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6月, 2013の投稿を表示しています

留学前の人

脳外科の先生が,留学します. いってらっしゃい. 自分が留学した時(といっても,6か月で帰ってきたのですが)の経験をお伝えしようにも,ヘディングの影響か,ほとんど覚えていないので,伝えられず. ビザってどうやってとったっけか? 私たちは,脳外科と脳卒中内科といっしょに診療していますので,意見を交わしたり,ぶつけあったりしながら,日々やっております. 今回留学される先生とは,かれこれ5年ぐらいのお付き合いです. 患者さんに対する接し方を含め診療姿勢がすばらしい先生で,真似しています. 時に,救急患者さんを診療していると, ふっと,気が抜ける時間があり(方針が決まったり,治療がひと段落ついたり), その時に,医者がたくさん集まっているので,つい普段トークで談笑してしまったりすることがあります. 一般の方には,受け入れ難いことだとは思いますが,この現場に慣れると, ときどきあるのです. そういうときに,びしっと言うことができる先生です. 「患者さんに失礼やろ」 患者さんや患者さんの家族の立場に立った,考え方をどんな状況でもできる方です. それで,患者さんやスタッフからの信頼も厚い. 真似せんば. といつも思っています. 気管切開を教えていただきました. 私の患者さんの手術もしていただきました. ありがとうございました. いってらっしゃい. あつあつの飯ごうなんて,素手でへっちゃらな人.

自分の記憶力が悪い理由が,やっとわかったかも.

大学,高校,中学,小学校,さらに幼稚園,の記憶. 覚えている人は結構覚えています. 「小学校の時,ソフトボールの試合で,○○だったよね」 「高総体の最後の試合で,●●したよね」 私「そうだった・・・・っけな?」 以前の記憶があんまりない私です. 本日,その理由がわかりました. ヘディング. かもしれません. Ripton et al. Radiology 2013 Soccer Heading Is Associated with White Matter Microstructural and Cognitive Abnormalities 目的: ヘディングが脳損傷と関連するかを調べる. 対象: 21~44歳(平均31歳)のアマチュアサッカー選手37人(男性28人) 方法: 拡散テンソルMRIを使って,脳のある関心領域のFractional anisotropy(FA: 損傷(変化)の程度)を評価します.それと,ヘディングの頻度が関連すかどうかを解析. また,FAと記憶力の関連も調べました. 結果: 脳の損傷(変化)については年間885~1550回のヘディングが関連.(p<0.00001) 記憶力のスコアについては年間1800回を超えるヘディングをすると悪くなる.(p<0.00001) 私,そんなにヘディングしていませんでした. ふまじめだったので. サッカーを理由にしたら,サッカーの神様(ペレではありません)に怒られます. 明日から脳トレします. 真面目な話. この検討結果で,即ヘディング禁止というわけにはいかない. この研究は横断研究なので,エビデンスレベルが低いです. また,ヘディングのタイプもわかりません. 額で?側頭部で?ディフェンダーとしての正面からのボールを跳ね返すヘディング,フォワードが後ろにそらすヘディング,ボールのスピードは? いろいろな要素があるので,どれが関与しているかわかりません. 結局,断定はできないけど,否定もできない. といったところでしょうか. 子供にヘディングさせるかどうか. ボールも軽いし.... 親の責任で,指導しましょう. ヘディングしないわけにはいかないでしょうけど.

脳卒中を経験した人の4人に1人はPTSDである.

こんなに多いんですか. ちなみに,心筋梗塞,狭心症は12%です. やっぱり,脳卒中は後遺症がこわい,という認識でしょうか? Edmondson et al. PLOS ONE 2013. Prevalence of PTSD in Survivors of Stroke and Transient Ischemic Attack: A Meta-Analytic Review 9つの研究をまとめたメタアナリシスです. イギリスから5つ,アメリカ,フランス,スウェーデン,ノルウェーから1つずつ. 1138人 最低1か月から最大60カ月で経過観察している研究を検討しています. 1年以内にPTSDを訴える脳卒中患者は23% (95%信頼区間16-33%), 1年以降にPTISDを訴える脳卒中患者は11% (95%信頼区間 8-14%) PTSDになれば,あまり外出しなくなり,病院を受診せず,薬剤内服もおろそかになりがち,かもしれません. ということで,PTSDを認識する,対応することは重要で, それを行うのは,医師だけでなく,リハビリスタッフ,看護師,ケアスタッフになります. まずは,サインを見逃さず,認識できるようならなければなりません. ちょっと勉強しなければなりません. 当院でも看護師が,ちょっと違いますが,似た研究をやっています. 生活の質やうつ症状について. 結果が楽しみです.

