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2013年も終わります。@ 病院

2013年も本日で終了です。 夜はこれから。 嵐の前の静けさ @ 救急外来 でありませんように。 長崎市民の皆さん、平和な年越しを過ごせますことを祈っております。 今年の脳卒中センターを振り返ると、 ・・・・ 診療に明け暮れていました。 発症7日以内の急性期脳血管障害患者は右肩上がりです。 特に2012年からの増加が顕著。 その内訳は以下になります。 脳梗塞が増えています。 脳出血も増えていて、初めて100例を超えました。 tPA静注療法はほぼ倍増です。 これは適応時間が2012年9月に「発症3時間以内」から「発症4.5時間以内」に延長したことも影響しています。 脳卒中内科医が診療する患者さんが増加すると共に、脳神経外科の手術件数も増えています。 今年、個人的に印象的だった事は、患者さんに「なぜリハビリを頑張れるのか」と聞いたことに対する、その答えでした。 なぜ、がんばれるのか? 人の思いに応えることの尊さを学びました。 2014年はどんな年になるのでしょう。 地域の脳卒中診療に貢献しながら、世界的な視点を持ち続けていこうと思っています。 そして、その診療を若い人に伝える。 皆様、良いお年をお迎えください。

神経電気生理検査もときどき

今日は、ちょっと依頼があって、神経電気生理検査を行いました。 神経電気生理検査とは、体の神経に問題がないか、電気を流して調べる検査です。 すごく大雑把に言うと。 重症筋無力症疑いで、検査を行いました。 この検査では特に所見はありませんでした。 神経内科の先生のお手を煩わすまでもない感じ。 脳卒中センターには、神経内科のスペシャリストがいるので、その指導も問題ありません。 神経電気生理検査は、手間の割に得られる保険点数(収益のようなもの)が少ないのが問題です。 例えば、我々が週2回外来で、脳梗塞患者ほぼ前例で行っている頸動脈エコーは550点。検査時間は早ければ5分。 神経電気生理検査の運動神経伝導速度検査を行った場合1神経150点。いろいろやると30分から1時間かかります。 必要で重要な検査ではあるのですが、労力の割に得られる収益が明らかに少なく、いつも 「大変だなぁ」 と思っています。

御用納め 2013

仕事納め昼の部。 恒例の吉宗(よっそう)茶碗蒸し定食。 1年間お疲れ様でした。 普段怒ってばっかりいるので、たまにはサービスです。 回ってくれた研修医の皆さん。 ありがとうございました。 教えることは教わること。 勉強になりました。 そして恐怖の9連休の幕開けです。 急性期疾患に休みなど関係ありませんから。

君の心に響いているんかな?

私たち、脳卒中センターは、准教授1人、助教2人の小さなグループです。 准教授といえども、普通に患者さんの主治医になって、診療にあたっています。 さらに、研修医の指導医としての役割もになっています。 国立大学病院では、ほとんどない光景です。 スタッフが少ないから仕方がない、し、それも私たちの「色」だと思います。 みんなで一丸となって地域の脳卒中診療、脳卒中教育に明け暮れています。   夜8時前の脳卒中よもやま話。 右から左に抜けてないかい?

日本神経学会九州地方会 @久留米

のために、 前日ですが、ギリギリまで学会予行。 2題発表。 3回目で、何とかスムーズになってきました。 睡眠時無呼吸症候群とてんかん 交叉性失語で伝導失語 2人ともがんばってね。 揉まれておいでなさい。 若い先生は、地方会で場数を踏んでレベルアップ。 当センターはスタッフが3人と少ないですが、必ず学会発表を続けるようにしています。 特に研修医の先生が経験できるように。

心臓血管外科の先生方にもお世話になっております。

脳梗塞でご入院された患者さんの、心臓手術です。 開始は18時。 夜遅くまで、ありがとうございました。 もともと心臓弁膜症で、動きが悪い弁を機械弁に変えていた患者さんでした。 症状は軽いものの再発する脳梗塞でご入院されました。 経食道心エコーで、その機械弁に、ふらふら動く構造物が見られました。 脳梗塞を再発するので、準緊急で手術を行っていただきました。 向かって右は、体外循環装置です。 心臓を開くので、心臓の動きは止まっています。その間、心臓の代わりをします。 小開胸手術なので、術野はほとんど術者しか見えません。 なので、向かって左側の先生方はモニター画面を見ています。 パンヌスかもしれません。これが、ひらひら動いていた正体。 機械弁に組織の正常でない張り出しがあります。 外科医の先生方は、手術場で、カッコイイです。 あの近寄りがたい、「ぎゅっ」と集中した雰囲気が、カッコイイです。 我々内科医は、どこでかっこ良くすればいいのか? よく考えても、思いつかない。 聴診器をかっこ良く、くるくる回してキャッチするとか、 ペンライトで洞窟を探検するとか、 そんなところでしょうか。 心臓血管外科の先生方、ありがとうございました。

脳梗塞は夜討ち朝駆け

21時発症。全失語(言葉が話せない、理解できない)、右完全麻痺 23時来院。 24時からtPA点滴治療。 24時30分、症状は軽度改善のみ。 25時から脳血管造影、カテーテルによる再開通療法 26時に完全再開通!! 27時に病室へ入室。 Penumbra System 5 MAX. One passでコレ。 夜中だけど、これだけすっきり、うまくいくと、テンションあがって、酒でも飲もうかと思うけど、35歳の脳と体は、5秒で「いや、それゃ、やめとけ」。 翌日、患者さんもよくなっています。 症状が、いきなり完全にはよくなりませんが、 再発でもしない限り、ほぼ問題なく自宅へ帰ることができるでしょう。 今回も、いつもどおり、脳外科と脳卒中内科のコラボ治療でした。 救命のナースも頑張ってくれました。 ありがとうございました。 脳卒中だけで、5,6人入院しましたっけ。 脳の血管につまっていた血の塊(血栓)です。 長さは1cmないくらいです。

