Dipeptidyl peptidase 4 inhibitor。
初めて本名を知りました。DPP-4 阻害薬。
インクレチンの分解を阻害する薬。
インクレチン。
ある一定以上に血糖値が高まると、小腸から分泌され、インスリン分泌を促す奴。
つまり、DPP-4阻害薬は、
ある一定以上に血糖値が高まって分泌されるインクレチンの分解を阻害することによって、インスリン分泌をさらに促す薬。
もちろん、糖尿病の人に使う薬。
血糖が上がったら作用する薬なので、より生理的。
スルホニルウレア薬(SU薬)は空腹時の血糖を下げるので、低血糖が比較的起きやすい。
そのDPP-4阻害薬はたくさんあります。
糖尿病の専門家じゃないので、詳しくは知りませんが、10個弱。
それぞれの特徴はありますが、あまり血糖降下作用に差はないようです。
前置きが長くなりました。
そもそも、なぜ糖尿病を治療するのか、なぜ血糖コントロールが重要か?
将来の糖尿病合併症を予防するため。
糖尿病合併症とは、腎臓病、網膜症、末梢神経障害など、古典的な合併症も大切ですが、心臓血管病(冠動脈疾患)、脳血管障害などのほうが重要かもしれません。
糖尿病治療薬研究のエンドポイントは、「心血管死、冠動脈疾患、虚血性脳血管障害」となることがしばしばです。
はい、脳梗塞は重要な病気の一つと考えられます。
Scirica et al. NEJM 2013 Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
Saxagliptin 商品名 オングリザ
7番目のDPP-4阻害薬。
目的:オングリザが心血管病のリスクを下げるのか?
方法:無作為ランダム化、二重盲検
対象:16492人。オングリザと偽薬。平均追跡期間2.1年。
一次エンドポイント:心血管死、冠動脈疾患、虚血性脳血管障害
二次エンドポイント:一次エンドポイント+心不全による入院、冠動脈治療、脳血管障害、不安定狭心症
安全エンドポイント:膵炎、癌、汎血球減少、腎障害、肝障害など。
(膵炎や癌はDPP-4阻害薬との関連があるかもしれないし、ないかもしれないし。と言われている重要な部分)
結果:
オングリザのほうが血糖コントロールが良好でした。低血糖による入院に差はありませんでした。
一次エンドポイント:
オングリザ vs 偽薬 613人(7.3%) vs 609人(7.2%)
(ハザード比:1.00, p=0.99, 95%信頼区間 0.89-1.12)
二次エンドポイント:
オングリザ vs 偽薬 1059人(12.8%) vs 1034人(12.4%)
(ハザード比:1.02, p=0.66, 95%信頼区間 0.94-1.11)
しかし、心不全入院がオングリザ内服患者に多かった。
オングリザ vs 偽薬 289人(3.5%) vs 228人(2.8%)
(ハザード比:1.27, p=0.007, 95%信頼区間 1.07-1.51)
これに対する理由というか考察:多重検定による疑陽性の可能性(2群間でたくさん解析すると疑陽性が出る可能性が5%ぐらいある)、かもしれない。将来のDPP-4阻害薬研究においても心不全の検討が必要。
急性膵炎:
オングリザ vs 偽薬:22人(0.3%) vs 16人(0.2%)、p=0.42
慢性膵炎:
オングリザ vs 偽薬:2人(<0.1%) vs 6人(0.1%), p=0.18
結論:
オングリザは虚血性心血管障害を減らしも増やしもしない。しかし、心不全入院が多かった。オングリザは血糖コントロールが良好になったけど、それが直接的に虚血性心血管障害を減らすわけではないのかもしれない。
最近冠動脈疾患を起こした2型糖尿病患者にネシーナを投与して、平均18ヶ月経過観察した研究でも、同様な結果でした。
White et al. NEJM 2013 Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes
一次エンドポイント:心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中
ネシーナ vs 偽薬:305/2701人(11.3%) vs 316/2679人(11.8%)
(ハザード比:0.96, p=0.32)
ロシグリタゾン(日本未承認)が心血管病リスクを増やす可能性があることがあり、それ以降、アメリカFood and Drug Administration(FDA)は、新規DPP-4阻害薬に心血管病リスクの検討うをするよう義務付けていました。
上記の2つの研究は、それをクリアしていますが、その一方で、「心血管病リスクを減らさない」という残念な結果も示しました。
もっと5年とか10年とか観察を続けるとよいのでしょうか?
