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ハイムリック法、実際やった人の話。

ハイムリック法とは、 気管に食べ物などをつまらせて、呼吸ができなくなった人に対して行う異物(食べ物など)除去の方法です。 気管に異物を詰まらせた人の後ろにまわり、両手を前に回して、みぞ落ちあたりで組み、「ぐっ」と、みぞおちを圧迫します。それにより、異物が口から「ぽん」と 出てくるのか? といつも疑問でした。 ICLS, JMECCのインストラクターで指導しながらも、 半信半疑でした。 でも、 出てきました。 院内のコーヒーショップで、コーヒーを買い、店を出ようとしたとき、右側の視界で、前傾姿勢になって、苦しそうにしているご高齢の男性がいらっしゃいました。 そのとき、チョークサイン(両手を首に当てて、苦しそうにしているサイン)、なんてしていません。 前傾姿勢で、小さく前にならえ、をしている感じ。 咳をしようとしているのですが、できず、声も漏れてきません。 ICLSとかJMECCで繰り返し、インストラクターをしてきたおかげで、特にひどくテンパることもなく、でも多少は焦りましたけど、 「後ろに回りますね」 とひと声かけて いちハイムリック、にハイムリック、(やっぱ効かないな、どうしようかな) さんハイムリック、「せー、せー(呼吸の音)」(少し息、漏れてきた?) よんハイムリック、ごハイムリックッ 「けぽ」 っとサンドイッチを噛んで塊になったものが飛び出てきました。 喋れるようになりました。そして、いつも指導している通り、 「救急外来にいきましょうか」 と、車椅子でお連れし、救急ナースと、ドクターに引き継ぎました。 ちゃんと学んでてよかった。 私の中では、小さな子供が飴玉をつまらせて、それを解除するイメージを持っていたのですが、 よく考えると、当たり前ですね。ご高齢の方など嚥下機能が低下している人に多いに決まっています。 その方も、当院の脳神経内科外来にかかっていらっしゃる、球脊髄性筋萎縮症の方でした。 嚥下機能低下がある患者さんを多く診療する、私達脳神経内科医は、必ず、やり方を知っておくべき手技ですね。 そう確信しました。

救急隊に脳卒中患者のその後をお伝えする、そういう会を行いました。

救急隊の仕事は大変です。 対応しなくてはいけない傷病の種類が多いです。 というか、なんでもあります。 脳卒中もあれば、心筋梗塞もある。 やけどもあれば、交通事故も、災害もある。 なんでもある。 それでも、 というか、 だからこそ、 各専門分野の医師と勉強会などを通じて時々コミュニケーションをとることは、救急隊の皆さんの、精神的サポートになると思っています。 各患者さんのフィードバックと 医師と救急隊のface to faceのコミュニケーション。 このつながりが、つまるところ、市民へよりよい医療を提供することにつながっていく。 今回は、救急隊のみなさんが、搬送して、その後どうなったか気なった患者さんを挙げていただき、その後の経過を提示し、ディスカッションしました。 どこからも、お給料なんて出ないけど、1時間、一緒に考えました。 次回も検討いたします。 より良い会にしたいので、救急隊のニーズに応えていきたいと思います。 なかなか、きれいな、並び、です。

脳卒中学会総会でスタッフが少ない中、

全失語(言葉が離せない、理解できない)、右完全麻痺、の患者さんが来院されました。 発症時間が不明で、tPA静注療法の適応はありません。 脳血管内治療医が少ない中、脳神経外科のF先生と脳内科の私で治療を施行しました。 Solitaire (ソリティア) を使って、血栓は回収できて、閉塞部の完全再開通が得られたのですが、 血栓を回収する途中で、一部が血栓回収器具からはがれて、ほかの血管を閉塞させてしまいました。 その部分の再開通も狙いましたが、血管の曲りが急で、カテーテルが入らず、断念しました。 いつも、うまくいくばかりではないわけです。 あとは、患者さんの経過をみていくしかありませんが、 側副血行路の雰囲気から、そう悪いことは起きないと信じています。