ダビガトランの研究会。

一昨日はダビガトラン関連の研究会がありました。 ところで、Time in Therapeutic Range (TTR)について、知ってますか? TTRとは、ワルファリンがある一定期間のうち、有効なPT-INR値を示した期間の割合です。 ※ワルファリンとは抗血栓薬で、血液が固まりにくくなる薬。 採血でPT-INRという値を見ながら調節します。 簡単に言うと、TTR 60%ならば、 ある一定期間のうち60%の期間は有効なPT-INR値で、40%は有効なPT-INR値でなかった。 ということになります。 ・・・おそらく。 どうやって計算しているのか、気になっていたのですが、 ただ、計算ソフトに値を、「がさっ」と投入するだけ。 たぶん、計算はややこしいので、理系なのに文系男子な私は、計算の仕方なんて考えないことにしました。 最近の新規抗凝固薬のstudyでは、TTRはだいたい60%程度で良好です。 今回の研究会のメインである北松中央病院院長福井先生の話の中で興味深かったのは、 TTR < 40%の人は、ワルファリンを「内服していない」人よりも、塞栓症が多い。ということでした。 「飲んでりゃいいってもんじゃない」 長崎県内では? というのを、循環器病院でやっている現在のデータを教えていただきました。 総じて、良好なTTRでした。 非循環器内科医ではどうなのでしょう。 非循環器外来のTTRは・・・・、 27.4%!! さらに、TTR 0%(全く効いていない)40%にも昇る!! という、驚愕の事実が示されました。 ・・・。 ただ飲んでいるだけは、飲まないより、危ない。 長崎市民病院循環器内科の布廣先生からは、症例提示があり、どれも実臨床に沿った興味深い患者さんの話でした。 今後の診療に役立ちそうです。 私からは、当院に入院したの脳梗塞患者さんのうち、塞栓低リスク(CHADS2 score 0-1)患者さんの特徴をお話させていただきました。 病理解剖から左心耳の形が塞栓症と関連しているかもしれないと思うに至ったことも話題に挙げさせていただきました。

看護師の看護師による新人看護師のためのNIHSSスコア講座

今日は救命救急センターナースらが脳卒中患者さん診察するための勉強会です。 National Institute of Health Stroke Scale (NIHSS) スコアを練習しています。 NIHSS スコアとは脳卒中患者さんの神経症状を点数化するものです。 重症ほど点数が高くなります。 講師は看護師、4年目ぐらいです。 新人の時から知ってます。 成長したなぁ。 最初はよく泣いてたのに。 患者役もナース、診察する看護師役もナース。 18時から19時30分までお疲れ様。 脳卒中はチーム医療。 看護師の活躍は急性期から、慢性期まで幅広い。 新人のみなさん、新人じゃない皆さんも、 とりあえず、やってみよー。 Let's try, NIHSS score.

心房細動患者。エドキサバン vs ワルファリン

この2年で、新規抗凝固薬3種類が使えるようになっていました。 ダビちゃん、ダビガトラン リバ子、リバーロキサバン アッピー、アピキサバン そして、来年から使えるようになる4番目の新規抗凝固薬。 江戸っ子きさ坊、エドキサバン。1日1回の薬。 今回は、New England Journal of Medicineに掲載された The Effective Anticoagulation with Factor Xa Next Generation in Atrial Fibrillation-Thrombolysis in Myocardial Infarction 48 (ENGAGE AF-TIMI 48) trial Giugliano et al. 2013 NEJM Edoxaban versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation を読んでみます。 でも気になるのは、この48という数字。 意識しているのか?世界的に人気があるというのか?AKB48 縁起がいい数字?48は。 参加国が48カ国、というところが「オチ」だろうと思って、数えてみると、 46カ国しかない・・・。 あー、気になる。誰か教えて下さい。 ちなみに、その46カ国のうちの、登録患者数 Top 10は、 1 アメリカ・・・・・・3907人 2 ポーランド・・・・・1278人 3 チェコ・・・・・・・1173人 4 ロシア・・・・・・・1151人 5 ウクライナ・・・・・1148人 6 アルゼンチン・・・・1059人 7 日本・・・・・・・・1019人 8 ドイツ・・・・・・・913人 9 カナダ・・・・・・・774人 10 ブラジル・・・・・707人 東ヨーロッパ色濃い研究ですね。 日本人もたくさん含まれています。 方法 2008年から2010年まで患者登録。 ランダム化、二重盲検、double-dummy エドキサバン60mg群 エドキサバン30mg群 ワルファリン群 対象 21歳以上 CHADS2 score >=2 ※CHADS2 score C: congestive heart failure(心不全の既往)1点

連携で紡ぐ医療

大学病院地域連携室主催で、地域の先生方、コメディカルスタッフ、ケアマネージャーの皆様方と、年末の懇親会がありました。 スタッフの皆様、お疲れ様でした。 ここ10年で医療は大きく変わりました。 在宅診療はそれに大きく貢献しています。 そこまで重症ではなくても、今までは入院が必要そうであった人を、在宅診療で見ることができるようになりました。 必要があれば、家で点滴治療、中心静脈カテーテル挿入、人工呼吸器管理、癌の疼痛管理などを行う緩和治療。 病院でしかできないと思っていたこと、実は家でもできる。 いろいろな側面があり、いい部分、悪い部分があると重います。 脳卒中後遺症がある患者さんも、自宅に帰ってきます。 歩くのに苦労する人は、性格によっては、他人からの働きかけがないと、外出などが億劫なので、閉じこもりがちです。 快活に過ごすためには、家族だけでなく、医師、看護師、ケアマネージャーなどが、チームを組んで、患者さんが社会に触れる機会を作らなければなりません。 脳卒中や癌には地域連携が必要不可欠です。 家で死を迎えることが十分に可能になったことも大きな変化だと思います。 (昔は自宅で死を迎えてる人が多かったので、昔に戻ったということかも知れません) 一度だけ、在宅で看取りをさせていただく機会がありました。 今まで、病院で患者さんをお見送りする機会はたくさんありました。 その時、医者は主役である感じがあります。 患者と家族が、医師の「ご臨終です」という言葉を聞いて、死の受け入れが始まる。 そればかりではないでしょうが。 在宅で看取りをさせていただくとき、主役は本人と家族で、医者は死亡確認する脇役、という感じでした。後は、ケアマネージャーや看護師がマネージメントや処置を施してくれます。もちろん家族とともに。 その時に至るまでに、家族はその人の死を受け止め、受け入れ、その起こりうる未来をイメージ出来ているように感じました。それを医師とも共有できている。 医師は、その時が来たことを告げるだけで、すべては流れの中にあるような印象をもったことを覚えています。 いいことばかりではないことは十分わかっています。 しか

