スキップしてメイン コンテンツに移動

脳卒中センター研修

私達、脳卒中センターの研修医教育モットーは

"be a 主治医"

この患者さんを、あなたが責任持って診療すること。

責任がないと成長しないのは、どんな仕事でも同じです。

あたりまえ。

しかし、今の日本の研修システムでは、研修医は、

「主治医になってはダメ(上級医が主治医)で、担当医でなければならない」

???

おそらく、患者さんからみて、「研修医だけがわたしを診ているのではない」

と思ってもらうため?

だと、認識しています。

でも、これ、まったく、わたしたちは反対です。

主治医として、責任をもって診療してほしい。と思ってます。

ケツは持つから、まず自分で考えてほしい。と思ってます。

患者さんに与える可能性があるリスクはこちらで管理するので。

今の研修システムでは、

「この患者さんの責任は、上級医がとるのであって、わたしは指導してもらっている」

って、思っちゃっうかもしれない、

「巣で母ツバメの帰りを待つ子ツバメ」

状態。

全員がそうではないでしょうが、そういう気持ちになっている人が多い。

かもしれません。

カルテの画面上に、主治医として研修医の名前は上がってきません。

なので、患者さんに、なにか変化があっても、研修医には連絡が行きません。

例えば、患者さんが急激に悪化した時に、看護師が連絡するのは上級医。

上級医が駆けつけて、非常に危ない状態なら、担当医の研修医に連絡する暇なんてありません。

色々対応して、落ち着いて、やおら研修医に連絡。

研修医が来た頃には、することない。


看護師から「患者さんが、すごくお腹を痛がっています」と連絡があって、行ってみます。

すると、単なる便秘の腹痛(とはいえ、便秘の腹痛がすごく大変であることは、便秘の私は知っています)。

「この時間、研修医はご飯中だろうし、単なる便秘だし、ま、連絡せんでいいか」

と、わたしは思います。

でも、「単なる便秘の腹痛」も、経験しないとわからないことです。

経験する機会が、昔に比べると明らかに減っています。

これって、いいことでしょうか?

私達より前の、研修を受けた医師は、主治医として、患者さんを診療させて頂いていました。

教授回診中、受け持ち患者さんの前で、教授から診察がうまくできていないことを突っ込まれると、

「それは、ちょっと私が力を入れていたからですね・・・」

なんて、フォローを入れてくれたり、

次の患者さんに移動した後に、

「先生も大変ねぇ、がんばってね」

と、一言頂いたりしていました。

悪くない時代だったと思っています。

今は、カルテの画面上に、研修医の名前が主治医として上がることはありませんが、

わたしたち、脳卒中センターは、せめて口に出して、

「主治医たれ」

と研修医に言っています。

偉そうで、すいません。

コメント

このブログの人気の投稿

NIHSSスコアの基本を再確認。

※付録 NIHSSスコア NIHSSスコアを作ったLyden先生がNIHSSスコアについて書いています。 NIHSSスコアを評価すると、ときどき、 「これ、何点にすべきですか?」 なんて、看護師や、研修医から聞かれて、 「まぁ、1点と2点の間って感じかな?」 と、ぼかしたり、 「思うとおりに評価していいよ。それが、大切だ!」 と、妙に「お前を信頼しているぜ」感を醸し出したりして、 その場を切り抜けていました。 それも、間違いだとは思いませんが、「もっとスッキリしたい」とみんな思っていたのだと思います。 で、このもやもや感を少しでも解消できるかと思って、 Lyden et al. Stroke. 2017;48:513-519 Using the National Institutes of Health Stroke Scale を読んでみましたが、 基本、NIHSSスコアが作られた歴史 的な話ばかりで、 スッキリせず。 期待がずれていたのは、こっちの問題です。 それでも、2つ再確認出来たことがありました。 NIHSSスコアを評価するときのルール すべての項目で、Score what you see, not what you think (診たものを評価する。検者が考えたものではない) すべての項目で、Score the first response, not the best response, except item 9 best language (最初の反応を評価する。ベストの反応ではない。でも、言語の評価はベストの反応で) すべての項目で、Do not coach (コーチしちゃだめ) 項目1aで、May be assessed casually while taking history (会話している間に評価可能でしょう) 項目2で、Only assess horizontal gaze (水平方向の眼球運動のみ評価) 項目5 and 6で、Count out loud and use your fingers to show the patient your count (声を出して数字をカウントし、患者の前で指を折ってカウントすることもす

