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5月, 2014の投稿を表示しています

長崎脳卒中市民公開講座まとめ

今回は聴衆として参加させていただいたので、そのまとめをさせていただきます。 一般の皆様もたくさんいらっしゃっていただきましたが、脳卒中病棟以外の看護師や他の病院の看護師の方、リハビリテーションスタッフなどたくさん来てくれていて、勉強熱心。 感心しました。 患者さん目線、一般人としての目線も、診療に大切です。 長崎のために、市民の方も含めて、脳卒中診療を良くしていきましょう。 一人目は大学病院脳卒中センター 脳卒中診療の現在の状況を説明させていただきました。 大学病院に搬送される脳卒中患者は年間 400 人近く。 脳梗塞は 250 人くらい。 4 年前の 1.5 倍ぐらいに増えています。 tPA 点滴治療も去年は九州 1 位(おそらく)、国立大学病院国内 1 位(多分?)。 その後は、脳の仕組みの話。 前頭葉は人間に特徴的。 -- 何かしようとするときの命令を作るところ。 後頭葉。 -- 見たものを認識、分析するところ。 側頭葉。 -- 聞いたものを認識、分析するところ。 頭頂葉。 -- 感覚情報を認識、分析するところ。 記憶だって障害される。 いろいろな場所で起こる脳梗塞は、いろいろな症状を起こす。 だから、脳梗塞の後遺症は、麻痺だけでない。 アルツハイマー型認知症は海馬の萎縮がある。 海馬で記憶の形成ができない。 だから、新しい記憶が作られず、昨日の晩御飯のこと、昨日あった人、などを忘れてしまう。 アルツハイマー型認知症の人は、 何かしないといけないと思っていた、その何か、だけでなく、思っていたことさえも忘れる。 忘れていることを、取り繕う。 時間や季節感がなくなる。 進行すると迷子になる。 人間関係に関してはかなり進行してから出現する。 2 つ以上のことが重なると処理できなくなる。 計画を立てて行動することができなくなる。 脳梗塞も大切だけど、認知症も大切。 二人目は栄養管理室室長 減塩のコツ 動脈を若々しく保つために減塩。 コンビニのおにぎりは塩分多い。 たらこおにぎり、ナトリウム 550mg 。塩分 1.4g 。 ナトリウム☓ 2.54 が塩分。

第10回脳卒中市民公開講座

NCC &スタジオで5月31日13時から受付開始です。 今回は、私は壇上に上がりませんが、 脳の仕組みの話、 減塩のコツ 脳卒中のリハビリテーション 脳卒中の在宅医療 と、脳卒中からの回復、そして、次を起こさない、再発予防などの話が中心になると思おいます。 特に「減塩のコツ」に関しては、患者さんと話していると、意外と知らない方が多いので、ためになると思います。 私も楽しみにしています。 入場料無料なので、お気軽にご来場ください。

第55回日本神経学会学術大会 at 福岡

いわゆる神経学会総会に参加して来ました。 当脳卒中センターからは、他の先生が発表したので、私は発表せず、病棟業務のバランスを考えて、水曜日の午後と土曜日のレクチャーを受講して来ました。 脳卒中を診療していると頭痛、認知症の患者さんを診療させていただく機会が少なくありません。 良い機会をいただきました。 片頭痛は、 1 嘔気 2 動けない 3 光過敏 4 臭い過敏 が診断に重要。 「いつもと違う頭痛」は要注意。 くも膜下出血、静脈洞血栓症、脳動脈解離、髄膜炎、緑内障、側頭動脈炎 脳卒中専門なら、reversible cerebral vasoconstriction syndromeも。 片頭痛を慢性化させないために、 「低頻度、持続短時間」へ 月8回以上なら予防要検討。 βブロッカー ーー高血圧、冠動脈疾患合併例はいい適応。 妊娠の可能性がある30歳台女性に使っていると血圧低下が悩ましいです。 バルプロ酸 ーー400mgで充分。 アミトリプチン ーー眠気に気を配って、少量から。 ちなみに群発頭痛は、片頭痛が「動けない」のと違って、「痛くて、いてもたってもいられず、落ち着きが無い 」 睡眠中に起こりやすいので、昼寝禁。夜寝るのは大切。 発作時は酸素投与5-10リットル スマトリプタン皮下注射。 富永病院 竹島先生のレクチャーをいただきました。ありがとうございました。 脳波、中枢神経感染症、免疫治療の進歩を学びました。 学べるって幸せです。 講師の先生方に感謝しております。 私が感謝したところで、何もいいこと無いですが、とにかく、勉強になりました。 福岡はご近所(長崎人の妄想?)なので、お泊まりなしの、列車ビール。 これがまた幸せ。