症候性脳動脈狭窄にステント、No

症候性脳動脈狭窄に対するステント留置術の効果を検討したSAMMPRIS studyの最終結果が出ました。 やっぱり「No」でした。 この研究、実は、ステント留置+内科的リスク管理グループが、内科的リスク管理のみのグループよりも、あきらかに劣る「可能性が高い」ということで、早期終了という形で終わっていました。 「可能性が高い」 というのは、長期経過観察をされていな時点での結果だったから。 今回は、終了以降、長期に患者さんを経過観察した結果です。 長期的に観察しても、やはり、ステント留置+内科的リスク管理グループが内科的リスク管理グループよりも、結果が悪かったので、 やっぱり「No」 と言わざるを得ない。 多くの脳卒中診療医が残念に思っていると思います。 と、同時にしっかりリスク管理を行っていくことが、とても大切なことを再認識させられます。 The Stenting and Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent stroke in Intracranial Stenosis (SAMMPRIS) Derdeyn et al. Lancet 2013 Aggressive medical treatment with or without stenting in high-risk patients with intracranial artery stenosis (SAMMPRIS): the final results of a randomised trial 対象は脳動脈70-99%狭窄がある、虚血性脳血管障害発症30日以内の患者。 狭窄部への ステント留置と強力な内科的リスク管理をするグループ (PTAS group) 強力な内科的リスク管理をするグループ (medical group) の2つにわけ、ステンと留置の有効性を探る研究です。 Primary Endpoint 研究登録後30日以内の脳血管障害、または死亡。 研究登録後30日以降の狭窄血管領域の脳梗塞。 再灌流療法(※)後30日以内の脳血管障害、または死亡。 ※内科的リスク管理グループへのステント留置、またはステント留置グループの再狭窄への血管内治療

さんかいめ♡

tPA静注療法1日3件。 正確には、日をまたいで24時間以内で。 発症から4.5時間以内しか、tPA静注療法できません。 さらに、早く投与すればするほど、治療効果は高い。 1分でも、1秒でも、速く。 ある先生がおっしゃっていましたが、 「ここの救急外来での脳卒中対応は、F1のピットインの様ですね」 脳卒中を専門にやっている病院は、ほかも同様だと思います。 今回は、今のところ皆さん良好な経過です。 tPA投与中に、完全右麻痺が消失(元通り)! 向かって左が投与前の脳血管。右が投与後の脳血管。 血管が完全に再開通しています。 tPA投与中に、左麻痺が改善。他の症状も改善。 血管の描出が改善しているのはわかりますでしょうか。 もうお一方も、症状が消失しました。 2012年9月から投与可能時間が3時間から4.5時間に延長されてから、tPA施行件数が増えています。 今年は11月9日現在で、42件 2012年は24件。 適応時間拡大だけではないかもしれません。他の、地域の要因があるかもしれません。 ダブルスコア、いくでしょうか? あと1ヶ月半。 救急外来ナース、救命病棟ナース、脳卒中病棟ナース、当直検査技師、脳外科の先生方 ありがとうございました。 開けない夜はない、でがんばりましたね。

図書館で脳卒中を学ぼう

と題して、本日、長崎市のサポートのもと、市民との勉強会を開かさせていただきました。 お話させていただくのは、我々、脳卒中診療医でなく、脳卒中専門看護師のお三方です。 脳卒中はチーム医療なので、診療において看護師の果たす役割はとても大きいです。 「今回は、私達がします」 と看護師が言ってくれたので、 よし、任せた。 我々は、最後に市民の皆様の質問に答えさせていただく、ということになりました。 場所は長崎市立図書館。 きれいなんです。 入ったことないですが。 どんな症状があったら病院に行くべきか、 などを話させていただいた、 ものと思います。 私は救急患者さんの来院で行けませんでした。 うーん、残念。 ということで、あまり的を得ないブログになってしまいました。 せっかくなので、脳卒中の三大症状について説明させていただこうと思います。 脳卒中の三大症状「ことば、かお、うで」 長崎弁は、 「〜ば」(〜を)、 とか 「〜(しよう)で」(〜しましょう) というので、覚えやすいと思います。 突然「ことば」が話しにくくなったり、理解できなくなったり 突然「かお」半分がゆがんだり、 突然「うで」の片方が上がりにくくなったり このようなときは脳卒中の可能性が高いので、すぐに救急車を呼びましょう。 「ことば、かお、うで」 よろしくお願いします。 これ、英語圏では、もちろん英語です。 「ACT FAST」 F: Face (顔) A: Arm (うで) S: Speech (ことば) T: Time (急ぎましょう) 日本では? 実は、一緒です。 ACT FASTなんです。 ご高齢の方にはちょっと厳しい。 長崎弁で良かった。 「ことば、かお、うで」 ちょっと、頭の片隅に。 本日の健康講座にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

嚥下障害患者さんに適した食事

脳血管障害を始めとした脳疾患や、咽頭後頭部の疾患で飲み込みが悪くなった人(嚥下障害)は、食事で失敗すると、気管内に食事や唾液などを誤嚥してしまい、誤嚥性肺炎を起こすリスクが有ります。最悪、気管に食塊がつまって、窒息死することも。 したがって、本人の飲み込みの状態に合わせて、食形態を調整します。 ここで問題。 次のうち、もっとも誤嚥しやすいのはどれでしょう。 1 おかゆ 2 味噌汁 3 カレー もちろん、場合によっては、どれでも誤嚥する可能性はあるのですが、われわれが、一番誤嚥しやすいと認識しているのは、 「味噌汁」 です。 汁と具の喉に来るタイミングが違うので、嚥下反射が落ちているとうまく対処できないわけです。 では、どんなものが一番飲み込みやすいかというと、 ゼリー状のもの です。 口の中でばらばらにならずに、喉の奥まで届きます。 水分がないので、飲み込み易い。 飲み込みの状態で、いいとこゼリー状のもの、となった場合、普通のゼリーを食べるわけでなく、食事をミキサーにかけて(多分)、ゼリー状に固めたものを食べてもらうことになります。 病院のゼリー食は頑張って、見た目を良くしようとしていますが、なかなか本物と比べると・・・。 ザク豆腐 みたいな感じです。 繊細な方は、味に難があることをおっしゃいます。 食べていただきたいけど、こまったなぁ。 ということが時々あります。 最近、在宅診療をしていて教えてもらったものがこれです。 普通の食事の形をしていますが、少し噛むとくずれて、飲み込みやすくなります。 かなり飲み込み能力が落ちている人が食べていて、驚きました。 ただ、単価が高い。 病院に入るといいのに。

