症候性脳動脈狭窄に対するステント留置術の効果を検討したSAMMPRIS studyの最終結果が出ました。
やっぱり「No」でした。
この研究、実は、ステント留置+内科的リスク管理グループが、内科的リスク管理のみのグループよりも、あきらかに劣る「可能性が高い」ということで、早期終了という形で終わっていました。
「可能性が高い」
というのは、長期経過観察をされていな時点での結果だったから。
今回は、終了以降、長期に患者さんを経過観察した結果です。
長期的に観察しても、やはり、ステント留置+内科的リスク管理グループが内科的リスク管理グループよりも、結果が悪かったので、
やっぱり「No」
と言わざるを得ない。
多くの脳卒中診療医が残念に思っていると思います。
と、同時にしっかりリスク管理を行っていくことが、とても大切なことを再認識させられます。
The Stenting and Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent stroke in Intracranial Stenosis (SAMMPRIS)
Derdeyn et al. Lancet 2013 Aggressive medical treatment with or without stenting in high-risk patients with intracranial artery stenosis (SAMMPRIS): the final results of a randomised trial
対象は脳動脈70-99%狭窄がある、虚血性脳血管障害発症30日以内の患者。
狭窄部への
ステント留置と強力な内科的リスク管理をするグループ (PTAS group)
強力な内科的リスク管理をするグループ (medical group)
の2つにわけ、ステンと留置の有効性を探る研究です。
Primary Endpoint
研究登録後30日以内の脳血管障害、または死亡。
研究登録後30日以降の狭窄血管領域の脳梗塞。
再灌流療法(※)後30日以内の脳血管障害、または死亡。
※内科的リスク管理グループへのステント留置、またはステント留置グループの再狭窄への血管内治療
結果
Secondary Endpoint
脳卒中(p=0.0468)と重大な出血(p=0.0009)がPTAS groupで多かった。
medical groupとPTAS groupのPrimary endpointの差は長期的にみても縮まりません。
これが意味するところは、もし、ステント留置の周術期リスクが、medical groupと変わらないまでによくなっても、PTAS groupがmedical groupを超える有効性を示すことができないということです。
ステント留置の有効性を示す予定で組んだ研究なのに、このような結果になった理由は、やはり、内科的リスク管理が以前より進んでいる、ということにあるようです。
この研究の基礎になったデータは2005年のWASID studyです。
この時の、内科的リスク管理患者のデータを元にして考えると、
「SAMMPRIS studyではPTAS groupが勝てる」
と目論んでいました。
しかし、WASIDの時代よりも、内科的リスク管理がよりアグレッシブになっていることにより、その目論見は返り討ちにあってしまいました。
SAMMPRISとWASID
登録時
目標血圧達成率(34% vs 49%)
目標LDL-C達成率(24% vs 9%)
しかし、1年後
目標血圧達成率(70% vs 50%)
目標LDL-C達成率(62% vs 12%)
SAMMPRIS時代は、内科的リスク管理が進んでいます。
そもそも脳血管内ステント留置術は、心臓の冠動脈ステント留置術のように一般的ではありません。
もっと、症例数が増えて、経験が蓄積されると合併症などは減っていくでしょう。
しかし、このSAMMPRISの結果、ステント留置へのチャレンジは患者をリスクに晒す、ということを意味してしまうので、症候性脳動脈狭窄に対するステント留置を今後推し進めるのは事実上困難となってしまいました。
やっぱり脳血管は難しい。
だからこそ、やりがいがある。
と、思うしかない。
やっぱり「No」でした。
この研究、実は、ステント留置+内科的リスク管理グループが、内科的リスク管理のみのグループよりも、あきらかに劣る「可能性が高い」ということで、早期終了という形で終わっていました。
「可能性が高い」
というのは、長期経過観察をされていな時点での結果だったから。
今回は、終了以降、長期に患者さんを経過観察した結果です。
長期的に観察しても、やはり、ステント留置+内科的リスク管理グループが内科的リスク管理グループよりも、結果が悪かったので、
やっぱり「No」
と言わざるを得ない。
多くの脳卒中診療医が残念に思っていると思います。
と、同時にしっかりリスク管理を行っていくことが、とても大切なことを再認識させられます。
The Stenting and Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent stroke in Intracranial Stenosis (SAMMPRIS)
Derdeyn et al. Lancet 2013 Aggressive medical treatment with or without stenting in high-risk patients with intracranial artery stenosis (SAMMPRIS): the final results of a randomised trial
対象は脳動脈70-99%狭窄がある、虚血性脳血管障害発症30日以内の患者。
狭窄部への
ステント留置と強力な内科的リスク管理をするグループ (PTAS group)
強力な内科的リスク管理をするグループ (medical group)
の2つにわけ、ステンと留置の有効性を探る研究です。
Primary Endpoint
研究登録後30日以内の脳血管障害、または死亡。
研究登録後30日以降の狭窄血管領域の脳梗塞。
再灌流療法(※)後30日以内の脳血管障害、または死亡。
※内科的リスク管理グループへのステント留置、またはステント留置グループの再狭窄への血管内治療
結果
primary endpoint
30日後
medical group vs PTAS group
5.8% vs 14.7%, p=0.0016
1年後
12.6% vs 19.7%, p=0.0428
2年後
14.1% vs 20.6%, p=0.07
3年後
14.9% vs 23.9%, p=0.0193
Secondary Endpoint
脳卒中(p=0.0468)と重大な出血(p=0.0009)がPTAS groupで多かった。
medical groupとPTAS groupのPrimary endpointの差は長期的にみても縮まりません。
これが意味するところは、もし、ステント留置の周術期リスクが、medical groupと変わらないまでによくなっても、PTAS groupがmedical groupを超える有効性を示すことができないということです。
ステント留置の有効性を示す予定で組んだ研究なのに、このような結果になった理由は、やはり、内科的リスク管理が以前より進んでいる、ということにあるようです。
この研究の基礎になったデータは2005年のWASID studyです。
この時の、内科的リスク管理患者のデータを元にして考えると、
「SAMMPRIS studyではPTAS groupが勝てる」
と目論んでいました。
しかし、WASIDの時代よりも、内科的リスク管理がよりアグレッシブになっていることにより、その目論見は返り討ちにあってしまいました。
SAMMPRISとWASID
登録時
目標血圧達成率(34% vs 49%)
目標LDL-C達成率(24% vs 9%)
しかし、1年後
目標血圧達成率(70% vs 50%)
目標LDL-C達成率(62% vs 12%)
SAMMPRIS時代は、内科的リスク管理が進んでいます。
そもそも脳血管内ステント留置術は、心臓の冠動脈ステント留置術のように一般的ではありません。
もっと、症例数が増えて、経験が蓄積されると合併症などは減っていくでしょう。
しかし、このSAMMPRISの結果、ステント留置へのチャレンジは患者をリスクに晒す、ということを意味してしまうので、症候性脳動脈狭窄に対するステント留置を今後推し進めるのは事実上困難となってしまいました。
やっぱり脳血管は難しい。
だからこそ、やりがいがある。
と、思うしかない。
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