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”末梢”血管障害っていうけど,癌より悪いやつかも

今日は,Nagasaki Vascular Forum -アテローム血栓症 (ATIS) に挑む-

と銘打った研究会がありました.

北関東循環器病院 血管病センター長の熊倉先生と,虎の門病院 脳神経血管内治療科の松丸先生のご講演を拝聴しました.

と,言いたいところですが,自分の患者さんの件で病院に戻ってしまい,熊倉先生のお話を2,30分聴いたのみでした.

残念.

でも,その2,30分でも勉強になりました.

たくさんの自前のデータでお話をされており,説得力がありました.

その内容を少々.

私の書きとりなので,間違いがありえます.

その点をご理解ください.

末梢血管障害の5年生存率は60%.
重症虚血肢は最初の1年で1/4が死亡.

と言っていたように聞こえました.

危険な病態です.

Obesity Paradox

Body Mass Index: BMI (体重kg÷身長m×身長m)が18.5未満は予後が悪い.

Lancet 2009にも海外の報告があり,BMI 24をそこにして,Jカーブ現象あり.

Lancet 2009. Body-mass index and cause-specific mortality in 900 000 adults: collaborative analyses of 57 prospective studies




末梢血管障害 Peripheral Artery Disease: PADの性差

男性が女性の4倍多い.

男性は近位部の閉塞.女性はひざ下の動脈閉塞が多い.

男性は間欠性跛行で発症することが多い.女性は重症虚血肢で発症することが多い.
※間欠性跛行:歩いていると足,とくにふくらはぎがつったように痛くなり,休み休みでないと歩けないこと.

発症する女性は重症なことが多い.

そもそも間欠性跛行と重症虚血肢は違う病態?

間欠性跛行が重症虚血肢に移行するのは5-10%/年と意外と少ない.

重症虚血肢と関連するのは,女性,糖尿病,低HDL-C,そしてBNP.

BNPが明らかな高く,心収縮低下などと関連するのでしょうか?

間欠性跛行と重症虚血肢が違う病態かもしれないという,その発想はありませんでした.

なんでもデータを出して,そのデータを考察し,さらに新しい知見へ発展させる.

相変わらず,頭がいい人はやることがスマートだなぁ,と偉そうに,思ってしまいました.

すいません.

虎の門病院の先生のお話も拝聴したかったのですが,残念です.

次の機会を逃さないようにしたいと思います.

熊倉先生,松丸先生,長崎にお越しいただきありがとうございました.

長崎のおいしい食事を楽しんでいただければと思います.

コメント

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