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脳卒中・循環器病対策基本法が全会一致で可決成立

脳卒中・循環器病対策基本法が12月10日衆議院本会議で、全会一致で可決、成立しました。 2009年に脳卒中対策基本法が提唱され、 政権が替わったり、 未曾有の東日本大震災があったり、 法案自体の行く末は、そのときどきで紆余曲折ありましたが、 2018年「脳卒中・循環器病対策基本法」という形で成立しました。 この法案可決にご尽力された先生方は、ご高名な方ばかりなので、 「ご尽力に感謝いたします」 と私が言っても、「いやいや、末端のあんたが、変でしょ」、感が半端ない いや、ぱねー、ので、 そんなことは言わず、 私達世代は、その恩恵、利益を、未来を見据え、しっかり国民に還元していかなくてはならない、と身が引き締まる思いが、 今、少ししています。 という、気持ち。妥当。 私が、考える、この「脳循対策基本法」(の略でどうでしょう。)の最大の目標は、 「健康寿命の延伸」 脳卒中は日本人の死因の第三位ですが、 1. がん、2. 心疾患、3 脳血管疾患、4 老衰、5、肺炎、6 不慮の事故、7 自殺 要介護疾患の第一位です。圧倒的に。 要介護5はいわゆる「寝たきり状態」 現状把握が重要ですので、 「全例登録」 が行われると大きいと思います。 2006年がん対策基本法制定後に、「がん登録」が法制化され、2016年より全例登録されるようになっています。 それが、がん患者さんの状態や、地域ごとのがん診療の状態、それらの経年経過の把握につながり、 どこに力を入れれば、より良いがん診療を国民に提供できるか、の理解に繋がります。 しかし、「じゃぁ、OK、やりましょう」とすぐにならないのは、準備や、お金の問題もありますが、プライバシーの問題もあります。 個人の病気のことも、個人のプライバシーです。 大雑把な議論では、よろしくないわけです。 が、このことについて、国民の理解を得ることは、そう難しくないような気がしますので、ぜひ早急に進めていきたい部分だと、一脳卒中診療医としては思います。 脳卒中、循環器病診療において、もっとも手間とお金がかかるところは、どの部分でしょうか? 予防? 急性期治療? 回復期・維

週4時間は体を動かして余暇を楽しもう。脳卒中発症しても症状軽く済みます。

週4時間仕事以外の時間で、体を動かすこと (light physical activity: light PA)と、 もしくは 週2,3時間、ランニング等、少し負荷の強い運動 (moderate physical activity: moderate PA)をすること(もっと負荷のある競技スポーツも含めて)は 脳卒中発症時に軽症であることに関連していた、 という論文。 カウチポテト族やっぱだめだね、という論文。 Reinholdsson et al. Neurology 2018. Prestroke physical activity could influence acute stroke severity (part of PAPSIGOT) light PA 体を動かすことは、そこまで頑張らなくてもOK。 通勤時に自転車使うとか、歩くとか、家族とのウォーキングでも可。 卓球、ボーリングも含めています。 ガーデニングや釣りもOK、って、それもいいのかな。 4時間は結構長いですが。 moderate PA 週2,3時間 ランニング、水泳 テニス、バドミントン(卓球より負荷強いってことですね) そして、ヘビーなガーデニング。 ヘビーなガーデニング? 畑耕す程ってことか? (一番下にスケールの説明を載せています) --- 対象 スウェーデンのSahlgrenska University Hospitalに入院した患者2233人の脳卒中患者を対象とし、後ろ向きに検討しました。 inclusion criteria: 初発の脳卒中、脳卒中ユニットに入室、NIHSS scoreとPAを評価している患者 exclusion criteria: 以前に脳卒中の既往あり、データ不十分。 評価するのは来院時の神経症状(NIHSS score) mild: NIHSS score 0-5 moderate: NIHSS score 6-14 severe: NIHSS score (15-24) very severe: NIHSS score >=25 mild と moderat