脳梗塞入院中の心筋梗塞。

私の患者さんが、 夜中3時に、脈拍30/min台に低下。 血圧も50mmHgと、かなり危険な状態。 容態の急変。 看護師と当直の脳神経外科医が最初に対処してくれて、30分後に私が到着した時には、大体の道筋が立っているところでした。 ありがとうございました。 脳内科脳卒中センタースタッフは人数が3人しかいないので、当直は週2回しかありません。 私たちが当直でないときは、脳神経外科医が対応してくれます。 本当に、ありがたいことです。 ありがとうございました。 緊急の採血検査、心電図検査、心エコー検査で心筋梗塞が疑われました。 4時45分 ここからは、循環器内科当直の先生と、集められた循環器内科スタッフにより、冠動脈造影と血管内治療がなされました。 冠動脈主幹部に血栓がありました。 致死的状況です。 まずい。 カテーテル室に不穏な空気が、一気に立ち込めました。 実際、心室細動を何度か起こし、除細動が必要な状況でした。 循環器内科のチーム医療により、なんとか、再灌流が得られました。 カテーテル室内の不穏な空気は、徐々に消え、みな一様に安堵の表情を浮かべました。 しかしながら、心不全をきたしていますので、予断を許さないことには変わりありません。 専門的かつ集約的治療が必要ですので、脳内科から循環器内科に担当科はバトンタッチ。 心房細動により形成された心房内血栓が原因と考えられました。 実は、この方、 1週間前に脳梗塞で来院し、 tPA静注療法と脳血管内カテーテル治療を受けられた方でした。 Solitaireってソリティアなのかソリテイルなのか, この時も、致死的になりうる部分の血栓閉塞でありました。 再開通が得られ、自宅退院の予定でした。 もちろん病気になることは、大変なことで、 病気には、ならないほうがよいとは思いますが、 それでも、この方は、治療による再開通が十分に2回とも得られた、 そんな幸運といえば、幸運な方なのかもしれません。 見方によれば。 こんな夜中に、対応してくれた、 脳神経外科当直の先生、 循環器内科当直の先生、呼び出しで集まって頂いた循環器内科スタッフの皆様、 病棟の看護師、カテーテル検査につ...

Solitaireってソリティアなのかソリテイルなのか,

わかりませんが、それはどうでもよくて、 ステント型血栓回収デバイスによる脳血管内カテーテル治療です。 発症から1時間で来院されたので、tPA静注療法も行いました。 70歳台女性。 意識障害と右麻痺。 強い構音障害(呂律がまわらない)で、全く言う言葉が聞き取れません。 MRIで脳底動脈閉塞による脳幹部の梗塞。 生命の危険もあります。 詰まった血管があり、その先が造影されない。 血栓が回収されています。 良好な再開通が得られました。 今回はうまくいきました。 今回も、とも言えます。 当院の良好な再開通率は70%です。 患者さんも術直後からよくなりました。 言葉も麻痺も全く問題なくなりました。 よかった。 本日も脳神経外科と脳神経内科のコラボ治療でした。 救急ナースの活躍で、来院からtPA静注療法までの時間が36分という速さでした。 ありがとうございました。 入院後の管理もよろしくお願いします。 放射線技師のお二人もありがとうございました。 そして、脳血管内カテーテル治療の時、いつも駆け付けてくれる、医療機器メーカーの Iさん。感謝しております。ありがとうございます。 よかったよかったで、帰ろうとした23時。 もうお一方搬送されていらっしゃいました。

