脳血栓回収術をしていて、
血管の蛇行 (Tortuosity)ががあると、
「これは、カテーテルが上がりにくそうだ」
なんて、思うわけです。
上がりにくいだけではなくて、
1. 再開通(初回でのほぼor完全再開通)が得られにくい。
2. 術後の脳実質出血も多め。
という、国立循環器病研究センター 脳血管内科・脳神経内科 高下先生の論文。
目の付け所がすごい。
さすがです。さすがのStroke誌。
蛇行 (Tortuosity)の定義
イメージしやすいように補足しました。
頭蓋内、海綿静脈洞部の内頚動脈の蛇行 (Tortuosity)
頭蓋外、頸部内頚動脈の蛇行 (Tortuosity) 3パターン
どっちも(頭蓋内、海綿静脈洞部 / 頭蓋外、頸部内頚動脈) 蛇行 (Tortuosity)
First pass effect (FPE 最初の血栓回収でほぼor完全再開通 (TICI 2c or 3))
少ない。
どっちも(頭蓋内、海綿静脈洞部 / 頭蓋外、頸部内頚動脈) 蛇行 (Tortuosity)
術後脳実質出血
多い
日本人の高齢の女性では、おそらくアジア以外の外国人に比べて蛇行が多いはずです。
地方で再開通療法をやっていると、都会よりも高齢者が多くて、予後が悪いなぁと思っています。
ただ、今回の検討では3ヶ月後の良好な予後、死亡には蛇行 (Tortuosity)は大きく関与していませんでした。全体的に高齢者が多かったからでしょうか(蛇行群 80歳、非蛇行群 77歳)
また、蛇行 (Tortuosity)のある患者さんに対する血栓回収のやり方で (ステント回収only, 吸引only, ステントと吸引combined)で差はありませんでした。
分節型のステントがいいかも、と考察で引用されていました。
Kaneko et al. J Neurointerv Surg 2018
すばらしい論文でした。
勉強になりました
コメント
コメントを投稿