脳卒中センター開設7周年

2011年10月1日に脳卒中センターが開設され、 7年目に突入しました。 開設当初は、脳神経外科サポートのもと、内科医だけでしたが、 現在は、脳神経内科、脳神経外科一緒に運営しています。 私達のいいところは、開設当初から脳神経内科と脳神経外科が協同して診療するという、理念が実質化しているところにあります。 当たり前のことですが。 当たり前のことを、当たり前に行っていくことは、 案外、難しかったりします。 大きな脳梗塞で入院し、内科で対応していても、脳浮腫により開頭減圧術が必要になれば脳外科医にバトンタッチ。手術室へ向かうことになります。 私達、脳内科スタッフは、脳外科医への敬意を忘れてはなりません。 もちろん、脳内科スタッフの頑張りがないことには、この関係は築けないことも知っています。 結局、目の前の患者さんに最大限寄与するよう努力することが、内科だろうが外科だろうがすべての基本になります。 この眼の前の患者さんを診療することが、地域の脳卒中患者さんを診療することにつながっていきます。 それを広げるために、仲間を、若いスタッフを、増やすことが、とても重要です。 脳卒中「診療」で地域に貢献。 脳卒中「教育」で地域に貢献。 これが私達の思いです。

リベンジ、地中海食。脳卒中予防に効いてるぜ!

だいぶブログ休んでました。 他の仕事をしなければならないので、あまりブログに時間をさけない。 世の中の、仕事しながらブログ書いている人というのは、すごい能力があるんだろうなぁ、 と、ものすごく実感として感じています。 時折、 「ブログ見てます」 と声掛けをしてくださる方がいるので、何かしらの影響を及ぼしていると考えるとやめられない。 いつも、「いや、最近書いていないから、恐縮です」って梨本さんばりに返事するというパターンも飽きたので、 今後もブログ続けていきます。 今日は、気になる論文チェック、ということで、始めます。 地中海食の心血管病一次予防効果は? Estruch et al. NEJM 2018. Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts スペインでの多施設共同研究 対象: 7447人(男性55-80歳、女性60-80歳)。 心血管病リスクが高い人(心血管病を起こしていない)  ― 糖尿病あり  or  ― 以下のうち3つ該当  喫煙、高血圧、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、肥満、  若年の虚血性心疾患の家族歴(一等親血縁者。男性: 55歳以下, 女性: 65歳以下) 3群比較 -- エクストラヴァージンオリーブオイル強化地中海食 (オリーブオイル提供あり) -- ナッツ強化地中海食 (ナッツ提供あり) -- 低脂肪食を指導された通常食 (オイルもナッツも提供無いけど、small nonfood giftsあり) 年4回の教育セッション 一次エンドポイント:心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死、全死亡) 2013年にこの研究は一度NEJMに掲載されましたが、 プロトコール逸脱 -- 非無作為化の家族が登録されたこと -- ランダム化する前に登録された人がいたこと -- 11地域中1地域でランダム化がちゃんとされていない地域があったこと があったので、自主的に取り下げられていました。 私もブログしてたんですね。 5年前

癌関連静脈血栓塞栓症。エドキサバンは悪くない選択肢。(でも本当かなぁ。本当だろうけど)

大学病院で診療していると、癌関連の脳梗塞患者さんを診療させていただくことは比較的多くあります。 癌細胞が血栓形成を誘発する物質を出しているから。 特に静脈血栓が多いことは知られています。 これまで、ヘパリンは有効かもしれない、とされていましたが、明らかなエビデンスではありませんでした。 癌は、 凝固カスケードを開始させる「組織因子(Tissue factor)」を放出したり、 ムチンがL-セレクチンやP-セレクチンと結合して、微小血栓を作ったり、 低酸素が内皮や血小板を活性化したり、 システインプロテアーゼが第Ⅹ因子を活性化したり、 いろいろ、血栓傾向に寄与しています。 ヘパリンは、そのいろいろに作用するので、効く、という理屈。 Varki etal. Blood 2007 Trousseau's syndrome: multiple definitions and multiple mechanisms 抗血小板薬やワルファリンは「いろいろ」には作用しないので、 効かない、という理屈。 海外では低分子ヘパリンの皮下注射 Dalteparin(自己注射)が使われますが、 日本ではDalteparinは保険適応ではないので、仕方がないので バイアスピリンを使ったり、ワルファリンを使ったり、使わなかったり、注射するのにコツ(エア抜き)がいるけどヘパリン皮下注を患者さんが自己注射したり。 このような状況で、 みんな思います。 なんか突破口はないかなぁ。 経口直接抗凝固薬DOAC、どんどん使われてるけど、癌関連静脈血栓塞栓症にはどうなんだろ。 理屈では効かないけど・・・。 経口直接抗凝固薬DOACが、幅を利かせて、5年強。 非弁膜症性心房細動の塞栓症予防や、静脈血栓塞栓症、心房細動合併冠動脈形成術後の塞栓症予防など、徐々に適応を広げて来ましたが、 今回は、さすがに だめじゃないかなぁ、と個人的には思っていました。 だって、DOACはちょーピンポイントに作用する薬だから。 ダビガトランは第Ⅱ因子にピンポイント リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンは第Ⅹ因子にピンポイント (ピンポイントっていっぱい書いていると、ルー大柴さんの植毛のCMを思い出しました) 癌による血栓