脳神経外科研修医、髪を刈る。

脳出血患者さんが3症例連なった日でした。 1例目は血腫量が多く、開頭血腫除去術になりました。 皮膚を切開し、骨を部分的に開け、硬膜を切開し、脳をわけて、血腫を除去します。 皮膚を切開する前に、髪の毛が邪魔なので、バリカンで刈ります。 「先生、髪刈って」 と研修医の先生に頼むと、ほとんどが一瞬躊躇します。 毛を刈る、という行為が、他の部位の治療ではなかなか無いので、。 緊急の手術なので、時間の猶予はなく、最初にあったちょっとの躊躇は消え、後は黙々と刈ります。 治療効果に直結することではありませんが、これも重要なことです。 研修医の先生にとっては、これも貴重な経験となります。

脳神経外科医に感謝です。

急性発症の左麻痺で来院された患者さん。 ワーファリン内服中でありまして、 PT-INR 5.6。 案の定、脳出血でした。 以前、脳梗塞で入院されたことがあり、その時、私が主治医で診させていただいていました。 その時から、ワーファリンを開始して、もともとかかりつけであった先生に外来経過観察をお願いしていました。 ・・・・ 脳出血のサイズは大きく、血腫除去が必要な状態でした。 プロトロンビン複合体で中和をはかり、ビタミンKも投与しました。 リバーロキサバン内服中の脳出血. 脳外科医にお願いし、内視鏡的血腫除去術が行われることとなりました。 私の患者さんだったわけですが、私の力ではどうすることも出来ない。 自分一人で、一人の患者さんを、どうこうできるなどという考えは、驕りなわけですが、エゴなわけなんですが、わかってはいますが。 とにかく、さっと現れ、手術に去っていった後ろ姿に、感謝です。 ありがとうございました。 また、緊急対応していただける麻酔科の先生にも感謝しなければなりません。 ありがとうございました。 看護師の皆さんにも、脳内科当直のH先生にも、対応してくれた研修医のK先生にも、 ありがとうございました。

とれびあ~んTREVO!!

今日も朝から脳卒中。 正確には深夜から。 tPA静注療法による症状改善が得られなかった50歳台女性。 完全左麻痺。 手足は全く動きません。 脳血管内治療専門医をお呼びして、深夜3時のハイブリット治療です。 tPAと脳血管内カテーテル治療。 脳神経内科と脳神経外科。 本日は、最近保険収載されたTREVOを使いました。 ステントを血栓の中で広げて、引っこ抜いてくる。 今回の患者さんは、意識がはっきりしていたので、ステントを広げたとき、引っこ抜いてくる、まさにその時、 「頭の右側(治療しているところ)が痛い」 とおっしゃっていたので、やっぱり痛いんだ、と改めて実感させられました。 失語の患者さんや、意識障害の患者さんの時は、体動が問題になるでしょう。 血栓が取れて、血栓の一部がステントにくっついています。 完全再開通が得られ、 患者さんも直後から、ほぼ麻痺消失。 疲れも吹き飛ぶ瞬間です。 本人の笑顔をみられて、「がんばってよかった」と思いました。 頑張るのは当たり前なんですけどね。 いつも通り迅速な対応をしてくれた救急ナースの3人。ありがとうございました。 放射線科技師さんも、いつも脳卒中緊急対応にご配慮くださり、ありがとうございます。 呼び出しで、来てくださった脳神経外科医のお二人。ありがとうございました。 最後に、当直の、脳神経内科Tいちろう先生、お疲れ様ー。