新規抗凝固薬の研究会。諫早で。アブレーションの話も。

アピキサバンの研究会が諫早であり、前座で話をさせていただきました。 メインは京都大学医学部附属病院 循環器内科 静田聡先生。 心房細動に対するアブレーション治療を年間300件以上されていらっしゃるというエキスパート。 翌日も朝からアブレーションがあるということで、会終了後に福岡まで戻られました。 お忙しい中、ありがとうございました。 アブレーションの適応は、動悸という自覚症状があって、たくさん薬を使っても、それが改善されない心房細動。 発症1年以内。 「発症」の定義が曖昧ですが、おそらく動悸を自覚してからということだと思います。 そこを静田先生は5年はいける、と考えているそうです。 また、適応となる左房径は50-60mm以下だということは初めて知りました。 あまり左房が大きくなっていると再起不能。 心房細動の起源は肺静脈内心筋。 そこを隔離するために(電気刺激が伝播しないために)、肺静脈の出口を焼く(アブレーションする)。 肺静脈隔離アブレーション。 焼き過ぎたら、穴があく。 心タンポナーデ(心臓の表面に出血) 裏にある食道を損傷することもある。 7割5分はうまくいく。それ以外は不十分で再施行することがある。 アブレーション後の抗凝固は? コンセンサスは無さそう。 本人と相談だそうです。 アブレーションで焼いたところは傷になっているので、 やはり抗凝固薬は必要ではないでしょうか? 私の話は、「脳卒中診療医が直面する抗血栓薬の光と影」と題して話をさせていただきました。 「光」は、新規抗凝固薬への期待。特に安全面について。 それはワルファリンよりも出血が少ないということ。 「影」は心房細動患者が冠動脈ステント治療をした場合、抗血栓療法をどうするか?ということ。 抗血栓薬たくさんは出血のリスクが上がります。 例えば、ワーファリンと抗血小板薬1剤内服している人が脳出血を起こすと6割が死亡。8割が寝たきりになります。 これは当院のデータです。 脳卒中診療医は脳出血と脳梗塞のどちらもみるので、抗血栓薬の怖さを他の診療科の先生方よりは知っています。 我々脳卒中診療医が、この怖さを他の診療科の先生方にお伝えすべきだと思います。

脳卒中は高次脳機能障害の宝庫

臨床的に脳を知りたければ、脳卒中診療に触れること。 脳卒中は脳のあらゆるところに起き得るので、いろいろな脳の症状が出現し得ます。 当たり前。 患者さんはその症状で大変なのは百も承知ですが、 この仕事を生業としている以上、「おもしろい」と思いながら、やっているわけで、 毎度毎度、その症状に「不思議だ。なんでだ?面白いなぁ」 というかんじになることしばしばです。 患者さんの昼食現場を撮影したこの写真。 左半側空間無視の患者さんの食事です。 おかゆさんは、おそらく看護師の促しで食べてしまっています。 左側を無視してしまい、おかず左半分と、ゼリーを残してしまっています。 お盆の上の左側すべてを無視しますが、何かの拍子に少し見えると、食べ始めて、 その結果、お皿の上で左半分を無視して、左側を残してしまうという感じになります。 見えているのに、認識できない。 一体どんな感じなんでしょう。 なったことがないのでわかりませんが、 患者さんは気づいていないので、苦に思っていないことがほとんどです。 右大脳半球の病変で起きます。 脳卒中患者さんでよくある症状で、飽きるほど診させていただいていますが、 相変わらず、 「面白いなぁ」と思いながら、診療させていただいています。

tPAとペナンブラ

tPA静注療法で症状の改善が得られなかったので、カテーテルを使った脳血管内治療に移行。 Penumbra (ペナンブラ) systemを使って、血栓を除去し、部分再開通が得られました。 と、スマートにできたように書きましたが、 いつも実際は、そんなにスマートにことが進むわけではありません。 途中で、不穏状態になって、頭をしきりに動かすようになったので、鎮静剤を多く使わざるを得なくなりました。 それにより、呼吸状態が悪化したので、気管内挿管をせざるをえませんでした。 なかなかスパっとできずに、多少時間がかかりました。 いつも、実際の臨床は、いろいろあります。

救急外来で手術するは、脳外科医。

硬膜下血腫の穿頭血腫洗浄ドレナージ術。 硬膜下血腫、脳の表面の出血です。 救急外来の小手術室で行っています。 吸入麻酔(普通の手術の時に使う麻酔)もあります。 硬膜下血腫。緊急の場合は、救急外来で、ドリルでグリグリ頭蓋骨に穴を開けて、血腫を出すことがあります。 脳外科医にとったら、 「そんなの普通でしょ」 かもしれませんが、 内科から見ると、 「すっげー、やっぱ外科医はカッコイイ」 かっこいいし、患者さんは良くなるし、言うことなし。 脳外科の手術はいろいろあります。 予定手術はもちろんありますが、緊急の手術も多いです。 50歳男性!右被殻(脳の比較的深い部分)出血100cc!! --緊急開頭血腫除去術。昼だろうが、夜だろうが。緊急だから。 急げ、急げ。 しかし、手術自体がリスクになるような、手術を躊躇するような患者さんにも手術をしなければならないことがあります。 84歳女性。もともと心臓病でワーファリン内服中。透析中。PT-INR 2.0(ワーファリンがよく効いていて、血液が固まりにくい状態)、左に脳出血100cc。瞳孔、左散大、右4mm。 家族は手術を希望。 左の病変は言語障害になり、理解や表現がむずかしくなる。出血の量が多いと手術しても、症状は改善しにくい。透析で、ワーファリン内服していて、頭を開いたら、血がだらだら出て止まりづらくなる。左の瞳孔が散大し、右も散大しかけている(脳損傷の度合いが強い) 家族は手術を希望。 ですので、手術。 救えないことはある。 でも、救えることはある。 今、目の前で死にそうな人を助けることができる。 その右手で。 左利きなら左手で。 いつも、カッコイイ脳外科医に感謝しております。

International Stroke Conference 2014 in San Diego!!