第37回日本脳神経超音波学会 @神戸 脳卒中まだまだ未解明なこと多いです。

脳卒中だけでなく神経疾患全体の診療において超音波検査は、 病態解明の一端を担う重要なツールです。 その年次総会(2018年6月8日 - 9日)。 大きな学会ではないですが、超音波検査をしまくっている私達にとってはとても重要な学会です。 今回の学会は面白かったです。 刺激される発表が多かったです。 杏林大学の平野教授といっしょに座長もさせてもらって、勉強になりました。 神戸までスカイマークで行ってきました。 神戸空港は長崎空港からダイレクトに行けて、かつ学会場は空港からポートライナーで10分位で、ちょー便利。 むしろ、長崎市内から空港までが遠くて不便。 車で行くと、高速代と駐車場代で4000円ぐらいかかる。 バスだと安いけど、早朝は家からバス停までの移動で時間がかかるし。 誰かに愚痴ってる。 お金を払うという行為が嫌なのではなく、もう少し、空港はこっちに近づいて来ないかなぁ、という、 無理線のグチ。 今回の学会で、 一番、 すっごいなぁ、 と思ったのは、 広島大学木下先生の国立循環器病研究センター時代に経験した患者の発表でした。 内頸動脈が嚥下による舌骨の動きで、舌骨が内頚動脈をつっぱらかせて、舌骨の外側にあったり内側にあったり、 ぱたぱた動く。 Flip-flop phenomenon. その部分の血管内腔にプラークを形成する。 脳梗塞を起こす。 発表後、聴衆の興味ビンビンさが会場全体に充満していました。 このことはすでに、九州医療センターの徳永先生がこれまた国立循環器病研究センター時代に発表してたのですが、 第4回九州脳卒中カンファランス Tokunaga et al. Circulation 2015 Repetitive Artery-to-Artery Embolism Caused by Dynamic Movement of the Internal Carotid Artery and Mechanical Stimulation by the Hyoid Bone 今回、特にすっごいなぁ、と思ったのは、 会場から 「この変化は、どのくらいの割合であるんですか?」 という質問に、 「最近論文になったのですが、、、」 と、すでにまとめて論文にしている、という。 Kinoshita et al.

第65回麻酔科学会学術集会で脳卒中を話す。大入り満員、その意味は?

脳卒中診療について話してきました。 麻酔科学会総会で。 医師人生で、そんな経験をするとは思っていませんでした。 自分の専門でない学会で話をさせていただく機会は、そうあることではなく、とても光栄なことです。 以前、救命救急センターに所属していたときに、上司だった女医のN先生に推薦を戴いたことがきっかけでした。 リフレッシャーズセミナーという45個ある枠の1枠をいただき、「脳卒中に気づく、治療につなげる」と題して、話をしてきました。 他をみると、ほぼ全てが、麻酔科領域の話で、 かつ同じ時間に他の会場でもリフレッシャーズセミナーの講演があっていたので、 会場に着く前は 「どうせ、脳卒中に興味がある麻酔科医はそんなにおらんやろうし、他の話のほうが麻酔科医にとって興味を引く話だろうから、たぶん、集まるのは2, 30人ぐらいやろ。でも、折角、聴きに来ていただいたからには、一生懸命伝えるぜぇ」 なんていうふうに、テンションを上げていました。 しかし、いざ、会場に入ると、 大入り満員の、優秀な麻酔科医だらけ。 たぶん2, 300人。 テンション上がるどころか、緊張で脇汗がシャツにしょんでいく一方。 やばい、 小学校の時の、一人で歌うの歌のテストくらい緊張する。。。 内容は、脳梗塞急性期治療の話などを麻酔科の先生が従事する領域の話と絡めて話を進めていきました。 会の形式は、多分、いわゆる「講師」として話す、というスタイルなのでしょう、講演を進行する座長はおらず、 「それでは始めます」 みたいな感じで、一人で始めて、 「以上です。ありがとうございました。」 と、一人で終わる。 という、学生への講義みたいなスタイルでした。 ちゃんと面白く話ができたかどうか、伝わったかどうかはわかりませんが、 一生懸命に話しはしましたので、とりあえずは、それで良し、とします。 終わった後に、数人の麻酔科医から質問をいただきました。 少なくとも一部の先生方の琴線に、多少は触れた証左なのだろうと勝手に思い込んでいます。 ただ、やはり、 なぜ、立ち見が出るほどの大入り満員だったのか? という疑問が残ります。 ひねくれている私。 なんに対しても裏があるのでは? いつでも、多