日曜早朝tPA療法

4時発症。5時来院。 右麻痺、全失語。 MRIで脳梗塞を診断。 まだ、DWI高信号は淡い(脳梗塞になりきっていない)。 MR angiographyで左中大脳動脈水平部は閉塞している。 心房細動があるが、ワルファリンは内服していない。 血液検査OK。 6時にtPA静注療法開始。 中大脳動脈水平部閉塞より太い血管の場合、tPAだけでは再開通が得られないことが多々ありますので、そのまま脳血管内カテーテル治療へ。 tPA静注療法を続けながら、脳血管造影施行。 ほぼ完全再開通が確認され、カテーテル治療なしで終了。 患者さんは麻痺もなくなり、失語も改善。 よかったよかった。 ただ、この「カテーテル治療やるぞぅ!」 とたぎった気持ちのやり場がない日曜日。 帰って、子どもと遊ぼうか、と考えても。 「今昼寝中」とのこと。 むぅー。 患者さんが良くなったからいいんですけど。 tPA静注療法前と後のMR angiography。 左中大脳動脈の描出が明らかに改善しています。 治療やるぞぅの雰囲気の中、登場いただいた、脳外科医も 「良くなってよかったですね」 と、笑顔。 いつも、外科医の皆さんは緊急手術、治療で呼び出しがあって、治療して、すごいなぁと思っています。 今日も、ありがとうございました。 また、救急外来看護師の皆さんも、スピディーな対応ありがとうござました。おつかれさま。 病棟看護師も、ベッド調整が大変な中、スムーズに受け入れてくださり、ありがとうございました。 秋の訪れを感じる、8月最終日。 長崎は、おくんちのしゃぎりが聞こえ始める季節になりました。

心臓血管外科の先生方ありがとうございます

私の患者さんが、心臓の弁に付着する構造物(血の塊または細菌などが一塊になったものの)が見つかり、心臓血管外科の先生方に手術をしていただきました。 ありがとうございました。 経食道心エコー(口から胃カメラのようなものを食道まで入れて、超音波で心臓を診る)で、6mmの可動性構造物を見つけました。 無症候性脳梗塞を繰り返しました。 幸い、症候性になることはなく、手術の日を迎えました。 手術出しの時は、脳梗塞後遺症なく送り出すことができ、「安堵」の一言です。 手術中の外科医の後ろ姿は、かっこいい。 内科医の私は、容易に近寄りがたい空気を感じます。いつも。 外科医に負けないように、内科医の私は・・・・・。 どうすればいいんだろう、といつも自問しています。 優秀な外科医は、内科的なこともできます。 優秀な内科医は、外科的なことをできません。 もう、どうやってもかなわないので、せめて 「外科医に、少しでも頼られるようにありたい」 と思っています。 心臓血管外科医の皆様、ありがとうございました。 術中経食道心エコーをされた、循環器内科の先生、ありがとうございました。 麻酔科の先生、ありがとうございました。 手術室看護師の皆様、ありがとうございました。 人工心肺管理をされた臨床工学技士の皆様、ありがとうございました。 一人の、私の、患者さんが、多くのスッタフの助けをもらって、手術を乗り越えられました。 三度目の開胸術で、術後経過も注意が必要なのは、内科医の私でもわかります。 良い経過をたどることを祈っています。

研修医、tPA静注療法す。

tPA静注療法中に症状が改善しました。 純粋に感動してくれました。 その一つ一つの経験、感動が、診療の糧になるはずです。 研修医、NIHSS score評価中。 tPA患者で診察を続ければ、NIHSS masterになれます。

2014年8月1日脳神経内科スタート

本日、脳神経内科スタートです。 長崎の脳神経疾患、脳卒中をちゃんと診ていける体制を これまで以上のチーム医療で体現できればよいなぁ と思っています。 新任教授の初仕事は髄液穿刺検査 でした・・・。 長崎大学病院 脳神経内科FB Facebookもぼちぼち始めていきます。 Websiteも開始予定です。