今年もゲットしました。ISC 2014発表のチャンス。 サンアントニオ、ロサンゼルス、ニューオリンズ、ホノルル International Stroke Conference 2013 in Hawaii 1st day で、今回はサンディエゴ。 5年連続ゲットだぜ。 「口演とポスターどっちでもいいぜ」 をクリックしていたので、内心ドキドキしていましたが。 ポスターでした。 気が小さいので、ちょっとホッとしました。 日本の脳卒中野郎の皆さんはいかがだったでしょうか? サンディエゴで会いましょう。 サンディエゴといえば・・・、なんでしょう? とりあえず海に行っとく? 泳げないけど。 ブログ、しばらく更新できていませんでした。 なぜなら、 今は、脳卒中学会総会の準備中です。締切間近。 まだ、内容が決まってない! そんな締切間近の日曜日20時。しこしこ、画像と格闘中。 ブログの更新なんてしている場合じゃなくってよ。 今年は、すでの看護師から発表2つ。薬剤師から発表1つあり。 すでに登録済み。 偉そうに、指導なんてさせていただいている場合じゃなくってよ。

脳波と格闘する研修医

脳卒中センターとはいえ、脳卒中以外の患者さんも診ることが多いです。 脳卒中疑いに混じっていることがあります。 今回は、脳卒中じゃないのはわかっていながら、「意識障害の原因が脳っぽいから」ということで、他院からご紹介をいただきました。 頼っていただいて、ありがたいことです。 脳波。 まずは自分で調べて。 わかんなくたって、まずは自分で考える。 「この波は、この教科書に載っている、この波に似ている」 で、指導医に報告。 「それゃ、アーチファクト(接触不良などによって間違って異常に見えた)」 と、ばっさり。 なんてことはしばしば。 珍しいことではありません。 でも、しかし、 それは、とっても大事なことです。 自分で調べずに聞く、「そりゃ、アーチファクト」とは大きな違いがあります。 身に染みるぅ。 この繰り返しが、未来の「医師力」につながります。 頭を使って、体をつかって、日々の診療にあたりましょう。 と、自戒の念も込めて。   彼の今の脳波、   humpが出ていませんように。

DPP4阻害薬。いい薬なんでしょうけど・・・。

Dipeptidyl peptidase 4 inhibitor。 初めて本名を知りました。DPP-4 阻害薬。 インクレチンの分解を阻害する薬。 インクレチン。 ある一定以上に血糖値が高まると、小腸から分泌され、インスリン分泌を促す奴。 つまり、DPP-4阻害薬は、 ある一定以上に血糖値が高まって分泌されるインクレチンの分解を阻害することによって、インスリン分泌をさらに促す薬。 もちろん、糖尿病の人に使う薬。 血糖が上がったら作用する薬なので、より生理的。 スルホニルウレア薬(SU薬)は空腹時の血糖を下げるので、低血糖が比較的起きやすい。 そのDPP-4阻害薬はたくさんあります。 糖尿病の専門家じゃないので、詳しくは知りませんが、10個弱。 それぞれの特徴はありますが、あまり血糖降下作用に差はないようです。 前置きが長くなりました。 そもそも、なぜ糖尿病を治療するのか、なぜ血糖コントロールが重要か? 将来の糖尿病合併症を予防するため。 糖尿病合併症とは、腎臓病、網膜症、末梢神経障害など、古典的な合併症も大切ですが、心臓血管病(冠動脈疾患)、脳血管障害などのほうが重要かもしれません。 糖尿病治療薬研究のエンドポイントは、「心血管死、冠動脈疾患、虚血性脳血管障害」となることがしばしばです。 はい、脳梗塞は重要な病気の一つと考えられます。 Scirica et al. NEJM 2013 Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus Saxagliptin 商品名 オングリザ 7番目のDPP-4阻害薬。 目的:オングリザが心血管病のリスクを下げるのか? 方法:無作為ランダム化、二重盲検 対象:16492人。オングリザと偽薬。平均追跡期間2.1年。 一次エンドポイント:心血管死、冠動脈疾患、虚血性脳血管障害 二次エンドポイント:一次エンドポイント+心不全による入院、冠動脈治療、脳血管障害、不安定狭心症 安全エンドポイント:膵炎、癌、汎血球減少、腎障害、肝障害など。 (膵炎や癌はDPP-4阻害薬との関連があるかもしれないし、ないかもしれないし。と言わ

The 6th Korea Japan Joint Stroke Conference 於 大阪

韓国と日本の共同学会。 もちろん脳卒中の。 6回目にして初めて参加しました。 お隣ですが、医療のシステムが違うようで、それが垣間見えた気がしました。 それが、間違っているかもしれないので、書くことはできませんが。 ただ、脳卒中が来る病院には相当来るみたいです。 2年の期間で、脳梗塞が1500人も来る病院がありました。 本当か? まぁ本当なんでしょうけど。 脳梗塞一歩手前、崖っぷち状態の一過性脳虚血発作。 脳卒中症状が、1日以内に消失する。 この一過性脳虚血発作、何が問題かというと再発が問題。 起こってすぐに再発する可能性が高いです。 で、脳卒中専門の病院へ行くべきなんですが、症状がないからということで、一般病院からの専門病院への紹介が少ないことが問題です。 一過性脳虚血発作(TIA)クリニック と銘打って、地域の一般病院にビラを配り、一過性脳虚血発作患者さんを見ていくと、 ちゃんと増えていました。 大切なことです。 多分来年は韓国だから、また参加してみようかな。 焼肉食べたいし。 脳外科の先生の口演です。 もちろん英語です。 前日夜はキッシュとワイン。 一人飲みは飽きました。 もっと脳卒中内科スタッフが増えて、何人かで学会参加ができるようになりますように(祈)。

ゆけ!ベッドサイドへ

ある日のこと。 脈拍150/分の頻脈になっていた患者さん。 主治医は研修医。 頓服でワソランを内服しましょう。脳梗塞急性期だからストレスもかかっているし、それで様子を見て、脈拍調節は検討しましょう。 処方して、看護師さんにお願いして、早めに内服してもらっておいてください。 と、朝のラウンドで決定。研修医よろしく。 1時間ぐらいして。この患者さんがいる病棟とは違う病棟にて(大きな病院なので結構離れています)。 私「脈拍どうなった?」 研修医「あっ、見てないです。」 私「うーん。自分がした治療を見届けたほうがいいよ。どうなったか気にならない?」 研修医「すいません。見てきます。」 ・・・3分後。 研修医「見てきました。内服が8時30分で、10時の脈拍はまだ150でした。」 私「??早いですね。もしかして電子カルテで確認しただけでは?」 研修医「はい・・・、?」 私「ベッドサイドに行って、患者さんを診て、評価しなさい。そんな確認の仕方はよくないです」 電子カルテって便利です。色んな所で患者さんの状況がわかるようになりました。 アメリカでは、病院外でもカルテを閲覧することができます。 便利なものには、必ず、いいこととわるいことがあります。 電子カルテを見たって、患者さんを診たことにはならない。 もう、ぜんぜん違う。 ベッドサイドで患者さんに触れて初めて、「診た」ことになります。 現れる数字を、医師の診察を介して、医療の数字にしなければなりません。 診察技量もその積み重ねで上達していきます。 積み重ねです。 最初から、スーパードクターにはなれません。 どんな神の手ドクターも、最初は糸結びから始めたはずです。 「ベッドサイドに、おいきなさい」 この写真は関係ありません。

