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1月, 2014の投稿を表示しています

循環器内科医の前で脳卒中の話をさせていただく

病院内でも、自分たちの診療の糧にするために、自分たちの専門と違う分野の専門の先生から話をしてもらう機会を作るようにしています。 我々脳卒中センターも、これまで呼吸器内科の先生や循環器内科の先生などに講義をいただきました。 当院の循環器内科の先生方も積極的に行っていらっしゃいます。 モーニングレクチャーということで、本日20分間ほどお時間をいただき、脳卒中の話をさせていただきました。 月1回ペースでやっていらっしゃるみたいです。 長崎大学病院 循環器内科ブログ 貴重なお時間を、私の切れのないトークで奪ってしまい、すいませんでした。 そして、ありがとうございました。 脳卒中患者の予後について。 tPA静注療法、脳血管内治療の現況とその予後や、脳出血の予後について。 その中で救急外来での診療スピードアップにおける看護師の取り組みなども交えて、の話。 循環器疾患と脳卒中は、ともに血管病であり、交わるところがたくさんあります。 私が、数年前この病院に戻ってきたとき、とてもありがたかったことは循環器内科の先生方が、エコーを含めた循環器内科的サポートを、抜かりなく、夜中でも、いつでも、やってくださったことでした。 その節はありがとうございました。 今後も、ご迷惑をおかけすることがあると思います。 これからもよろしくお願いします。 という気持ちです。

拡張障害が原因の心不全にスタチンはいい?

アメリカのガイドラインでは ”心不全を改善させるためにスタチン(コレステロールを下げる薬)は使うべきでない” と書いてあります。 しかしながら心不全には、大きく分けて2つの原因があります。 ”収縮”が問題か”拡張”が問題か。 で、今回の研究は、”拡張障害”が原因の心不全に対するスタチンの効果をメタアナリシスで検討した、というものでした。 Meta-analysis of the effect of statins on mortality in patients with preserved ejection fraction アメリカから6個、ヨーロッパから4個、アジアから1個の論文をひっぱてきて調べています。 そのため、「ちゃんと薬を飲んだか」とか、「薬の量は?種類は?」だとかは、バラバラで、「スタチン投与群と非投与群」というくくりでの検討になります。 結果: 拡張障害が原因の心不全患者でスタチン投与群で、10年後死亡が40%減る。 (RR 0.60, 95% CI 0.49-0.74) 5年以下も効果あり。 (RR 0.34, 95% CI 0.15-0.77) 10年以上も効果あり。 (RR 0.64, 95% CI 0.47-0.89) 結論: スタチンは拡張障害が原因の心不全患者の死亡を減らすかもしれない。 前向き研究が必要である。 考えられる理由 拡張障害を有する患者は年齢が高めで、糖尿病、高血圧、虚血性心疾患を有することが多い。これらはスタチンが有効な病態である。 動物における検討で、スタチンは心筋肥大、間質の線維化、左室の弛緩・拡張、左室のリモデリングにおいて良い効果をもたらすことがわかっている。 でも、究極、よくわかっていない。 脳梗塞患者の拡張障害は死亡と関連するかもしれないと思っていて、今論文執筆中です。 私にとっては興味深い話で、今後もさらに深く検討していきたいと思っています。

私達は何も知らない

NEJMのMedicine and Societyは、医療のわかっていそうで、わかっていない部分の話を臨床現場のストーリーを通じて、私達に提示してくれます。 Lamas先生が自分の過去の経験を話されています。 Clonic Critical Illness 研修医最初の頃、私は80歳男性の肺炎患者さんを集中治療室で診療した。血圧は低く、呼吸はあえいでいる。 指導医と私は家族に話をした。 「"touch and go"(ぎりぎり)の状態です。」 家族:何でもしてください。彼は自動車整備をずっと続けてきた強い人です。 10日後、全身状態は落ち着いた。しかし、不穏状態であり、自分で呼吸はできなかった。 「管理を続けるならば、気管切開と栄養チューブが必要です」 家族はそれに同意した。質問はなかった。 彼は一命を取り留めた。 入院3週間後、Long-term acute care 病院が空いたので、急いで転院させた。 その後、彼とは会っていない。 別に、特別なストーリーではありません。でも、強く記憶に残っています。死の間際にいる人を助けた最初の経験だったから。そして、私にとって、この物語は終わっていません。今でも、私の心に影を落としています。 彼の意識は戻ったのか? 人工呼吸器を離脱できたのか? 家に帰った? 生きているのか? そうでなければ、どこで死んだのか? 生命の危機を脱し、"Chronic Critical Illness"というぼんやりした定義(例えば、21日以上の人工呼吸器使用)の状態になる患者は5−10%存在する。 1年後約半数が死亡する。 1年後、12%以下の人しか家に帰って、活動できない。 そして、この状態にかかるコストは、とてつもなく膨大。 20億ドル。ざっくり2兆円。 トレーニング中の若い医師でこんなことを気にしている人はほとんどいないのではないでしょうか。 もちろん、集中治療は経過観察をする医療ではないので、仕方がない部分ではあります。 加えて、この20年でLong-term acute care病院が発展したことも、この状況(真実を知らないという事実)に拍車をかけている。 集中治療医は、このような患者を”作り出し