”末梢”血管障害っていうけど,癌より悪いやつかも

今日は,Nagasaki Vascular Forum -アテローム血栓症 (ATIS) に挑む- と銘打った研究会がありました. 北関東循環器病院 血管病センター長の熊倉先生と,虎の門病院 脳神経血管内治療科の松丸先生のご講演を拝聴しました. と,言いたいところですが,自分の患者さんの件で病院に戻ってしまい,熊倉先生のお話を2,30分聴いたのみでした. 残念. でも,その2,30分でも勉強になりました. たくさんの自前のデータでお話をされており,説得力がありました. その内容を少々. 私の書きとりなので,間違いがありえます. その点をご理解ください. 末梢血管障害の5年生存率は60%. 重症虚血肢は最初の1年で1/4が死亡. と言っていたように聞こえました. 危険な病態です. Obesity Paradox Body Mass Index: BMI (体重kg÷身長m×身長m)が18.5未満は予後が悪い. Lancet 2009にも海外の報告があり,BMI 24をそこにして,Jカーブ現象あり. Lancet 2009. Body-mass index and cause-specific mortality in 900 000 adults: collaborative analyses of 57 prospective studies 末梢血管障害 Peripheral Artery Disease: PADの性差 男性が女性の4倍多い. 男性は近位部の閉塞.女性はひざ下の動脈閉塞が多い. 男性は間欠性跛行で発症することが多い.女性は重症虚血肢で発症することが多い. ※間欠性跛行:歩いていると足,とくにふくらはぎがつったように痛くなり,休み休みでないと歩けないこと. 発症する女性は重症なことが多い. そもそも間欠性跛行と重症虚血肢は違う病態? 間欠性跛行が重症虚血肢に移行するのは5-10%/年と意外と少ない. 重症虚血肢と関連するのは,女性,糖尿病,低HDL-C,そしてBNP. BNPが明らかな高く,心収縮低下などと関連するのでしょうか? 間欠性跛行と重症虚血肢が違う病態かもしれないという,その発想はありませんでした. なんでもデータを出

足モミモミポンプ.あれ,意味あるの?

足の静脈にできる血栓.深部静脈血栓症. これが,流れて肺の血管に詰まると, 肺塞栓症. 命にかかわる病気です. 救急で入院すると,看護師に聞かれます. 「フットポンプつけますか?」 また,その書類ももろもろあります. これがフットポンプです. これで静脈血栓を予防します. これって,意味あるんですか? 意味あります.手術後の患者さんに. これまで20以上のランダム化比較試験があり,手術後にフットポンプをつけることは,明らかに静脈血栓の発生率を減らします. じゃぁ,他の状態では? 例えば・・・, 脳卒中. 麻痺があったら,静脈血栓は出来やすいです.静脈の流れが悪くなるから. これまで,急性期脳卒中における,この足モミモミフットポンプの有効性を調べたの研究は2つぐらいしかなくて,しかも有効性を見出すことができませんでした. でも,やっぱり,フットポンプつけています. 良さそうだから. ということで,それを調べている今回の論文. CLOTS (Clots in Legs Or sTockings after Stroke) trial Lancet 2013 CLOTS Trial Collaboratrion. Effectiveness of intermittent pneumatic compression in reduction of risk of deep vein thrombosis in patients who have had a stroke (CLOTS 3): a multicentre randomised controlled trial 多施設ランダム化比較試験です. 対象患者: 急性期脳卒中 .トイレまで自分で歩いていけない人. インターネット登録すると,足モミモミフットポンプグループと,しないグループに分けられます. この2つのグループで Primary outcome: 30日以内の深部静脈血栓(大腿,膝窩静脈) Secondary outcome: 30日以内の死亡,深部静脈血栓(大腿,膝窩,下腿の静脈),肺塞栓,足モミモミフットポンプの合併症(傷,転倒) 結果 Primary outcome 足モミモ

2013年第32回日本脳神経超音波学会@徳島

脳神経領域における超音波。 これを語り合う学会です。 マニアックです。 しかし、脳血管障害において超音波検査はなくてはならないもので、とっても重要な学会だと思います。 一応、評議員の末席に名を連ねさせていただいてますし。 徳島についたのは22時30分。 日野原先生の特別講演があったので聞きたかった。 2日目。 最初のセッションは、頸動脈解離病変のこと。 内頸動脈も椎骨動脈も解離して大変な症例の報告が並びました。 臨床の現場の大変さが目に浮かびます。 「明日、朝、症状が進行してたらどうしよう。」 って思いながら帰っていたことと思います。毎夜。 検査技師さんの発表があり。非常に勉強になりました。 椎骨動脈解離をエコーで診断し、経過観察した5例。 今まで、椎骨動脈解離を最初にエコーで診断できたことはありませんでした。 医師と検査技師の違いは? 検査にかけられる時間、でしょうか? 病院により状況は違うでしょうが、私たちの施設のエコー検査枠は技師枠と脳卒中内科枠があります。 私たち医師は、急患がきたり、病棟の仕事があったりするので、メリハリをつけてやります。何もなければ5分ぐらいで終わります。 急患が来院されるとお待たせすることもあります。 技師さんは、かなり丁寧にされていると思います。 私たちの病院の技師もしっかりやっています。 もっと医師がやっている患者さんを技師にシフトしてもいいのかもしれません。 私は、内膜剥離術後の幻覚と術前にエコー所見について発表しました。 ランチョンセミナーでは、広島大学大学院 脳神経内科枠松本先生のお話を拝聴いたしました。 先生が強調されていたのは、日本人だから日本人のデータを出して、それを元に診療しなければならないということでありました。 私たち、中堅世代も、それを強く意識して、データをみんなで蓄積していければなぁと思います。 日本人は真面目なので、回収率や経過観察をコンプリートする率も高そうだから、良いデータが出せるような気がします。 がんばろ。 シンポジウム発表だったのでいただいたものです。