脳卒中ナースの臨床研究

本日は時々開催の脳卒中カンファレンスの日。 脳卒中内科医、脳神経外科医、看護師、リハビリテーションスタッフが集まって、脳卒中診療に関して、教えつつ、教えられつの会。 今日も楽しかったです。 まずは、脳神経外科の若い先生から、脳外科術後の髄液鼻漏について、教育講演をいただきました。 内科医にとっては、わからないところなので、非常に勉強になりました。 術後早期の髄液鼻漏は様子観察。数日後の髄液鼻漏は要注意。 頭蓋底の孔を筋肉片も使って埋めるなんて知らなかった。 若い先生なのにわかりやすい発表でした。 次はリハビリテーションスタッフから。 脳卒中急性期患者さんは、飲み込みが悪いことがよくあります。 飲み込みも片方が麻痺しちゃう。 しかし、だからといって食べさせないのは、非人間的。 食べられる人と食べられない人を確実に分ける必要がある。 (食べられないのは最初だけで、基本的には後日食べられるようになることが多いです) 最初から食べられるかどうか判断する方法は、基本的には水飲みテスト。 水を飲ませてみて、その時の状態をいくつかの項目でチェックします。 一番信頼度が高いのは、評価者の「経験」です。 ちゃんと、たくさん、患者さんを診させていただいていると、だいたい食べられそうか、そうでないかわかります。 うちの看護師たちは、だいぶ経験を積んだので、よくわかっています。 とはいえ、そんなに経験者でなくても、問題なく、食べられるかそうでないかを判断する評価法が必要、という話をしてもらいました。 そりゃそうだ。 今度、話し合いましょう。 脳卒中病棟看護師からは、脳卒中患者の生活の質について。 救命ナースからは、来院からtPA静注療法(脳梗塞の治療薬)開始までを、これまで以上にスピードアップ。そのために看護師ができること。 を話してもらいました。 どちらも、とてもおもしろいです。脳卒中病棟看護師の研究は特に看護師特有の目線が重要な研究なので、我々医師にとって、勉強になりました。 Let's go 脳卒中学会総会。 この結果から興味深い発見があったので、続きの研究をしようかなぁと画策しています。 救命ナースの研究は、早速効果が出ていま

クーポン大好きアメリカ人。えっ!?薬のクーポン??

アメリカ人。クーポン大好きです。 いや、”キュッポン”です。 発音は。 キュッポンのテレビ番組があります。 どれだけキュッポンを使って、ただで生活できるか? みたいな番組。 Extreme couponing TLC.com 最初は何の番組かわからなかったので、キュッポン、キュッポン連呼されてて、意味もなく面白かった記憶があります。 内容を知って、さらに面白かったです。 アメリカ人好っきやね、キュッポン。 TV showになるくらいキュッポンは当たり前のアメリカ社会。 そして、とうとう薬にも!! と、びっくりするのは非アメリカ人。アメリカ人にとっては普通なのでしょう。 患者さんにとって良いことなの? コストは? そもそも、合法?? NEJMから Ross et al. NEJM 2013Prescription-Drug Coupons — No Such Thing as a Free Lunch ”No such thing as a free lunch” 「ただより高いものはない。」 ですよね。 薬キュッポンとは 「ブランド会社の薬剤をキュッポンを使って購入すると、安い同成分のジェネリックと同じ値段で買える」 www.internetdrugcoupons.comを調べると、374の薬キュッポンがあり、すべて医師の処方が必要な物でした。75%は慢性疾患に対する薬で、逆流性食道炎の薬、がんの薬、エイズの薬など。 www.internetdrugcoupons.com/ (このウェブサイトを見てみると、早速NEJMの内容に文句を言ってます。「100%合法だっちゅうの」ですって) コストは、短期的には安い。 しかし、キュッポンの期間は限定されている。 また、保険会社が高い料金を払わないといけない。そうすると、保険料が高くなる。結果、社会全体のコスト減にならないばかりか、患者個人にとっても保険料を含めた医療費が高くなる。 長期的なコスト減にははなはだ疑問。というわけです。 合法化どうか。 今現在、訴訟中だそうです。 結局、ジェネリックを処方したほうがいい、ということですかね・・・。 キュッポンポン。

ブログ DE カンファ 悪者は高血糖?脳梗塞?脳腫瘍?パート2

先日の症例。 造影MRIが施行されました。 造影MRI 明瞭に腫瘍性病変がうつしだされています。 「髄膜腫」 ということでした。 「たまたま脳動脈の支配領域に髄膜腫があったので、あたかも脳梗塞のように見えた。」 わけです。 このように、脳卒中疑いで、いらっしゃる方の中には、脳卒中でない方も含まれてきます。 診療能力が養われる、と思います。 ・・・・・ とか、独り言を言っていいると、まさに今、外科の先生から連絡あり。 「術後で、けいれんみたいなんですけど、診てもらっていいですか?」 けいれんも、よくお声をかけていただいています。 日々勉強になります。 脳卒中診療をさせていただいていると、脳卒中以外の緊急疾患も診させていただく機会が多く、興味深い症例の出会うことが多々あります。

ブログ DE カンファ 悪者は高血糖?脳梗塞?脳腫瘍?

とうとう使ってしまった"DE"。 恥ずかしい。 巷で氾濫している"DE"を使ってしまった。 "DE"の意味もわからず。 興味深い患者さんを提示して、後日、何だったのかを再提示しようという企画です。 企画というにわりには参加者はいませんけど。 今まさに、診療途中の患者さん。 70歳台 左麻痺があるということで、休日当番の輪番病院へ連絡。脳卒中の可能性があるので大学病院へ行くようにと指示をされたので、救急車で受診。 既往歴) 4年前髄膜腫(atypical meningioma)摘出術後 3年前ラクナ梗塞 2型糖尿病(中間型インスリンをトータル40単位/日) 内服薬は家族の目の前で飲んでいたが、インスリン注射は自分でやっていた(はず)。 <神経所見の抜粋> 何月かわからず、認知機能障害がありそうだが、明らかな意識障害はない(少しぼーっとしている程度) 左不全麻痺(本人家族に聞くと前から、と) 左感覚無視(同時に両手を触られると、右しか触られていないと答える(左の感覚を無視してしまう)) <血液検査の抜粋> 血糖 611mg/dl pH 7.344 PCO2 24torr PO2157torr BE -7.1 <頭部MRIの抜粋> 拡散強調画像:右中大脳動脈領域と思われる部分にDWI高信号あり。 ADC値はほとんど低下していない。 FLAIR: 右側が皮質を含んで腫れている。高信号。 T2*: 微小な出血を合併している。 <病歴聴取をもう少し詳しく> 私)いつから調子が悪いのですか? 家族)今朝からです。椅子から立てなくなりました。手を握らせたら左手が弱かったです。 私)本当に今朝からですか?昨日はどうでしたか? 家族)そういえば、昨日はぼーっとしていました。頭が痛いも行っていました。 私)最近、お茶碗が持てなくなったりしていませんか?食卓で左側のものを残したりしませんか?左側をぶつけたりしませんか? 家族)そんなことはなかったですが、そういえば、2,3日前からトイレの流し忘れが多いです。レバーは左側にあります。 病歴聴取が最も大切ということは、昔から言われていることで、新しい

なぜ、がんばれるのか?