救命救急当直

本日で救命救急当直は終了しました。 もちろん脳卒中当直は関係なく、続きます。 私、6年前に救急部のスタッフ(今は違いますが)となり、それからなので、長いといえば長いです。 力にならないことが多かったかもしれませんが、多くを学ばさせていただきました。 診療し、学ぶ場であると同時に、臨床センスを発揮する場所でもありました。 ただし、専門外なので、ストレスを感じながら仕事をしていました。 ここ1年は月に1回だったとはいえ。 胸腔ドレーン挿入を完遂できなかったことは、心残りのような気もします。 朝田龍太郎がボールペンの芯を抜いた外筒で、両側気胸の女性を助けたような夜が、私には来ないことを祈るばかりです。 救急当直の時にサポートを頂いた看護師の皆さん、ありがとうございました。 また、その時その時、専門外で困ったときに、サポートを頂いた先生方は数知れず。どこに向かってお礼を言えばいいのかわからないので、今年の恵方の東北東やや右にむかって、ありがとうございました。 いったいなぜ、救急当直がこの中途半端な1月に終了なのか理由はわかりませんが、指示に従い、来月から(も)脳卒中診療に明け暮れます。

なかなかどうして

大変な一日でした。 特に脳神経外科の先生方は大変でした。 年間50例弱のくも膜下出血のうちの2例。どちらもコイル塞栓術でした。しかもほぼ同時来院。 コイル塞栓術とは、破れた動脈の膨らみである動脈瘤に柔らかい針金を充填していく治療。 対応した先生方、救急外来の看護師の皆さん、病棟看護師の皆さん ありがとうございました。 忙しい時ほど、笑顔、笑顔でがんばります、ましょう。

運転中に携帯電話を使うの危ない、という話。

アメリカで高速道路を走っている時。 私の車はぼろいし(フォレスターでしたが、2回動かなくなりました)、初めての道だし、日本と左右逆だし、子供乗せてるし、 ヒヤヒヤしながら運転していました。 隣の車線を走っている車をふと見ると、もっとボロボロの車(寒い地域は、凍結防止で塩化なんとかを道に巻きます。なので、きれいに流さないと、錆びて、もう、バンパーとか外れかかってしまっています)。 運転しているのは若いおねえちゃん。 両手で携帯電話でテキストメールを作成中。 いや、ハンドルは? 運転中も、歩行中も、座っていても、アメリカ人はよく電話していました。 何をそんなに話すことがあるのよ。 話がそれました。 今日は、天下のNew England Journal of Medicineから、 運転中、携帯電話を使うと、危ないよ。自分も他人も。特に新米ドライバーさん。 という話。 Distracted Driving and Risk of Road Crashes among Novice and Experienced Drivers 今回はアニメ動画付き。 42人の新米ドライバー(17歳ぐらい)と109人の成人経験ドライバーがこの研究に参加しました。 それぞれの車に、 カメラを4つ(前方、後方、ドライバーの顔、ドライバーの肩越し) 室内センサー(かな?a suite of vehicle sensor) 多方向の加速度計(かな?multiaxis accelerometer) と後2つ(もうわからないので勘弁して下さい。forward radar, global positioning system)。 を設置。 2006年から2008年の観察期間に、 新米ドライバー:167事故または、ほぼ事故 経験ドライバー:518事故または、ほぼ事故 ※新米ドライバー(免許取得3週間以内) 携帯電話ダイヤル中:オッズ比, 8.32; 95% confidence interval [CI], 2.83 to 24.42), 携帯電話に手を伸ばす:オッズ比, 7.05; 95% CI, 2.64 to 18.83) テキストメッセージを送る、受け取る:オッズ比, 3.87; 95% CI,

正月休み最終日は脳血管内治療

年末年始の9連休は、比較的落ち着いておりました。 とはいえ、脳卒中は救急疾患でありますから、全く来院されないわけではありません。 左内頸動脈閉塞による脳梗塞患者さんが来院され、脳血管内治療を行いました。 1.5cmぐらいの血栓と、もう少し小さい血栓が少し取れました。 結構大きな血栓です。 良好な再開通が得られました。 しかしながら、大切なことは患者さんが良くなること。症状が悪化しないこと。 良好な再開通が得られた人すべてが、良好な経過をたどるわけではありません。 内頸動脈閉塞は重篤な疾患で、死に至ることが十分ありえます。 重篤な後遺症を残すことも多いです。 死に至るような状態は治療により避けることができたようです。 後は症状の経過です。 リハビリテーションを行い、今後の経過を観察していきます。 脳神経外科の先生方と一緒に治療しました。 ありがとうございました。 救急外来のナースもバタバタ忙しい中、キビキビと対応してくれました。 ありがとうございました。 今年もぼちぼち頑張ります。

明けましておめでとうございます。2014

31日脳卒中入院は1名のみで(脳神経外科には慢性硬膜下血腫の患者さんが入院されましたが)、特に大きな問題なく年が明けました。 元日申し送り。 今年もよろしく。 一年の計は元旦にあり。 昨年は何を考えていたかといいうと 元日日当直 1 論文2,3編。 残念ながら論文は1編だけでした。 今年は3編が目標。 2 若手育成。 脳卒中センターに入局してくれる若手が1名。 こんな弱小チームを選んだこの先生は、ちょっと変わっているか、もしくは、かなり変わっているか、です。 ただ、言えることは我々の前途には多数の患者さんが待っており、まだまだやるべきことはたくさんあるということ。 ともに、頑張りましょう。 3 チーム医療のさらなる発展。 看護研究のサポート。今年の脳卒中学会に1つ発表。現在進行中のtPA早期投与のための研究が1つ。 まだまだ、やることは多いですよ。看護師の皆さん。 今年はリハスタッフの研究を期待しています。 研究をやると見えていなかった問題点が浮き彫りになり、必ず自分と、患者さんのためになります。 私が偉そうに言っているわけではなく、私が教わってきたことそのままです。 ともに、頑張りましょう。 ということで、 今年は、論文2,3編。 若手の育成。 チーム医療のさらなる発展。 そして、アラフォーになるので、 健康も。 フットサル頑張るぞー。