いニュースです. FDAのプレスニュース http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm350026.htm?source=govdelivery Kcentra 凝固因子が4つ入っています. Ⅱ,Ⅸ,Ⅶ,Ⅹ=に,く,なっ,とう で,学生の時に覚えました. ワーファリンが抑える4つのポイント. その凝固因子を補充できます. また,新規抗凝固薬である,ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバンに対しても有効である可能性が高いです. 副作用で多いものは,頭痛,嘔気嘔吐,関節痛,低血圧です. 重篤な副作用は,もちろん血栓傾向です.脳梗塞,肺塞栓,深部静脈血栓. 今,日本で使っている薬でもいいから,日本でも保険適応になるべき薬だと思います.

tPA点滴治療からの血管内カテーテル治療

昨日は日曜日. tPA点滴治療により再開通が得られなかったので,カテーテルによる血管内治療で追加治療を行いました. 治療は,比較的うまくいきました. 後は,良くなることを祈るのみ. 日曜日の夜ではありましたが,脳卒中内科医の私や脳神経外科の血管内治療医が集合して,共同で治療を行っています. なんだかんだいって,医療の最後の砦は,結局のところ,われわれ医療者であります. 病院とか,医療システムとか,大きなくくりではなく,その中の,一個人が砦です. そして,誤解を恐れずに言えば,医療者の中でも「医師」が最も重要です. もちろん,看護師も,放射線技師も,検査技師も,いなかったら医療は成り立ちません. しかし,それは医師がいてこそです. 医師が,医療の砦です. われわれ,医師はそれを肝に銘じて,リーダーとして,態度で治療結果で示さなければなりません. ときどき,しんどいですが. とりあえず,明日に備えて,おやすみなさい.

Time is brain

血流がない脳組織は・・・, 毎分1900万の神経細胞が死んじゃう ➡そこには1億4千万の神経がくっついていて ➡7.5マイル(12kmぐらい)の神経線維が影響を受ける とRussman先生が言っています. なんとなく,やばい感じは伝わりますが,イメージできるようなできないような. このRussman先生はCleveland Clinic,Cerebrovascular Centerって所属がなっていらっしゃいますが,お会いしたことないので,新しい先生ですかね.偉い先生みたいですが. 大事なのは,「血流障害による脳障害を防ぐには・・・急げ!」ってことです. ということで,American Stroke Associationから最新の急性期脳梗塞治療ガイドラインが出されました. Guidelines for the Early Management of Patients with Acute Ischemic Stroke そのトピックは, 1 tPA静注療法は来院して60分以内にできるようにしなければならない. 2 以前は施行できなかった,軽症脳梗塞(NIHSS score 2とか),急激な改善,最近の大手術,最近の虚血性心疾患のある患者にもtPA静注療法を行ってよい. 3 地域で治療すること --comprehensive stroke center: 24時間365日対応.何でもできる --primary stroke center:24時間365日対応.脳梗塞に対する対応はできる. --acute stroke-ready hospital:ある程度のことはできる. 3はアメリカ的な話だと私は思います.日本には直接当てはまらない. アメリカは土地が広いので,脳卒中を完全にすべて治療できる病院までたどり着くのに,相当な時間がかかります. したがって,地域の病院にかかって,tPAを投与して,転送して,血管内治療.という形が理にかなっています. 実際,Cleveland Clinicではそんな患者さんがたくさんいらっしゃいました. telestroke(地域の病院に来院した患者を,専門の病院の先生がon-lineで診察して,画像も確認して,治療(主にtPA投与)を決める)はそれを補...

研修医に脳卒中の醍醐味を教えることができているのか?

私は. むずかしいです.指導. 自分が学んできたように指導する. これって,正しいような,正しくないような. 私は,厳しく怒られながら(ときにカテ室で軽く肘鉄やひざ蹴りをくらったり(不潔にならないように),オペ室でチョップをくらったり),指導を受けた先生方にはとても感謝しています. でも,この厳しいのが嫌な人もいるのかもなぁとか考えちゃいます. が,厳しくしちゃってます.結局. 人のこころはわかりません. ボンクラの私は,一様に,「うらー」って怒ったりしながら指導して, いまいちだなぁ,と反省したりして,日々を過ごしています. 指導法で,細かいテクニックを言い出すときりがありませんが, これは間違っていない,と断言できる方法論があります. 私の大好きな,15歳ぐらい年上なのに,岡山時代に同期だった福井の先生が好きな山本五十六さんの言葉 「やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,褒めてやらねば人は動かじ」 どこかが抜けたりするんですよねぇ. ちゃんとしなさい,私. がんばれ.

総合内科医.今,アメリカでは・・・.

