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6月, 2015の投稿を表示しています

術前ヘパリンブリッジ、実は、橋がなくても渡れてた!?

常識だと思って行っていたことに、実はしっかりした根拠がない、 ということは、一般社会の中で意外とよくあることです。 例えば・・・、 って、すぐに思い浮かばなかったので、 多分、私は、「根拠の無い常識」にとらわれて生きているんだと思います。 医療の世界では、できるだけ、ちゃんとした根拠(エビデンス)に則った医療を行いましょう。 エビデンス・ベースド・メディスン。 と言われて、久しい訳です。 おそらく1990年台から特に強調されてきたのではないでしょうか。 「ワーファリン内服中の患者さんは、手術前1週間ぐらいから入院して、ワーファリンを中止し、ヘパリンブリッジ(術前数時間までヘパリン持続投与)しましょう。」 って言ってましたし、そうしてきました。 ガイドラインにもあります。 『循環器疾患に おける抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン2009 しかし、それは、強い根拠に則ったものではありませんでした。 今回読んだ論文は、今話題の論文。 Douketis et al. 2015 NEJM Perioperative Bridging Anticoagulation in Patients with Atrial Fibrillation ヘパリンブリッジの有用性は無いかもしれないこと、 むしろ出血が増えるかもしれないこと を明らかにしました。 ランダム化比較試験。二重盲検、ヘパリン vs プラセボ 1次エンドポイント : 有効性:塞栓症(脳梗塞、一過性脳虚血発作、全身塞栓症) 安全性:大出血 2次エンドポイント 死亡、心筋梗塞、深部静脈血栓、肺塞栓、小出血 適格患者 :18歳以上、発作性または持続性心房細動、心房粗動、3カ月以上PT-INR2-3でワルファリン調節されている、 さらに、CHADS2 score >=1 (C, うっ血性心不全、左室収縮不全; H, 高血圧; A, 75歳以上; D, 糖尿病; S, 脳梗塞または一過性脳虚血発作) 除外患者 :機械弁、12週以内に塞栓症を起こした、6週以内に出血があった、Ccr < 30ml/min, 血小板10万以下、予定された手術が、心臓、脳、脊髄、の患者。 ここは注意すべきポイントです。出血リスク、塞栓

第210回日本神経学会九州地方会 at 熊本

学会に先立って、日本神経内科学会が作成した、 神経内科を目指す医師を増やすプロモーション映像が流されました。 治せるようになった病気 今、治せない病気 医療の発展とともに、これまで治せなかった病気が治せるようになりました。 その病気の最たるものが脳卒中、とくに虚血性脳血管障害 他にも、今後の再生治療により治る病気が出てくるかもしれません。 「覚悟はあるか」 と。 進歩する医療を使って、目の前の患者さんに対応することができるか。 印象的な映像で、 10年目ぐらいの私が、 「明日から、またがんばろう」 と思ってしまいました。 がんばろう。 近日中に学会から発売予定だそうです。 買わないといけない。 タダじゃない。 です。 脳神経内科脳卒中グループから3年目の医師が発表をさせていただきました。 腕頭動脈の可動性石灰化プラークが脳血管を閉塞させると、機械的血栓回収術単独では奏功しない可能性がある かもしれないという、症例報告です。 しっかり勉強して、よくまとまった内容でした。 手前味噌ですが。 有名な先生の質問にも答えることができていました。 緊張の後ろ姿 その他にも興味深い発表がたくさんありました。 脳血管障害は午前中のセッション。3つありました。 地方会は症例報告といって、まれな病態の患者さんの発表、がほとんどです。 自分たちが経験しない症例を発表を介して、擬似経験できる 地方会は、多数例を集めたデータの発表が多い総会とは、また違ったおもしろみがあります。 日本人で英語が話せるバイリンガル。 その人が脳梗塞で失語になったら、英語から戻ってきた。 ていう症例。 リバーロキサバンの脳梗塞、脳出血、tPA静注療法についての発表が幾つかありました。 血管内治療の話。 椎骨脳底動脈に病変がある症例報告が多い気がしました。 脳幹部の症状が多彩なので、症例報告になりやすいことが理由かもしれません。 椎骨脳底動脈の病変はとても重要ですが、 とくに、血管内治療の研究の時に、椎骨脳底動脈病変は、病態が多彩故に、除外されがちです。 でも、大切だと思います。 椎骨脳底動脈の脳梗塞患者を前向きに検討していく研