3度めの正直。日本神経学会専門医合格。

第40回神経専門医試験に合格しました。 合格をいただきました。 3度めの正直なのです。 第38回☓、第39回☓、で今回。 試験結果が出るまで、 「3度目の正直」:「2度あることは3度ある」=1:5 ぐらいの心境でした。 2回不合格だったことは、少しだけ恥ずかしいですが、仕方ありません。 それが、現実ですし、逆に、得られたことも大きかったです。 神経診察を基本からやり直すと、より深く、それぞれの診察の意味と、的確な総合的診断に結びつくことを理解することが出来ました。 疾患についても勉強しなおしました。 あたり前ののことですが、でもそのあたり前(基本)が重要なんですね。 多くの神経内科医は知っていることなのでしょうけど。 今回も試験当日は20分ずつ2部屋で面接試験がありました。1つ目の部屋では、診察の実技です。 面接官の先生はiPadを見ながら、どれを質問しようか考えていらっしゃいました。 おそらく、神経診察の到達目標みたいなのがあって、そのうちの1つか、2つを受験者にさせているのだと思います。 「右麻痺があって、複視がある人の診察をしてください。あっ、意識障害も有るということで」 横に座っている若いお兄ちゃんを診察させていただくことになります。 いつも(3回目なので)思うのは、この普通の人を、病気の人としてイメージしながら診察することの難しさです。 診察しても、麻痺の症状をしてくれるわけではありません。「ものが二重に見える」と訴えてくれるわけではありません。もちろん、意識清明です。 脳神経の2番から順に診察をしていくと、省くことができず、そのまま脳神経診察終了。 ベッドに寝かせて、運動の診察をして、チラッと試験管をみても、何もおっしゃらないので、そのまま感覚、協調運動の診察。チラっと試験管をみても、何もおっしゃらないので、そのまま腱反射、病的反射の診察。そこで、試験管から一言。 「あのー、意識障害もありましたよね」 「あっ。」 かるく、混乱して、最後まで意識障害の診察をせずに終わってしまいました。 やってしまった~と思いつつも、意識の診察を「わかりますか〜」なんて、質問したところで、 「ま、それはいいので」「意識障害があれば、髄膜刺激徴候も必ず診ますよね」

足モミモミポンプ.あれ,意味あるの?

足の静脈にできる血栓.深部静脈血栓症. これが,流れて肺の血管に詰まると, 肺塞栓症. 命にかかわる病気です. 救急で入院すると,看護師に聞かれます. 「フットポンプつけますか?」 また,その書類ももろもろあります. これがフットポンプです. これで静脈血栓を予防します. これって,意味あるんですか? 意味あります.手術後の患者さんに. これまで20以上のランダム化比較試験があり,手術後にフットポンプをつけることは,明らかに静脈血栓の発生率を減らします. じゃぁ,他の状態では? 例えば・・・, 脳卒中. 麻痺があったら,静脈血栓は出来やすいです.静脈の流れが悪くなるから. これまで,急性期脳卒中における,この足モミモミフットポンプの有効性を調べたの研究は2つぐらいしかなくて,しかも有効性を見出すことができませんでした. でも,やっぱり,フットポンプつけています. 良さそうだから. ということで,それを調べている今回の論文. CLOTS (Clots in Legs Or sTockings after Stroke) trial Lancet 2013 CLOTS Trial Collaboratrion. Effectiveness of intermittent pneumatic compression in reduction of risk of deep vein thrombosis in patients who have had a stroke (CLOTS 3): a multicentre randomised controlled trial 多施設ランダム化比較試験です. 対象患者: 急性期脳卒中 .トイレまで自分で歩いていけない人. インターネット登録すると,足モミモミフットポンプグループと,しないグループに分けられます. この2つのグループで Primary outcome: 30日以内の深部静脈血栓(大腿,膝窩静脈) Secondary outcome: 30日以内の死亡,深部静脈血栓(大腿,膝窩,下腿の静脈),肺塞栓,足モミモミフットポンプの合併症(傷,転倒) 結果 Primary outcome 足モミモ