80歳ぐらいの男性。 50歳ぐらいの時に脳出血を左大脳半球に起こされていて、麻痺はあるものの杖歩行ができる程度。 75歳の時に脳出血を今度は右側に起こして、当院にご入院されました。当院からほかの病院に転院するときは、コミュニケーションが取れる状態でなく、完全に介助が必要な状態でした。 しかし、幸い、というかかなり驚くことに、その後外来でお会いした時には、2回目の脳出血を起こす前の状態に戻っていらっしゃいました。 それから5年間ぐらい、外来(在宅)でお会いしていながら、聞いていないことがありました。 彼は、何とか杖歩行ができますが、お風呂はデイサービスで介助がないと入れないし、口元をうまく動かせないので、話している内容も半分以上は伝わりません。 しかし、常々おっしゃっていました。 「何とか、少しでも、よくなるように」 私は、5年間、診させていただきながら、 「でも、病気から何年もたっているから、今の状態からよくなることはないんだけどなぁ」 と、わかったような、偉そうなことを心の中でつぶやいていました。 ふと、思いついて私が話したこと。 「年齢を重ねて、筋力が落ちて、活動度が低下することが多いのに、〇〇さんは変わらないですね。少しでも良くなるように、って思いながらリハビリを続けていることが、現状維持につながっているんでしょうね。どうして、がんばれるんですか?」 「(デイサービスとか、訪問リハビリとかの)若い人が、頑張ってリハビリをしてくれるから、それにちゃんと答えないと申し訳ない。周りが自分に頑張ってくれるから、私もがんばってやっている」 勉強になりました。 リハビリを自分のためにやるのではなく、自分に対して一生懸命してくれる人のために、やる。 こんな考えは自分の中にありませんでした。 「自分の能力を取り戻すために。」 「〇〇ができるようになるために。」 リハビリテーションはそんな気持ちでやるものだと思っていました。 彼の奥様がおっしゃっていました。 「昔から、若い人をはげましたり、頑張らせたりすることを大切にする人でした。自分の子供にも「親孝行はせんでいいから、子供によくしてやりなさい」とよく言っていました。その代り、私がずぶ濡れで買い物から帰ってきても「大変だったね」の一言もない(

手術器具によりクロイツフェルト・ヤコブ病の危険に晒された?

アメリカ、ニューハンプシャー州の病院で、孤発性のクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease: CJD)と疑われた患者で使われた手術器具が、13人の患者さんに使われたという話。 Thirteen New England patients possibly exposed to fatal brain disease CJDは手術の後に診断されています。 手術器具は普通の消毒しかされておらず、CJDの消毒には不十分です。 CJDは正常プリオン蛋白が何らかの理由で異常プリオン蛋白に変異し、脳に蓄積して、脳がスポンジ状にスカスカになる病気です。基本的には数ヶ月で死に至ります。 CJDが疑われたその患者さんの診断はまだ確定されていません。病理解剖の結果待ちですが、おそらく間違いないでしょう。 また、感染のリスクは"extremely low, as those patients underwent spinal surgery and not brain surgery, (とても低い、なぜなら脊髄の手術で使われていて、脳の手術で使われていないから) " ・・・にわかには、 「ですよね」 と納得出来ないですが、自信満々に言っているということは大丈夫なんでしょうか。 確かに感染経路がわかっていない孤発性CJDって感染するのだろうか? 孤発性のCJDは狂牛病がかかわるCJDと違って、牛の肉から感染するわけではありません。明らかな原因なく発症します。 残念ながら治療法はありません。 性格が変化したり、認知症が急激に進行したり、急にガクガクとした動きがでてきたりすることが症状の一部です。 自分が、と思うと・・・・。

日本発の新規抗凝固薬:江戸っ子キサ坊

ダビちゃん(ダビガトラン)、リバ子(リバーロキサバン)、アッピー(アピキサバン)に続く4番手。 江戸っ子キサ坊。 エドキサバン。 今回は、急性深部静脈血栓症のおけるワルファリンとの比較で、非劣性(変わらない結果)を示した。という話。 The Hokusai-VTE Investigators NEJM 2013 Edoxaban versus Warfarin for the Treatment of Symptomatic Venous Thromboembolism. 対象:深部静脈血栓(膝窩または大腿)を有する患者。肺塞栓患者(深部静脈血栓症あったりなかったり) ●エドキサバン60mg/day 1日1回 ●エドキサバン30mg 1日1回 (Ccr 30-50ml/min,または体重60kg未満) ●ワーファリン(目標PT-INRは2.0-3.0)→治療域にあった時間63.5%。 ランダム化二重盲検非劣性試験。 3−12ヶ月試験薬を内服。 4118人のエドキサバングループ。 4122人のワルファリングループ。 primary efficacy outcome: --症候性静脈血栓再発 --静脈血栓に関連した死亡 --非致死的肺塞栓(深部静脈血栓検出を問わない) 安全性予後チェック --出血性合併症 結果: primary efficacy outcome: 130人(3.2%) vs 146人(3.5%) ハザード比 0.89;95%CI 0.70-1.13, p<0.0001(for noniferiority) 安全性予後チェック(大出血または臨床的に明らかな大出血じゃない出血) 349人(8.5%) vs 423人(10.3%) ハザード比 0.81;95%CI 0.71-0.94, p=0.004 (for superiority) 大出血 56人(1.4%) vs 66人(1.6%) ハザード比 0.84;95%CI 0.59-1.21, p=0.35 (for superiority) 静脈血栓再発 130人(3.2%) vs 146人(3.5%) ハザード比 0.89;95%CI 0.70-1.13, p<0.001 (for noninferi