在宅診療で長崎原爆を少し考える

2015年 終戦70年であるとともに、原爆投下から70年でもあります。 私達、長崎生まれの人間は、小学生の時から原爆教育を受けてきました。 特に小学生の時に、学ぶ機会が多かったです。 私の、潜在意識には、他の県の人よりも、原爆のこと、 残っていると思います。 しかし、 直接経験した、被爆者の話、 頭に残っていないです。 たぶん、あんまり頭が良くない、私の子供の頃のpoorな想像力では、被爆者の皆様が話してくれた、その情景がありありと脳裏に浮かび上がってこなかったからなのだろうと思います。 大人になって、 被爆者の皆様の話が頭に残っていない事に気付き、 「これでいいのだろうか」 と思うことが多くなりました。 仕事柄、ご高齢の方と接することがほとんどなので、できるだけ、許可をいただければ、話を聞かせていただくようにしています。 でも、意外と生々しい記憶として話される方は少ないです。 それは、多くの方が犠牲になった出来事で、 それを生き延びた人から、お話を聞くわけですから、 必然的に、原爆の影響を大きく受けなかった場所にいたことが理由かもしれません。 しかし、その強烈な情景を経験し、話してくれる方もいらっしゃいます。 ただ、その話し方は、感情的ではなく、 あったことを、見たことを、淡々と話されました。 「いとこが黒焦げだった」 「体しかなかったけど、〇〇ちゃんだった」 爆心地から近い工場で被爆し、その後、歩いた道程を教えてもらいました。 爆心地近くは、何もなかった、と記憶されているそうです。 爆風で、全てがなくなっていたとともに、 周囲を見た記憶があまり残っていないこともあるそうで、 その証拠に 「助けて」という言葉や、 うめき声、 それは耳に残っているそうです。 梅雨があければ、夾竹桃の咲く、夏を迎えます。

第34回日本脳神経超音波学会総会

評議員をさせていただいているともあり、発表させていただくべく、 京都へ行ってまいりました。 私は、心臓エコーで捉えられる、拡張障害と脳梗塞の関係について発表させていただきました。 それはいいとして、 興味深かった発表は、大動脈プラークをMRIで評価するものでした。 別に、どうでもいいのですが、 8年前ぐらいに、私もチャレンジした臨床研究ですが、当時のMRIの能力では限界がありました。 今後の展開がとても楽しみです。 他には、大動脈プラークのソナゾイドによる造影効果の検討が発表されましたが、とてもいいディスカッションがあって、勉強になりました。 が、しかし、 日本で、ソナゾイドを使った頸部血管エコーをされて、論文報告をたくさんされている先生に後でお聞きしましたが、大動脈プラークのソナゾイド評価は現段階では不可能である可能性が高い。 とのことでした。 私達もチャレンジしようとして、できなかったので、やはりそうなのか、という感じ。 あとは、熊本のレジェンド脳卒中ドクターと、お話をさせていただき、 神社仏閣、お城めぐり の面白さ、を拝聴し、 触発され、 東寺へ。 歩いて、15分ぐらいの距離でした。 立体曼荼羅、 拝観してきました。 東寺 立体曼荼羅 何が立体なんだろう。 今日は、青と、赤のフィルムで作った、昔ドラえもんか何かの映画でもらった、紙でできたのサングラスは持参してないし、どうしよう。 ・・・・ 如来様とか菩薩様とかのいわゆる仏像が、 ばば〜んと並んでいたのでした。 リアル、立体、ね。 なんだか、圧倒的 な感じなのですが、 よくよく見ると、なんだか、こう、 それぞれの表情とか仕草が、いろいろで、おもしろかったです。 詳しいことは、詳しい人に聞いてください。 その中で、私としては、 梵天様が、スカした感じでカッコ良かったです。 梵天様、画像 やや小指を立てた感じで左手(でいいのかわかりませんが、腕が4本あるので)になんか花らしきもの(と思ったら香炉だそうです)を持ち、もう一方の左手に筆らしきもの(ともったら払子というらしいです)をもってます。 何より、がちょうみたいな鳥の上に乗る、

第11回長崎市脳卒中市民公開講座

少し前になりましたが、 2015年5月30日に脳卒中市民公開講座を長崎市にありますメルカつきまちで開催させていただきました。 今年で第11回を迎えました。 あいにくの雨の中、多くの市民の皆様にお集まりいただきました。 ありがとうございました。 今年も、例年通り4人の演者が、それぞれの立場から、脳卒中に関するお話をさせていただきました。 司会は、脳神経内科教授。 最初は、当院の脳卒中ケアユニット看護師から、脳卒中と生活習慣病について。 減塩のコツとして、 1 麺類のスープは残す 2 漬物は少量 3 カリウムが豊富な食品を多く食べる。 4 加工食品は避ける 5 食卓に調味料を置かない 6 醤油はかけるよりも、つける 7 「蒸し料理」は理想的 初めての経験で、とても緊張していたそうですが、なかなかよかったです。 2番めは救命救急士から。 長崎市の脳卒中救急の現状について市民の方に情報提供をしていただきました。 脳卒中の症状にきづきましょう。 ことば、かお、うで 適切な病院へ搬送できるかどうかも鍵。 内科的、外科的に、一人の患者さんを共同で見ることが出来る環境が、脳卒中患者さんには適している。 3番目は私から。 脳卒中=認知症予防 -脳卒中・認知症を予防する賢者の献立- 最近、脳卒中など、動脈硬化疾患を予防する行為が認知症予防につながることがわかってきました。 イギリスでは、この10年で認知症患者が80歳以上の年齢で10〜30%減ったことが判明しました。 なぜ認知症が減ったのか。 その答えとして、イギリスにおける国をあげての動脈硬化疾患予防キャンペーンの好影響が考えられています。 イギリスの標語 「心臓にいいことは、脳にもいい」 動脈硬化の予防が、認知症患者現症につながった。 といわれています。 生活習慣病である高血圧をしっかり管理すれば、それがポイントとなりその開業医の報酬につながります。 また禁煙キャンペーンもしっかりしたものでした。 お店の陳列棚からタバコを隠し、自動販売機も撤去されました。値段は1000円以上します。 そして