心不全合併心房細動患者に対するカテーテルアブレーションは有効。しかし脳梗塞の予防効果はまだわかっていない。

循環器専門ではないので、正確にはわかりませんが、この5年ぐらいで心房細動に対するカテーテルアブレーションの適応が広がり、治療を受けている患者も増えているなぁという印象を身近に感じています。 心房細動を有する患者の問題の一つは脳梗塞。 なので、カテーテルアブレーションの有効性に大いに興味があります。 脳梗塞予防効果はあるのか? しかし、その問いに対する答えはまだありません。 Marrouche et al. NEJM 2018 Catheter Ablation for Atrial Fibrillation with Heart Failure 今回は 心不全を有する心房細動患者にカテーテルアブレーションをすることは、「実際に」いいことかどうか? を調べた論文です。 いままで、「実際に」いい、という結果を出した検討はありませんでした。 たぶんよかろうもん、 という風には思っていたのだろうとは思いますが。 CASTLE-AF試験。 多施設、非盲検、ランダム化比較試験 ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの33施設。 対象は、心不全を有する心房細動患者。 363人(アブレーション群179人、薬物療法群184人) left ventricular ejection fraction (LVEF)<35% 。 LVEFの中央値は32%ぐらい。 かなり心臓の動きが悪い人が対象になっています。 観察期間は60カ月(中央値は37.6±20.4カ月) primary end point: 死亡または心不全入院 約40%のリスク低減効果! これは、特筆に値する結果です。 今後は、LVEF<35%で心房細動がある人には積極的にカテーテルアブレーションが行われていくのでしょう。 現在、心不全を合併していない心房細動患者の予後を検討する研究が遂行中です。 では脳塞栓症はどうだったかというと その予防効果における有効性を示すことが出来ませんでした。 (「脳血管障害 (Cerebrovascular accident)」とありますが、出血はなかったようです(supplementary appendixより)) 差が出なかったのは、サンプルサイズが小さく脳梗塞の発症率が低

出張先でランニング。その10@アテネ

学会発表も終わり、気分もスッキリして、翌朝、ランニングをしました。 目的はリカヴィトスの丘から朝日をみること。 泊まったホテルは、パルテノン神殿の近く。そこからスタート。 まずは、131年に作られたハドリアヌス凱旋門を右に見て、 シンタグマ広場へ そこからコロナキ地区を通り抜けて、リカヴィトスの丘の入り口へ 早朝だったこともあり、人影はまばら、 なのに、怪しげな(勝手に想像)黒ひげの男たちが3人ぐらいたむろっていて、びびりました。 撃たれたらどうしよう(超、勝手に想像)。 ハイスピードで走りに抜け、幸い何も撃たれませんでした。 丘の高さは277m。 長崎市民みんなの山、稲佐山333mよりは低い程度。 適当に走っていると、階段がみつかり、くねくねと登っていき、 日の出前に付きました。 頂上には、若いおねぇさんと、ドローンを飛ばそうとしている兄ちゃんと、おじさん3人だけでした。 夕日のときは、アクロポリス(パルテノン神殿がある場所)の方向へ沈む夕日が見られるので、人がいっぱいなんでしょう。 右にパルテノン神殿。真ん中にゼウス神殿。左に少し見えるのがPanathenaic stadium. 朝日。 海に囲まれているからか、意外と湿度は低くなく、日本っぽい、淡い色調の朝日でした。 丘をくだり、 まだ、あの黒ひげ3人組(迷惑にも勝手に命名)いて、 撃たれないように、ほぼダッシュで、少し蛇行しながら(撃たれても、よけられるはずだと信じ)走りに抜け、コロナキ地区まで駆け下りました。 朝飯は、チーズをパイ生地で包んで焼いたパンをコーヒーと一緒に。 異国の地で食べると雰囲気ありきで、美味く感じます。実際美味かったです。 極度の方向音痴である私は、ほぼ同じ道を戻り、  ローマ時代のハドリアヌスの凱旋門と朝日のコラボレーションを左に見ながら、ホテルに戻りました。 アテネの街の雰囲気は、交易で栄えた国らしく、アジアとヨーロッパが入り混じった猥雑な感じ。 個人的には好きな雰囲気。  でも、メトロ2駅しか離れていないオモニア駅の方は、 落書きが多く、実際、夜は危険な街だそうです。 アテネ国立

