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深夜の脳卒中診療

フットサルを看護師と楽しんで,後輩のサマリーをチェックして,ご飯を食べ始めた23時.

「すいません先生,発症22時の患者さんがもうMRIに行っています」

救命のナースから.

あやまらんでよかよ.

行ってみるとMRI中.

画像見て,左中大脳動脈閉塞.

採血結果見て,大きな問題なし.

患者みて,失語と右麻痺.

「よっしゃ,tPAするぞー」

※tPA発症4.5時間以内の脳梗塞に適応がある点滴治療.

「でも,家族と連絡とれないんです.」

えっ・・・.


救急診療をしていると,ときどきこういうことに直面します.

家族以外といるときに,病気を発症することはあり得るから.

この方は,友人と食事中でした.

tPA静注療法に関しては,

--慎重投与項目がなければ,代諾者がいないことを理由に,本治療が受けられないということは避けるべきである.

--慎重投与項目あれば,施設ごとで,代諾者がいないときの方針を決めていて,かつ,治療決定は合議のうえなされなければならない.

と,なっています.

で,当直の脳外科医と相談して,tPA静注療法開始.

開始30分で,言語理解が少し改善し,右麻痺も改善し,

「うほっ,いける!」

と思ったのですが,45分後にはまた右麻痺が悪化してしまいました.

来院時の,MRI所見から,再開通しない可能性を考えて,次の治療(脳血管内カテーテル治療)を検討していました.

で,脳外科の脳血管内治療医と一緒にカテーテル治療を行いました.

いや,結論は,行おうとしましたが,できませんでした.

それは,脳血管の蛇行が強くて,つまっている血管まで,必要な器具があがっていかなかったから.


脳カテーテル治療は,こういうことがあるんです.

終わったのが,朝3時.

なにもできずに,朝3時.

駆けつけてくれた脳外科の先生ありがとうございました.

救命の看護師もおつかれさまでした.

呼び出された若い放射線科技師もおつかれさまでした.

ベッドを調整し,深夜に患者さんの移動をした病棟看護師もおつかれさまでした.

で,移動させられた私の患者さん,ありがとうございました.

「よかと,よかと」

って言ってくださいました.

病院だからしかたない,とはいえ,ありがたかったです.

しかし,うまくいかないとしんどいですね.

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