脳卒中センター研修

私達、脳卒中センターの研修医教育モットーは "be a 主治医" この患者さんを、あなたが責任持って診療すること。 責任がないと成長しないのは、どんな仕事でも同じです。 あたりまえ。 しかし、今の日本の研修システムでは、研修医は、 「主治医になってはダメ(上級医が主治医)で、担当医でなければならない」 ??? おそらく、患者さんからみて、「研修医だけがわたしを診ているのではない」 と思ってもらうため? だと、認識しています。 でも、これ、まったく、わたしたちは反対です。 主治医として、責任をもって診療してほしい。と思ってます。 ケツは持つから、まず自分で考えてほしい。と思ってます。 患者さんに与える可能性があるリスクはこちらで管理するので。 今の研修システムでは、 「この患者さんの責任は、上級医がとるのであって、わたしは指導してもらっている」 って、思っちゃっうかもしれない、 「巣で母ツバメの帰りを待つ子ツバメ」 状態。 全員がそうではないでしょうが、そういう気持ちになっている人が多い。 かもしれません。 カルテの画面上に、主治医として研修医の名前は上がってきません。 なので、患者さんに、なにか変化があっても、研修医には連絡が行きません。 例えば、患者さんが急激に悪化した時に、看護師が連絡するのは上級医。 上級医が駆けつけて、非常に危ない状態なら、担当医の研修医に連絡する暇なんてありません。 色々対応して、落ち着いて、やおら研修医に連絡。 研修医が来た頃には、することない。 看護師から「患者さんが、すごくお腹を痛がっています」と連絡があって、行ってみます。 すると、単なる便秘の腹痛(とはいえ、便秘の腹痛がすごく大変であることは、便秘の私は知っています)。 「この時間、研修医はご飯中だろうし、単なる便秘だし、ま、連絡せんでいいか」 と、わたしは思います。 でも、「単なる便秘の腹痛」も、経験しないとわからないことです。 経験する機会が、昔に比べると明らかに減っています。 これって、いいことでしょうか? 私達より前の、研修を受けた医師は、主治医として、患者さんを診療させて頂いていました。 教授回診中、受け持ち...

左半側空間無視。リハビリテーションで評価。

私達の病院は脳卒中急性期病院です。 発症してすぐに運ばれる病院です。 しかし、すぐにリハビリテーションを開始します。 なんでも最初が肝心。 治療もリハビリテーションも。 リハビリテーションスタッフが、患者さんの検討会をするためにビデオ撮影をしています。 日々、患者さんの診療改善に取り組んでいます。 この方は発症1週間です。 左空間を認識できない。 なので、このように紙の左半分、線の左半分を完全に無視しています。 (線の真ん中に小さな線が引けているのはスタッフが例を示すために引いたものです。右下4つはなぜか、線の左端にチェックが付けられています。これの意味はわかりません) 脳卒中の高次脳機能障害(失語症やこの患者さんのような無視してしまう症状など)は急性期から始まっています。そして、急性期に大きく変化します。 若い医師の皆さん(若くない医師の皆さんも)、 このような神経症状のダイナミズムを感じることができるのは脳卒中急性期ならではです。 高次脳機能障害に興味をもったら、まずは脳卒中急性期診療に飛び込んだほうがいいと思います。

tPA静注療法と看護師

当院でtPA静注療法を救急外来で行っています。 その時点から、救命救急ナースが診察や、tPAの準備、開始を行ってくれています。 「tPAします」 と医師が言えば、それに合わせて、あうんの呼吸で、進んでいきます。 ありがたいことです。 思えば、7年前。当院における1例目は、もちろん私の患者さんでした。 その時から、看護師の思いは変わらないと感じています。 「脳卒中患者さんをちゃんとみなければ。」 一生懸命みてくれていました。 そして、その積み重ねで、今はもっとスピーディーに、もっと滞り無く、診療が進んでいくようになっています。 病院の歴史は看護師が作っていくのだなぁと思います。 医師は、入れ替わりますから。 これからも、看護師が目標や目的を持って働けるように、ちょっとだけでも力になればいいと思っています。

