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在宅診療で長崎原爆を少し考える

2015年

終戦70年であるとともに、原爆投下から70年でもあります。

私達、長崎生まれの人間は、小学生の時から原爆教育を受けてきました。

特に小学生の時に、学ぶ機会が多かったです。

私の、潜在意識には、他の県の人よりも、原爆のこと、

残っていると思います。

しかし、

直接経験した、被爆者の話、

頭に残っていないです。

たぶん、あんまり頭が良くない、私の子供の頃のpoorな想像力では、被爆者の皆様が話してくれた、その情景がありありと脳裏に浮かび上がってこなかったからなのだろうと思います。

大人になって、

被爆者の皆様の話が頭に残っていない事に気付き、

「これでいいのだろうか」

と思うことが多くなりました。

仕事柄、ご高齢の方と接することがほとんどなので、できるだけ、許可をいただければ、話を聞かせていただくようにしています。

でも、意外と生々しい記憶として話される方は少ないです。

それは、多くの方が犠牲になった出来事で、

それを生き延びた人から、お話を聞くわけですから、

必然的に、原爆の影響を大きく受けなかった場所にいたことが理由かもしれません。

しかし、その強烈な情景を経験し、話してくれる方もいらっしゃいます。

ただ、その話し方は、感情的ではなく、

あったことを、見たことを、淡々と話されました。

「いとこが黒焦げだった」

「体しかなかったけど、〇〇ちゃんだった」

爆心地から近い工場で被爆し、その後、歩いた道程を教えてもらいました。

爆心地近くは、何もなかった、と記憶されているそうです。

爆風で、全てがなくなっていたとともに、

周囲を見た記憶があまり残っていないこともあるそうで、

その証拠に

「助けて」という言葉や、

うめき声、

それは耳に残っているそうです。

梅雨があければ、夾竹桃の咲く、夏を迎えます。

コメント

  1. 小学生の頃「夏休みの友」に掲載されていた、「白夾竹桃の下(で?だったかな)」という手記を読んだ事を思い出しました。
    夾竹桃が周囲に無かったので調べた記憶があります。あの花を見ると、辛い思い出が蘇るので嫌いだと言う方もいらっしゃるそうですね。声や匂いと共にいつまでも脳裏に残るものなのだと。
    広島では復興のシンボルとしての市の花。
    このBlogを機に、改めて資料館に足を運んでみようと思い直しました。

    また夏がきますね。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。
      30年後、どうなっているのかなぁと、今更、偉そうに考えましたが、よくわかりません。
      子どもたちには、どうやって伝えていくべきなんでしょう。

      夏休みの友、その次は、あじさい、でしたっけね。

      削除

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