減っているそうです. 1970年代に興った総合内科医. レジデントでプライマリケアプログラムを選択した医師の90%が,専門として総合内科医を選んでいたのは過去のこと. それが現在は,20-25%だそうです. 昔が多すぎたのかな? 総合内科医は,”高齢化社会で,慢性疾患が多く,さらに保険がたくさんの人をカバーするようになっている”現代のアメリカにおいて,重要な役割を担うことは強く期待されています. したがって,この減少は大きな問題であると認識されているようです. 昨今の,日本の総合内科医ムーブメント(まであるかはわかりませんが),いつかこの問題に直面するのでしょうか. West et al. JAMA. 2012;308(21):2241-2247. doi:10.1001/jama.2012.47535. General Medicine vs Subspecialty Career Plans Among Internal Medicine Residents 方法: 2009年~2011年の内科トレーニング年間調査をチェック. 67,207人のデータから,いろいろやって,結局 51,390人+ 645人のデータをみた.細かいことは抜き. 結果: 総合内科医を選んだのは3605人 (21.5%). 内訳 --プライマリケアレジデントから562人(39.6%) --他のレジデンシーを終えた人3043人(19.9%). 一方,各内科領域の専門を最終キャリアとして選んだ人 内訳 --プライマリケアレジデントから745人(52.5%) --他のレジデンシーを終えた人10,008人(65.3%) 総合内科医を選んだ人の特徴 --女性が多い --アメリカの医学部を卒業した人が,他の国の人より多い プライマリケアレジデントの4割は総合内科医,6割は各専門領域の内科医になる. 「むしろ逆!」 って,アメリカの偉い人はつっこんでる,はず. 医師になった人って,頭が良くて,プライドも高い人が多い(先入観かな?)から,知識欲って高い人が多いかもしれません. なんでも知りたい,できたい. でも,それは不可能なのは理解しているので, 「専門を選び,それを深く知る」 というとこ...

死装束

頭に三角,経帷子(きょうかたびら). 医療は「生」を扱う仕事である以上,「死」にも直面します. 棺に入る時の格好ってどんながいいだろう. さすがに,幽霊が着るような三角頭巾の白い着物は,見かけませんが,ほとんど浴衣です. でも,自分が死ぬ時は,なんかちょっと嫌かも. 仕事をやめて,もう20年くらいたっている方が亡くなりました. 奥様が,スーツを持ってきて,着せることになりました. びしっとしてて,かっこよかったです. 現実問題,着せるのに苦労はしますが,看護師も頑張って着せてました. 自分は・・・, 白衣かな.

アピキサバンが処方可能に.ってアメリカより先なんだ.

The approval follows similar decisions by regulators in Europe, Canada, and Japan, which also cleared the oral Factor Xa inhibitor for this indication in recent weeks. Apixaban Wins Long-Awaited Nod from FDA アピキサバンはFDAのNod "うなづき"を勝ち取った.って感じですか. リンクに行けなかったらすいません. 日本でのアピキサバン(エリキュース)の承認が,アメリカより先だってことにびっくりしました. なんで,こんなに日本での承認がはやくなったのでしょうか? 日本人も含まれた研究だからでしょうか? アピキサバンの処方における注意点は, 80歳以上,Cr1.5以上,体重50kg以下 この3つの項目のうち2つ以上引っ掛かったら,減量して2.5mgって方針になるらしいです. authorityの意見で決まったことであり,エビデンスはありません. 興味がなければみなくていいリンクを以下に. アッピーもEUの表舞台に登場 静脈血栓症にアピキサバン

12月30日の救急外来

一般の方からの電話対応に追われています. 「鼻の奥が痛いのですが,ヘルペスだと脳炎になると思って,抗体検査をしてください.他の病院で断られました.」 「のどがはれているのですが,どこの病院に行けばいいですか?」 脳卒中診療においては,一次(歩ける)も二次(準緊急)も三次(緊急,重症)もないです. これ大切.すべて緊急です. しかし,他の疾患はあります. 風邪は一次. 重度の交通外傷は三次. 当院は,三次 でも,年末年始で病院が休みで,また休みも長いから,心配で,いわゆる「軽症と思われる」方からの電話が頻繁で,看護業務に差しさわりが出ています. こういう仕事もあります. 看護師がんばれ.

雲行きが怪しいぞ.機械弁へのダビガトラン.

機械弁を有する患者へのダビガトランの有効性を検討する第2相試験RE-ALIGN trialが途中で止まったそうです. 第2相試験は,有効と思われる量を決めるために少数の患者さんで検討する段階です.その後,第3相,第4相につながっていく重要なところ. Study designはこちら RE-ALIGN trial 概要 対象: 18-75歳.僧帽弁または大動脈弁の機械弁置換術後で入院中,もしくは僧帽弁機械弁置換術後3か月以上経っている. 方法: ダビガトラン処方初期量はCCRから算出して,その後はダビガトランの血中濃度が50ng/ml以上になるように調節.その範囲は150mg1日2回~300mg1日2回(300mg/day~600mg/dayってこと.多いなぁ). open label 対照: ワルファリン内服 中断したというニュース内容はこちら.見れなかったらごめんなさい. FDA Issues Pradaxa Valve Warning RE-ALIGN trailが中断されたのは, 脳卒中,心筋梗塞,弁への血栓形成がワルファリン患者よりダビガトラン患者で多かったから. また,ダビガトラン患者では,弁置換術後の出血がワルファリン患者よりも多い. もちろん,ダビガトランは生体弁の時に,使っちゃだめです.勧められていません. なんだか,新規抗凝固薬の雲行きが怪しくなってきたなぁと思うのは私だけ? RE-ALIGN trialはやりなおすのでしょうか? 機械弁:人工のもので作られている.耐久性があるが,血の塊がついてしますので,抗凝固薬の内服が必須. 生体弁:ウシ,だったかの心臓の膜を使って作ったもの.耐久性は機械弁に劣るが,血の塊がつきにくいので,抗凝固薬は最初の3-6か月のみでよい. 生体弁と抗凝固薬の継続期間の話はこちらを参照. 生体弁術後のワルファリン.3か月?6か月?それ以上?