脳出血急性期の血圧管理.140mmHg未満?

脳出血急性期は血圧を下げましょう. 当たり前ですが,どこまで下げる? 実は,ガイドラインでは180mmHg未満. 結構高い・・・. 実際は,もっと下げています. でも,どこまで下げるべきかわかっていません. Andersen et al 2013 NEJM. Rapid Blood-Pressure Lowering in Patients with Acute Intracerebral Hemorrhage 今回の論文は,発症6時間以内の脳出血を,140mmHg未満に下げるグループと180mmHg未満に下げるグループに分けて,その効果を評価しましょう. というものです. 2839人の発症6時間以内特発性脳内出血(脳血管奇形や腫瘍からの出血などを含まない) 来院時血圧が150-220mmHg. Glasgow coma scale 3-5の人は含めない. 評価項目: Primary outcome: 90日後のmRS 3-6 mRSについて:"0"は症状なし,"3"はなんとか歩けるけど,身の回りのことに手伝いが必要,"5"は寝たきり,"6"は死亡 Secondary outcome:mRSを順序変数にして比較する.生活の質を比較する 結果: Primary outcome: 140mmHg未満:719/1382人 vs 180mmHg未満:785/1412人 odds ratio 0.87; 95% confidence interval, 0.75-1.01, p=0.06 140mmHg未満の方が死亡や機能予後不良を起こしにくい傾向はありましたが,有意差はありませんでした. しかし,mRSを順序変数にすると140mmHg未満にした方が,機能予後はよい傾向でした(odds ratio 0.87; 95% confidence interval, 0.77-1.00, p=0.04) そして,140mmHg未満グループの人たちの方が,生活の質(Quality of Life: QOL)が三カ月後によい(p=0.002)という結果でした. 24時間後の血腫増大は2つのグループで差がありませんでした.

島原脳卒中研究会

昨日6月6日,長崎県立島原病院でお話をさせていただきました.  後ろに眉山 1991年に初災した,大火砕流を受け止め,それによりこの地域は火砕流の被害をまぬがれました. 脳神経外科 副院長徳永先生,お招きいただきありがとうございました. 脳神経外科スタッフの中本先生と宗先生に久しぶりにお会いできてうれしかったです. 島原病院は,5万人足らずの決して都会とは言えない地域でありながら,アグレッシブに脳神経治療をされていらっしゃって,刺激をうけました. 島原病院 高次脳卒中センター 今回は,脳神経の専門医だけでなく,他の科の先生もいらっしゃったので,脳卒中の一般的な話と,最新の治療,そして,チーム医療の重要性について話させていただきました. 食事もおいしかったです. やっぱり長崎は魚が最高にうまい. コウカイもうまかったです. ごちそうさまでした.

脳卒中カンファレンス

脳卒中カンファレンス。 医師から、看護師から、リハスタッフから、それぞれ問題症例の提示や日々の診療で困っていることなどをディスカッションしました。 そして、本日のメインは栄養管理室長から、栄養の考え方の基礎についての講義を賜りました。 栄養のバランスって、定義がないけど、要は、糖質、たんぱく質、脂質、ビタミンなどを偏りなく食べること。 当たり前です。 主食抜きのダイエットは痩せるけど、脂肪が落ちるわけでなく、筋肉が落ちてしまうので、意味がない。 脳卒中の患者は経管栄養を使用することが多くありますが、その成分について少し知ることができました。 浸透圧と下痢。経管栄養と下痢の問題は、脳卒中の栄養管理の永遠のテーマです。 無菌パックされた栄養剤の方が無菌だから、いい。というのは昔のあまり環境が良くなかった時代の話で、今は普通のパックとか缶の栄養剤でも菌の繁殖なく投与出来るだろうとのことでした。 今回は、実際に現場で問題となっていることについてはディスカッションすることができませんでした。 今後は、もっと栄養士さんが病棟に顔を出して、日々、話し合いながら改善して行く雰囲気にして行きたいなぁ、と思いました。