脳神経外科医の皆さんに感謝です

脳梗塞のあと、閉塞した血管が再開通した後に、脳出血を起こす方がいらっしゃいます。 出血性梗塞。 症状に変化のない出血性梗塞は、結構多くて、比較的大きな脳梗塞の場合はほぼ必発です。 症状の悪化を伴う出血性梗塞は1%弱。 その場合、命の問題に直面することが出てきます。 なぜか。 脳梗塞に脳出血を起こすと、脳浮腫によるむくみと脳出血により、容積が増えます。 増えた容積はどうなるか。 頭蓋骨の中は脳でみっしり。 どこかに容積が逃げ出す孔は? 脳から、脊髄につながるところは、直径3cmぐらいの頭蓋骨の孔があります。 そこは脳幹があります。 脳幹は、生命維持装置です。 呼吸、心臓を動かす、意識を保つ、体温を調節する など、動物の生命の根幹です。 そこに向かって、容積が逃げていけば、 脳幹を圧迫して 命の問題に直面する。 ならば、骨をとって、容積を孔側でなく、骨をとった方に逃せば良い。 開頭減圧術。 やるのは脳神経外科医。 緊急手術。 昼も夜も関係ありません。 もちろん、土日祝祭日も。 手術室へつながる廊下。 私は内科医なので、ここまで。 ここからは脳神経外科の世界です。 私の患者さんをお願いします。 明日からは、月曜日。日常業務もあります。 どうか、問題なく、速やかに終了しますように。 脳神経外科医のみなさん。 いつもありがとうございます。 本当に感謝しております。 我々脳卒中内科医は、脳神経外科医が心置きなく、手術に没頭できる環境=内科的治療は内科医がすべて賄う状況を作るために、これから、これまで以上に頑張らなければなりません。

患者さんの転院搬送

脳梗塞急性期治療がだいたい1,2週間。 その後、リハビリテーション継続が必要な患者さんは、回復期リハビリテーション病院へ転院されます。 だいたい6,7割。 2,3割は自宅に退院。 1割ぐらいは、脳梗塞合併症の診療継続などのために急性期病院へ転院されていきます。 その際、状態が悪いと、院内救急車を利用することになります。 時々、普通の救急車にお願いすることもあります。 院内救急車。 救急車って言っても、基本装備は、時計とライトとティッシュぐらい。 それと、ドクター。 必ず医師が同乗しなければなりません。 基本的には、大きな問題がない状態で転院される方が多いので、ただ乗っているだけということになります。 帰りは、睡眠。 先日、車が止まった感じがあったので、目を覚ますと、 ガソリンスタンドに到着。 していました。 「契約したガソリンスタンドがここなんで」 いや、問題は、そこじゃない。 私、ドライブに来たわけではないので。 こういうことも医師の仕事の一つです。

脳卒中外来で考える生

75歳男性。 脳血管に狭いところがあり、経過をみさせて頂いています。 癌も患っていらっしゃいます。今は落ち着いていますが。 「もうね、あと2年生きられれば十分よ。先生。あんまり、欲かいたらいかん。孫が生まれてある程度成長して。それが見られたけん、よか。本当は、孫が成人するまでと思っとったけど、こがん病気(癌)もあるし。」 「こん病気になって、診てもらった先生には、ものすごく感謝しとるとよ。治療のたびに、毎回毎回、丁寧に説明してもらって。安心して、治療ば受けることのできた。だけん、その先生とか、家族のために、やれるだけのことはやる。けど、もうそれ以上は仕方なか。」 アメリカとか、ヨーロッパの主要な国とか、個人主義が強い人たちと、日本人は違います。 日本人は他者を気にします。 良きにつけ悪しきにつけ。 でも、それが日本人の宗教みたいなものかもしれないなぁ、と最近思います。 人のために頑張った自分にすがるというか、頼るというか。納得するというか。 ちょっと大げさですが。 「自分のためにする」、よりも、「人のためにする」、ほうが、自分の限界を広げることが出来る様な気がします。 自分が死ぬ時も、「人のために頑張ったなぁ」、と自己満足したほうが、すっきりあの世に行けそう。 ・・・・・。 もう一点。 私は、自分の目標「世界基準の脳卒中診療を、長崎のどこででも受けることが出来る」を達成するためには、急性期診療を行う総合病院で働くしかありません。 若い人を育てるために。 そうしていると、この患者さんのような人を看取ることができません。 急性期診療を行う総合病院では、落ち着いたら、ほかの病院へ転院するか、自宅に帰ります。 医師の仕事。「生命の誕生をサポートする」、「生を維持する」、そして「死を見届ける」 自分が診させていただいた患者さんの看取りまでさせてもらいたい。 と思っていますが、それは当面できそうにありません。 欲かいたらいかん、ですね。