初めて本名を知りました。DPP-4 阻害薬。
インクレチンの分解を阻害する薬。
インクレチン。
ある一定以上に血糖値が高まると、小腸から分泌され、インスリン分泌を促す奴。
つまり、DPP-4阻害薬は、
ある一定以上に血糖値が高まって分泌されるインクレチンの分解を阻害することによって、インスリン分泌をさらに促す薬。
もちろん、糖尿病の人に使う薬。
血糖が上がったら作用する薬なので、より生理的。
スルホニルウレア薬(SU薬)は空腹時の血糖を下げるので、低血糖が比較的起きやすい。
そのDPP-4阻害薬はたくさんあります。
糖尿病の専門家じゃないので、詳しくは知りませんが、10個弱。
それぞれの特徴はありますが、あまり血糖降下作用に差はないようです。
前置きが長くなりました。
そもそも、なぜ糖尿病を治療するのか、なぜ血糖コントロールが重要か?
将来の糖尿病合併症を予防するため。
糖尿病合併症とは、腎臓病、網膜症、末梢神経障害など、古典的な合併症も大切ですが、心臓血管病(冠動脈疾患)、脳血管障害などのほうが重要かもしれません。
糖尿病治療薬研究のエンドポイントは、「心血管死、冠動脈疾患、虚血性脳血管障害」となることがしばしばです。
はい、脳梗塞は重要な病気の一つと考えられます。
Scirica et al. NEJM 2013 Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
Saxagliptin 商品名 オングリザ
7番目のDPP-4阻害薬。
目的:オングリザが心血管病のリスクを下げるのか?
方法:無作為ランダム化、二重盲検
対象:16492人。オングリザと偽薬。平均追跡期間2.1年。
一次エンドポイント:心血管死、冠動脈疾患、虚血性脳血管障害
二次エンドポイント:一次エンドポイント+心不全による入院、冠動脈治療、脳血管障害、不安定狭心症
安全エンドポイント:膵炎、癌、汎血球減少、腎障害、肝障害など。
(膵炎や癌はDPP-4阻害薬との関連があるかもしれないし、ないかもしれないし。と言われている重要な部分)
結果:
オングリザのほうが血糖コントロールが良好でした。低血糖による入院に差はありませんでした。
一次エンドポイント:
オングリザ vs 偽薬 613人(7.3%) vs 609人(7.2%)
(ハザード比:1.00, p=0.99, 95%信頼区間 0.89-1.12)
二次エンドポイント:
オングリザ vs 偽薬 1059人(12.8%) vs 1034人(12.4%)
(ハザード比:1.02, p=0.66, 95%信頼区間 0.94-1.11)
しかし、心不全入院がオングリザ内服患者に多かった。
オングリザ vs 偽薬 289人(3.5%) vs 228人(2.8%)
(ハザード比:1.27, p=0.007, 95%信頼区間 1.07-1.51)
これに対する理由というか考察:多重検定による疑陽性の可能性(2群間でたくさん解析すると疑陽性が出る可能性が5%ぐらいある)、かもしれない。将来のDPP-4阻害薬研究においても心不全の検討が必要。
急性膵炎:
オングリザ vs 偽薬:22人(0.3%) vs 16人(0.2%)、p=0.42
慢性膵炎:
オングリザ vs 偽薬:2人(<0.1%) vs 6人(0.1%), p=0.18
結論:
オングリザは虚血性心血管障害を減らしも増やしもしない。しかし、心不全入院が多かった。オングリザは血糖コントロールが良好になったけど、それが直接的に虚血性心血管障害を減らすわけではないのかもしれない。
最近冠動脈疾患を起こした2型糖尿病患者にネシーナを投与して、平均18ヶ月経過観察した研究でも、同様な結果でした。
White et al. NEJM 2013 Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes
一次エンドポイント:心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中
ネシーナ vs 偽薬:305/2701人(11.3%) vs 316/2679人(11.8%)
(ハザード比:0.96, p=0.32)
ロシグリタゾン(日本未承認)が心血管病リスクを増やす可能性があることがあり、それ以降、アメリカFood and Drug Administration(FDA)は、新規DPP-4阻害薬に心血管病リスクの検討うをするよう義務付けていました。
上記の2つの研究は、それをクリアしていますが、その一方で、「心血管病リスクを減らさない」という残念な結果も示しました。
もっと5年とか10年とか観察を続けるとよいのでしょうか?
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