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コロナ禍で、脳卒中患者さん、減ってるような気がしていましたが、これ、私だけが思っていたわけじゃないようです。

5月から6月、脳卒中患者さんが少なくて、もうどうしようかと思っていました。

患者さんが少ないことはいいことです。

しかし、発症した患者さんがちゃんと搬送されていないのではないか?

このままだと、患者さんもそうですが、研修医や臨床実習の学生にも良くないなぁ

などと思っていました。

他の脳卒中を診療する病院ではどうなんだろう。。。


これ、世界目線でも見てみると、

やっぱり、減っている!

らしいんです。

アメリカオハイオ州北西部の患者データで、

緊急事態宣言が出てから、

脳卒中患者さんも、脳卒中telemedicineも、tPAも

有意に減少していました(脳血栓回収術は有意差なし。)

内野先生は、私のクリーブランドクリニック留学時の上司です。
長くアメリカにいるので、アメリカ人気質と日本人気質を両方持つ、尊敬する人です。

Uchino et al. Stroke 2020改変






















これは、オハイオ州だけではなく、ブラジルでもドイツでも同様の報告がなされています。

感染を恐れ、軽症脳梗塞が受診していない可能性が考えられています。

Social distancingやStay-at-home、Telework
が脳卒中の発症率を減らしていたりして、、、。

そんなことは、ない、とは思いますが、、、。

SARSやMERSのときも同じように脳卒中の減少傾向があったそうです。

しばらく、COVID-19問題は続きます。
患者さんの来院は増えるのだろうか。

今は、デスクワークや、未来に備える地道な仕事をしっかりこなしておこう。




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