小春日和の日曜日に、

脳血管内治療。 再開通は得られましたが、症状の変化はどうでしょうか? 詰まった血管が再開通しても、症状がよくなるとは限りません。 しかしながら、症状がよくなるのは、再開通が得られた患者に多いのは間違いありません。 本日も、脳卒中内科と脳神経外科で一緒に治療を行いました。 終わったと同時に、次の患者さん。 93歳というご高齢。 症状は感覚性失語。 外界の状況や情報が処理できない状態です(in-putがうまくいかない)。 具体的にいうと、こちらが言っていることが理解できないので、コミュニケーションがとれない。ベッドから起き上がろうとしたり、点滴を抜こうとしたり、と本人はもちろん大変ですが、医療者側も管理が難しい状態です。 ちなみに、運動性失語はout-putがうまくいかないので、基本的にはしゃべることが出来ない。 ただし、理解は良好なので、コミュニケーションはとれる。 それぞれの患者さんで、その程度はさまざまはありますが。 失語症などの、高次脳機能障害は脳卒中診療の中で遭遇する症状です。 なかなかほかの神経疾患で出会うことはありません。 若い先生で、高次脳機能障害に興味を持ったら、脳卒中をしっかりやっている病院で研修を受けましょう。 脱線しました。 で、今日は当直の脳神経外科医に任せて・・・、と思っていたら、当直の脳神経外科医は緊急の手術をしなければならなくなり、対応させていただきました。 脳神経外科医は手術をして、なんぼ。 脳卒中内科医と脳神経外科医で、助け合いながら、診療を行っています。 治療において、やることはやったので、これから患者さんがよくなるかどうか、どう経過するか、は神のみぞ知る。 よくなることを祈るのみ。

新研修制度。気になること。

研修医お疲れ様会。 脳卒中センターを1カ月研修してくれて、ありがとうございました。 1カ月でではなかなか教えるのが難しいと、言い訳をしながら、それなりに考えて指導させて頂いています。 研修医と一緒に診療しながら気になること。 ●1年たっても、事務的なことをしてきていない人がちらほら。例えば、紹介していただいた病院への返事の手紙など。 ●点滴が上手にできないことはいいとして(患者さんには申し訳ありませんが、当たり前ながら数をこなさないと上手になりません)、注射の準備などができない。薬の静注をしたことがない。 理由は、指導する側にも指導される側にもあります。そして、環境の問題も。 指導する側の問題:1カ月しかまわらず、その研修医の能力がわかりづらい。将来入局(要は、「同じ会社」で働くということ)しない研修医に指導することに、徒労感を感じる。 基本的には、我々指導する側の医師は、ちゃんと教えます。もう、そんなことは当たり前です。 ただ、聖人君子ではないので、いろんなことを考えながら指導します。 「この研修医は来年から、うちに入局するからびしっと鍛えよう!」 とか。 正直に言うと、実際、現場で教えているときは、細かいことは忘れています。 「うらーっ」とか「ガミガミ」とか言いながら、研修医にやさしく話しかけています。 そんな感じで、指導する側の気持ちも移ろいやすいのです。 研修医の問題: よく考えると、これはあまりないかも。 人の性質は世代で変わります。 私の子供は4歳でiPadを上手に使います。 それが大人世代になったら、それは今の価値観と違うものがスタンダードになっているはずです。 じぇねれーしょんぎゃっぷ ってやつ。 ただ、言えることは、ときどき、環境の問題にする若い人がいる。ということ。 これも昔からか。 自分ができないのは、このシステムがよくないから。 でも、言いたくなるよね〜。 環境の問題: 昔:点滴は、薬の注射も含めて、すべて医者がする 今:一般的なものはすべて看護師がする ときどき、研修医に話しているのは、 「私とあなた(研修医...