脳卒中の看護研究

看護師も臨床研究をします。 看護師の視点から、脳卒中診療を考える。 脳卒中の看護で何が問題なのかをデータで知り、 今後の看護に活かす。 現在、救命救急センターと脳卒中病棟でそれぞれ1つずつ看護研究を行ってもらっています。 脳梗塞急性期診療についての研究 と 脳梗塞患者の3ヶ月後の状態をある評価項目を用いて調べる研究。 そのため、先日は救命救急センターの看護師が、放射線技師さんの前で20分程度話をさせてもらいました。 なかなか、かっこよかったです。 脳卒中病棟の看護師とは、データを見なおして、話し合いを行いました。 看護師の視点からのコメントが出て、医師の考え方とは違う、より患者さんの日常に沿った検討が更にできそうです。 脳卒中学会総会で発表してもらいましょう。 急性期診療の研究はInternational Stroke Conferenceに出せるかも。 と、考えられるほど良いデータが出そう。 今日は、どちらの場でも写真を撮ることを忘れるほど、気合が入ってしまって反省。

指導医講習 at 山の上

研修医を指導する指導医のための講習会。 ほぼ2日間まるまる、たくさんのワークショップ(ある議題をグループで話し合って、いろいろな方法で解決策を探る)がありました。 指導をするためにも、多少の方法論があり、それをみんなで協力しながら学ぶ。 医師は患者を診療させていただくだけでなく、その自分の診療技術を若い先生に伝えなければなりません。 殆どの仕事で、当たり前のことが、医療の世界でもあるわけです。 しかし、命を扱うという仕事の特性上、指導には難しさが伴います。 瀕死の状態で救急搬送されてきた患者の対応で、研修医がちょっとした間違いをしようとしたら、有無をいわさず、 「もうよか、あっちいっとって(もういい、あっちに行ってて)」 となります。 ミスして勉強。 というわけには行きません。 とはいえ、すべての状況で、「もうよか」とするわけではないので、ちょっと落ち着いた状況では、指導のテクニックが必要になります。 P: positive N: negative P: positive ほめて、指導して、ほめる。 PNPが重要です。 日本人は褒めるのが下手なので、PNでもいいそうです。 当たり前ですが、難しいですよね。 間違いがあったら、「そら、違う。」「なんでそうなる??」とすぐに突っ込みたくなります。 褒め忘れ。 褒められると嬉しいですよね。その上で指導されると、「がんばろー」と思うのはよくわかります。 だって、これまで35年間、たくさんの指導者に指導を受けてきたので。 体に、心に染み付いています。 ただ、痛烈に覚えているのは、怒られたこと。 だから、"N"が一番大切だと思っています。 "N"の前の"P"は、卓袱料理のお鰭(最初に食べる吸い物)のようなもの。 プレコンディショニング、前準備です。 "N"が心に入るための準備を整えてあげる。 そして、"N"のあとの"P"は、コース料理のデザートのようなもの。 かもしれません。 PNP どんな場面でも使えそうです。 疲れました。 準備された先生方やスタッフもお疲れだったことで

健康診断は職員の義務です

なんて院内放送が流れたからではなく、 受けました、健康診断。 医師は自分たちの病院で適当に検査して、検診代わりにしているわけではありません。 外部の団体に検診をしていただいています。 意外と知られていないような気がする。 でも、どうでもいいような気がする。 こんなこと知らなくても、日常生活は送れます。 まじめに、ちゃんと受けますけど、検診の内科診察を内科医の先生から、内科の医師がしていただく、 という図が少しシュールでおもしろいなぁ、と毎回思ってしまいます。 丸いくるくる回る椅子に座ると、いつもと違うのでなんだか変な感じです。 ちなみに、内科検診の診察バイトは意外としんどいです。 多数の検診者を時間制限内に診察しなければなりません。 以前、したことがあります。 その時は、引っ越し会社の検診だったので、屈強な兄ちゃん達ばかりを内科診察したので、 違う感情が。。。 今年は憧れの35歳検診。 採血ありのフルコース。

にかいめ♡

1日でtPA静注療法3件。 二回目です。 tPA静注療法の適応時間が、 「発症から 3時間 」 から 「発症から 4.5時間 」 に延長して、治療できる患者さんが明らかに増えました。 当たり前ですが。   救急外来看護師、救命病棟看護師、9階東病棟看護師のみなさん、   ありがとうございました。   脳外科当直のお二人。   お疲れ様でした。   長崎は久しぶりの雨です。   土砂降りになったり、晴れたり。   ほんとに久しぶりの雨。   「気圧の影響があるんですかねぇ?こんなにたくさん患者さんが来るのは。」   と若い脳外科医に聞かれましたが、     知りません。     勉強しよーかな。

統計解析も臨床医のたしなみ

今日は、医学統計が専門の先生による統計の講義がありました。 たくさんの参加者があり、みんな関心が高い話題だと実感しました。 必要だし、関心が高いけど、あの難しい式の数々を見せられると 「参りました〜」 となってしまって、頭に入らないんです。 理系クラスだけど、理系が苦手だったわけで。 今回の講義は、とってもわかりやすくて、臨床研究に入る前準備の重要性とその方法がよくわかりました。 いや、わかったつもり、か。 今回は、サンプルサイズの決め方。 どのくらいのサンプルがあれば、有意差が出るかを、研究を始める前に(草案を作っているときに)考えることが重要。 その方法の話。 必要なサンプルサイズの決定には 1:帰無仮説(AとBは一緒ぐらいという仮説)と対立仮説(AとBは一緒ぐらいではないという仮説=”帰無仮説は違う”という仮説)の設定 2:連続データならt検定。2値データならχ2乗検定 3:効果量(effect size)の設定 が重要 専門家じゃないので、優しい言葉に変換して、ブログに掲載することができない。 しかたないので、好き勝手に復習してみます。 多少の知識の固定になるでしょう。 Type 1 error (第1種の過誤=誤検出)とType 2 error (第2種の過誤=検出失敗)、そして検出力の関係が少しわかった。 真の状態とは、実際はわからないけど、神様は知っていること。 "1.96"という数字は時々見かけますが、これと関係があるわけですね。意味はわかりませんが。雰囲気はわかりました。 このサンプルサイズの計算が鬼門です。 講義後に質問がいくつかありました。 過去の研究から、μと標準偏差(SD)を”適当に”代入して、算出する。 ここがポイントですが、いろいろな報告で、数値が大きく違うので(特に標準偏差)違いが出るところです。 でもあんまり考えすぎたり、とらわれすぎても進まないから、まぁ代入してみるって感じでしょうか。 こんな票があるので、計算せずともだいたいわかります。 2値データの場合は、連続データよりも標準偏差が不要な分、代入が簡単。