左半側空間無視。リハビリテーションで評価。

私達の病院は脳卒中急性期病院です。 発症してすぐに運ばれる病院です。 しかし、すぐにリハビリテーションを開始します。 なんでも最初が肝心。 治療もリハビリテーションも。 リハビリテーションスタッフが、患者さんの検討会をするためにビデオ撮影をしています。 日々、患者さんの診療改善に取り組んでいます。 この方は発症1週間です。 左空間を認識できない。 なので、このように紙の左半分、線の左半分を完全に無視しています。 (線の真ん中に小さな線が引けているのはスタッフが例を示すために引いたものです。右下4つはなぜか、線の左端にチェックが付けられています。これの意味はわかりません) 脳卒中の高次脳機能障害(失語症やこの患者さんのような無視してしまう症状など)は急性期から始まっています。そして、急性期に大きく変化します。 若い医師の皆さん(若くない医師の皆さんも)、 このような神経症状のダイナミズムを感じることができるのは脳卒中急性期ならではです。 高次脳機能障害に興味をもったら、まずは脳卒中急性期診療に飛び込んだほうがいいと思います。

ジョーのようになっちゃダメ。-脳卒中専門医と燃え尽き症候群-

「燃えたよ、燃え尽きた、真っ白にな・・・」 ええ、それは、寿命を全うして、棺桶に入るときに言うべき言葉です。 人生の途中で言っちゃダメ。 時には、ジョーに殴られて、鼻からうどんびろ~んのマンモス西みたいになることも大事。 減量苦で、夜中こっそり屋台のうどんを2杯食べた「うどん野郎」マンモス西さん。 そんなこともあるよね。 すいません。漫画好きなので。 今回は、気になるニュースがありましたので、その話。 脳卒中専門医は4割が燃え尽き症候群 (日本の話) ニュースになっているので、話題にせざるを得ないかなぁと勝手に考えて、ブログに取り上げました。 ちなみに出典はこちらです。 Cross-Sectional Survey of Workload and Burnout Among Japanese Physicians Working in Stroke Care The Nationwide Survey of Acute Stroke Care Capacity for Proper Designation of Comprehensive Stroke Center in Japan (J-ASPECT) Study 内容は、2564人(11211人のうち、回答があって、脳卒中診療をしている医師)の回答を検討した。 燃え尽き症候群はMaslach Burnout Inventory General Survey (MBI-GS) scoreで評価した(内容は割愛)。 燃え尽き症候群は、 脳卒中専門医:41.1%、重篤な燃え尽き21.8% 会社員:27.1%(P<0.001)、重篤な燃え尽き12.2%(P=0.004) 公務員:28.8%(P<0.001)、重篤な燃え尽き17.8%(P=0.0268) 意外と公務員も多いなぁ。 このデータ、いろいろな切り取り方があります。 燃え尽き多い。まずい。 と考えるのが一般的でしょう。 だから、サポートお願いします。 という話は、他の人達に頑張ってもらうとして、 私は、へそ曲がりなので、少し斜めからみてみます。 そもそも、燃え尽き症候群の評価尺度MBI-GSをみてみると、 「一日仕事を終えると疲れ果ててぐったりすることが

tPA治療のスピードアップは世界中で課題

一般の人に聞きました。 tPA静注療法が必要になったら、その治療を受けたいですか?。 答え:はい。心肺蘇生が必要になったら、心肺蘇生をしてほしい、と思うのと同じくらい、そう思っています。 Chiong et al JAMA 2014 Testing the Presumption of Consent to Emergency Treatment for Acute Ischemic Stroke 脳梗塞のシナリオと心肺停止のシナリオ この2つのシナリオを、絵付きで見せて、「(tPAまたは心肺蘇生)受けたい」、「どちらかと言うと受けたい」「どちらかと言うと受けたくない」「受けたくない」 を選んでもらいました。 tPA治療を受けたい人76.2% vs心肺蘇生を受けたい人75.9%, p=0.93。 必要があれば受けたいと思う人が多いという印象は、臨床の現場にいるとよく感じます。 時間以外の理由で、tPAを受けられなかった人やその家族が、 「どうして、その治療ができなかったのですか?」 とお聞きになられることを時々経験します。 特に院内発症の患者さんで。 私達は、常に、脳梗塞超急性期治療の適応を考慮して、行動しなければなりません。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ そして、脳卒中専門医は、そのスピードアップに気を配らなければなりません。 2013年にJournal of the American Medical Association: JAMAという雑誌に掲載された論文。 Savar et al. JAMA 2013 Time to Treatment With Intravenous Tissue Plasminogen Activator and Outcome From Acute Ischemic Stroke  tPA静注療法のより早い投与が、やっぱり前から言われていたように、より良い効果と、より少ない合併症につながる。 この論文以降、さらにtPA静注療法の早期開始が注目されているような気がします。 アメリカ。 国単位でtPA静注療法を早く行うシステムが、「来院-治療開始」時間を短縮する、予後(効果)を改善する。 Fonar