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病理解剖

解剖にはいくつか種類があります.

病理解剖,行政解剖,司法解剖,承諾解剖.

病理解剖以外は詳しく知りませんので,詳しくお知りになりたい方は他で調べてください.

病院に入院中などで,明らかな病気で亡くなった方に対して行うことが病理解剖です.

病気自体の原因,もしくは亡くなった原因を究明するために,本人が亡くなった後に家族に説明させていただきます.

ご家族の承諾が得られた場合は,病理解剖担当医に連絡し,病理解剖をお願いします.

基本的に,すべての内臓をいただき,病理学的検討をさせていただきます.

また,我々は脳をみていますので,脳も診させていただきます.というか,脳を診なくてはなりません.

その後,綿などをいれて,骨を戻し,縫合します.

基本的にそんな手順です.


先日,承諾をいただき,病理解剖させていただきました.

私は基本的にというか,今のところ,すべての方に説明させていただいています.

本人の生前の考えがある可能性もありますし,

なにより,私自身が,「この方の体の中で何が起こっていたのか」を知りたいからです.


エゴだと思います.


ただ,言わないようにしているのは「医療の発展のため」という言葉.

私ごときが医療の発展,なんて偉そうにも程があります.

ただ「主治医である私が知りたい」から.

これは,以前勤めていた病院の先生から教えていただいたことです.

生死に対して,謙虚でいること.

こういう話はこそばゆいですが,まぁそういうことですかね.


「この」人をみること.「この」人の病気を知ること.

かなぁ.

臨床医は,医療全体のことを最初から考えるもんじゃないような気がします.


我々は人の外側から人の中の病気を知ったような気になっているだけです.

とくに現代は.

昔の人が,解剖して調べたことを根拠に話しているだけであって,本当は違うのかもしれません.

病理解剖させていただくことは,私の臨床医としての知識をより深くしてくれます.

それは,結果的に今までより少し多くの人に還元できる,ということだと思います.

そして,そういう臨床医が増えることは,医療界全体においていいことなんだと思います.


今日,病理解剖についてくれた研修医の先生,

ありがとうございました.

急患もきて,病理解剖もあって,と私ひとりではどうすることもできない状況でした.


そういえば,病理解剖にもいろいろな側面があります.

その話は,また後日.







ご冥福をお祈りいたします.
ありがとうございました.

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