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6月, 2018の投稿を表示しています

癌関連静脈血栓塞栓症。エドキサバンは悪くない選択肢。(でも本当かなぁ。本当だろうけど)

大学病院で診療していると、癌関連の脳梗塞患者さんを診療させていただくことは比較的多くあります。 癌細胞が血栓形成を誘発する物質を出しているから。 特に静脈血栓が多いことは知られています。 これまで、ヘパリンは有効かもしれない、とされていましたが、明らかなエビデンスではありませんでした。 癌は、 凝固カスケードを開始させる「組織因子(Tissue factor)」を放出したり、 ムチンがL-セレクチンやP-セレクチンと結合して、微小血栓を作ったり、 低酸素が内皮や血小板を活性化したり、 システインプロテアーゼが第Ⅹ因子を活性化したり、 いろいろ、血栓傾向に寄与しています。 ヘパリンは、そのいろいろに作用するので、効く、という理屈。 Varki etal. Blood 2007 Trousseau's syndrome: multiple definitions and multiple mechanisms 抗血小板薬やワルファリンは「いろいろ」には作用しないので、 効かない、という理屈。 海外では低分子ヘパリンの皮下注射 Dalteparin(自己注射)が使われますが、 日本ではDalteparinは保険適応ではないので、仕方がないので バイアスピリンを使ったり、ワルファリンを使ったり、使わなかったり、注射するのにコツ(エア抜き)がいるけどヘパリン皮下注を患者さんが自己注射したり。 このような状況で、 みんな思います。 なんか突破口はないかなぁ。 経口直接抗凝固薬DOAC、どんどん使われてるけど、癌関連静脈血栓塞栓症にはどうなんだろ。 理屈では効かないけど・・・。 経口直接抗凝固薬DOACが、幅を利かせて、5年強。 非弁膜症性心房細動の塞栓症予防や、静脈血栓塞栓症、心房細動合併冠動脈形成術後の塞栓症予防など、徐々に適応を広げて来ましたが、 今回は、さすがに だめじゃないかなぁ、と個人的には思っていました。 だって、DOACはちょーピンポイントに作用する薬だから。 ダビガトランは第Ⅱ因子にピンポイント リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンは第Ⅹ因子にピンポイント (ピンポイントっていっぱい書いていると、ルー大柴さんの植毛のCMを思い出しました) 癌による血栓

第37回日本脳神経超音波学会 @神戸 脳卒中まだまだ未解明なこと多いです。

脳卒中だけでなく神経疾患全体の診療において超音波検査は、 病態解明の一端を担う重要なツールです。 その年次総会(2018年6月8日 - 9日)。 大きな学会ではないですが、超音波検査をしまくっている私達にとってはとても重要な学会です。 今回の学会は面白かったです。 刺激される発表が多かったです。 杏林大学の平野教授といっしょに座長もさせてもらって、勉強になりました。 神戸までスカイマークで行ってきました。 神戸空港は長崎空港からダイレクトに行けて、かつ学会場は空港からポートライナーで10分位で、ちょー便利。 むしろ、長崎市内から空港までが遠くて不便。 車で行くと、高速代と駐車場代で4000円ぐらいかかる。 バスだと安いけど、早朝は家からバス停までの移動で時間がかかるし。 誰かに愚痴ってる。 お金を払うという行為が嫌なのではなく、もう少し、空港はこっちに近づいて来ないかなぁ、という、 無理線のグチ。 今回の学会で、 一番、 すっごいなぁ、 と思ったのは、 広島大学木下先生の国立循環器病研究センター時代に経験した患者の発表でした。 内頸動脈が嚥下による舌骨の動きで、舌骨が内頚動脈をつっぱらかせて、舌骨の外側にあったり内側にあったり、 ぱたぱた動く。 Flip-flop phenomenon. その部分の血管内腔にプラークを形成する。 脳梗塞を起こす。 発表後、聴衆の興味ビンビンさが会場全体に充満していました。 このことはすでに、九州医療センターの徳永先生がこれまた国立循環器病研究センター時代に発表してたのですが、 第4回九州脳卒中カンファランス Tokunaga et al. Circulation 2015 Repetitive Artery-to-Artery Embolism Caused by Dynamic Movement of the Internal Carotid Artery and Mechanical Stimulation by the Hyoid Bone 今回、特にすっごいなぁ、と思ったのは、 会場から 「この変化は、どのくらいの割合であるんですか?」 という質問に、 「最近論文になったのですが、、、」 と、すでにまとめて論文にしている、という。 Kinoshita et al.

第65回麻酔科学会学術集会で脳卒中を話す。大入り満員、その意味は?

脳卒中診療について話してきました。 麻酔科学会総会で。 医師人生で、そんな経験をするとは思っていませんでした。 自分の専門でない学会で話をさせていただく機会は、そうあることではなく、とても光栄なことです。 以前、救命救急センターに所属していたときに、上司だった女医のN先生に推薦を戴いたことがきっかけでした。 リフレッシャーズセミナーという45個ある枠の1枠をいただき、「脳卒中に気づく、治療につなげる」と題して、話をしてきました。 他をみると、ほぼ全てが、麻酔科領域の話で、 かつ同じ時間に他の会場でもリフレッシャーズセミナーの講演があっていたので、 会場に着く前は 「どうせ、脳卒中に興味がある麻酔科医はそんなにおらんやろうし、他の話のほうが麻酔科医にとって興味を引く話だろうから、たぶん、集まるのは2, 30人ぐらいやろ。でも、折角、聴きに来ていただいたからには、一生懸命伝えるぜぇ」 なんていうふうに、テンションを上げていました。 しかし、いざ、会場に入ると、 大入り満員の、優秀な麻酔科医だらけ。 たぶん2, 300人。 テンション上がるどころか、緊張で脇汗がシャツにしょんでいく一方。 やばい、 小学校の時の、一人で歌うの歌のテストくらい緊張する。。。 内容は、脳梗塞急性期治療の話などを麻酔科の先生が従事する領域の話と絡めて話を進めていきました。 会の形式は、多分、いわゆる「講師」として話す、というスタイルなのでしょう、講演を進行する座長はおらず、 「それでは始めます」 みたいな感じで、一人で始めて、 「以上です。ありがとうございました。」 と、一人で終わる。 という、学生への講義みたいなスタイルでした。 ちゃんと面白く話ができたかどうか、伝わったかどうかはわかりませんが、 一生懸命に話しはしましたので、とりあえずは、それで良し、とします。 終わった後に、数人の麻酔科医から質問をいただきました。 少なくとも一部の先生方の琴線に、多少は触れた証左なのだろうと勝手に思い込んでいます。 ただ、やはり、 なぜ、立ち見が出るほどの大入り満員だったのか? という疑問が残ります。 ひねくれている私。 なんに対しても裏があるのでは? いつでも、多