European Stroke Conference 2018 @ Athens で口演した、の巻

今年も、また味わいました。 やっぱり演題登録時に、 「口演、ポスター、どちらでも」 を選択しなけりゃよかった、 と、どうしようもないのに、どうしようもないことを後悔している。 セッションの一番目の発表。 緊張で、ドキがムネムネ。 European Stroke Conference 2018 @ Athensでoral presentation (口演)しました。 発表したい演題をインターネット登録するときに口演発表かポスター発表か、いずれかを選択するのですが、今回もどちらでもを選び、結果 口演 去年、国際学会初公演の経験(※)は済ませたので、なんとかなるか、と軽い気持ちで。 ※ International stroke conference 2017 at Houstonで口演してしまった。 とはいえ、ポスター発表も大変そうでした。 このポスター講演はe-posterで、 さらに内容の説明をしないといけないので むしろ、口演よりド緊張するかも。 内容は、Embolic stroke of undetermined sourceは心疾患リスクを持っている。 という話。 今、私が主に取り組んでいる課題です。 高名なHennerici先生が座長で、光栄でした。 私はそのセッションのトップバッターだったので、最前列に座り、その時を待ちます。 セッションが始まる前に、Hennerici先生が少し話をされ、 私は、ドキがムネムネ状態なので、あの演壇に立つことで頭がいっぱい。 Hennerici先生が話し、一呼吸おく。 立石立つ。 Hennerici先生、話し出す。 立石座る。 Hennerici先生が話し、一呼吸おく。 立石立つ。 Hennerici先生、話し出す。 立石座る。 を後2回位繰り返して、 Hennerici先生、 「最初の発表者は…、君だね(間違いなく)」 間違いありません。 刑事に捕まる犯人よろしく連行される気分で演壇へと向かったのでした。  発表の後、 なぜBNPを因子に選んだのかと聞かれて、聞いたその背景を読み取れず、He

2018年日本脳卒中学会学術集会 @福岡 集約化について、つらつらと。

2018年3月14-17日脳卒中学会総会が福岡でありました。 長崎から福岡は特急に揺られて2時間ですので、近いです。 となると、必然、滞在時間も短くなります。 私は1日だけ参加しました。 なんだかなぁ、と思います。 日本の脳卒中の一番の学会なのに、堪能できないという事実。 その要因は、いくつかあって、 一番の要素は、個人のというか、日本人の気質。 「病院に残っているスタッフは少ないから、急患がたくさん来たら大変だろうなぁ。早く戻らないと、怒られちゃうかな」 と勝手に忖度して、 短い時間の滞在になる。 ただ、たしかに、うちの内科スタッフは少ない。 3人だけ。 この少ない理由は、そもそも全国に脳卒中を専門とする内科医が少ない、ということにたどり着きます。 脳卒中は急性期に沢山の人的パワーを必要とする疾患です。 少ないものは増やすしかありませんが、 しかし、そこはそう簡単なことではありません。 少ない人員でも、効率的に脳卒中急性期診療を行っていくためには 「集約化」 が一つの方法になります。 それが進んでいるのはドイツのようです。 Heidelberg大学のHacke先生の話を聞きました。 最初から聞くつもりが、方向音痴な私はなかなかメインホールにたどり着けず、福岡国際会議場を1階から4階まで4往復して、やっとたどり着いたときには残り10分。 ドイツでは脳血栓回収術を年間50例以上(当院は40例程度)施行している病院が3割あって、100例以上は4割あります。 ドクターヘリなどを使い、センター化された病院で脳血管内治療を行った結果、ドイツ全土の患者さんに対して脳梗塞に対する脳血管内治療が施行されています(中心部のごく一部にだけ、その治療を受けた患者さんがいない地域がありました) アメリカの問題は、小さな(スタッフが少ない)施設が脳血栓回収術をしていること。 と、軽くアメリカをディスってるように思いました。 ヨーロッパ vs. アメリカの構図は国際学会あるあるです。 国の特徴があり、一概に優劣はつけられないですが、 一般的には集約化することが、人的資源や医療レベル向上の視点から考えると理にかなっていると思います。 しかしながら、そうは言っても、どうやって集約

NGK48論文。掲載されました。

NGK48の期間はそれ以前の期間(pre-NGK48) と比べて、来院から治療開始までの時間が短縮 56分 vs. 48分、p<0.001 図ったように48分。 怪しいデータにみえてしまいますが、 真実ですので。 N urse of emergency department G uides stro K e team to early thrombolytic treatment within 48 hours: NGK 48 study という研究名。 ONYANKO studyだと、ちょっと違う。 医師と看護師の協同とStroke Code の導入が来院からtPA 静注療法開始時間を短縮する可能性がある 名付けておきながら、毎度、毎度、講演や学会などでこの名前を言うときには、恥ずかしさで 妙に早口になったり、 「いや、キャッチーな名前のほうが、看護師だけでなく、検査技師さんとかが気にしてくれるので・・・」 などと言い訳がましくなったりします。 英語の論文で投稿すると、よっぽど日本のポップカルチャーに詳しい人が査読してくれない限り、 「なんで48分やねん」 って、突っ込まれる可能性が高いので、 日本語で書きました。 この度、脳卒中2018年1月号(48巻1号)に掲載をいただきました。 査読してくださった先生、ありがとうございました。 ・・・、それでも、NGK (長崎空港の空港コードと一緒)と 48分って言う絶妙な時間、 気に入っています。 研究テーマはtPA静注療法の来院から治療開始までの時間短縮を目指す研究です。 ポイントは、救急外来の看護師が、tPA静注療法適応の可能性がある患者の診療に大きく関わることです。 具体的には、看護師の中で勉強会をしたり、看護師が脳神経内科医や脳神経外科医、また放射線技師と勉強会をしたりして、前準備しました。 研究期間においては、 実際の診療の現場で、これまで医師がやっていた仕事(MRI検査室に連絡し、時間調整をする。tPAの投与量を計算し、開始する)を能動的に行うようにしてもらいました。 特に重要視したのは、「時間を意識すること」です。 それを看護師に伝えると、いつの間にか、 来院時間をチェックし、「来院後、5分で画像検査のた

明けましておめでとうございます。2018

明けましておめでとうございます。2018。 今年も、無事に新年をむかえることができました。 脳神経外科の皆様、いつも、綺麗事抜きに、診療してくださいまして、ありがとうございます。 結局、脳卒中診療は、脳神経外科のバックアップがあってこそ成り立つものです。 私達内科医は、その事実に対して、謙虚であるべきで、 感謝の気持ちで診療していきたいと思います。 病棟看護師の皆様、いつも患者さんの受け入れ、対応ありがとうございます。 ・・・ って、いろいろなところに「ありがとうございます」、っていう文章を一回書いてみると、相当うるさい文章になったので、 書くのやめます。 「ありがとうございます」なんて、直接言うもんだし。 ただ、内輪のことですけど、もう一つだけ。 うちの脳卒中センター、内科のスタッフ2人(関連病院にももう1人)、頑張ってくれました。 それと脳神経内科難病グループも日曜日脳卒中ホットライン当直を頑張ってくれました。 みんなで今年も頑張りましょー。 今後もさらに良質な脳卒中診療を提供できるように、 日々、反省しながら、励んでまいります。 昨年を振り返ると、大きなことが2つありました。 1つは、これ International stroke conference 2017 at Houstonで口演してしまった。 私の脳卒中診療医としての2大目標が達成された瞬間でした。 今年は、European Stroke Conference に演題を出しているので、通っていれば アテネ。 もう1つは、これです。 研修医にレジデントノートをプレゼントする 「編集しませんか」 とメールがきて、 「新手のフィッシング詐欺かもしれない」 と少し疑いつつ、メールを下までみると、 ちゃんとした会社の、さらに研修医に人気のあるシリーズの編集でした。 編集と言っても、大まかな流れは決まっているので、「編集者」としてした仕事は -- それぞれのセクションに寄稿していただく先生にお願いすること -- 書いていただいた内容を拝見して、偉そうに少し提案させていただくこと -- 「編集にあたって」で好きなことを書くこと ぐらいです。 べつに、そんな特別なことしてませんので、偉くもなんと