循環器専門ではないので、正確にはわかりませんが、この5年ぐらいで心房細動に対するカテーテルアブレーションの適応が広がり、治療を受けている患者も増えているなぁという印象を身近に感じています。
心房細動を有する患者の問題の一つは脳梗塞。
なので、カテーテルアブレーションの有効性に大いに興味があります。
脳梗塞予防効果はあるのか?
しかし、その問いに対する答えはまだありません。
Marrouche et al. NEJM 2018 Catheter Ablation for Atrial Fibrillation with Heart Failure
今回は
心不全を有する心房細動患者にカテーテルアブレーションをすることは、「実際に」いいことかどうか?
を調べた論文です。
いままで、「実際に」いい、という結果を出した検討はありませんでした。
たぶんよかろうもん、
という風には思っていたのだろうとは思いますが。
CASTLE-AF試験。
多施設、非盲検、ランダム化比較試験
ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの33施設。
対象は、心不全を有する心房細動患者。
363人(アブレーション群179人、薬物療法群184人)
left ventricular ejection fraction (LVEF)<35%。
LVEFの中央値は32%ぐらい。
かなり心臓の動きが悪い人が対象になっています。
観察期間は60カ月(中央値は37.6±20.4カ月)
primary end point: 死亡または心不全入院
約40%のリスク低減効果!
これは、特筆に値する結果です。
今後は、LVEF<35%で心房細動がある人には積極的にカテーテルアブレーションが行われていくのでしょう。
現在、心不全を合併していない心房細動患者の予後を検討する研究が遂行中です。
では脳塞栓症はどうだったかというと
その予防効果における有効性を示すことが出来ませんでした。
(「脳血管障害 (Cerebrovascular accident)」とありますが、出血はなかったようです(supplementary appendixより))
差が出なかったのは、サンプルサイズが小さく脳梗塞の発症率が低かったのもその理由の一つかもしれません。
こんなに心臓が悪い(LVEF<35%)のに、意外と脳梗塞って起きないんだな、という感想も持ちました。
脳梗塞発症予防に、カテーテルアブレーションは寄与するのでしょうか?
まだわかっていません。
今回のポジティブな結果から、おそらく、脳梗塞発症予防効果もあると思います。
ただし、問題はあります。
一つは脳梗塞の発症数が思ったほど多くないことです。
有効性を示すには今回の症例数よりも多く登録しなくてはならないでしょう。
もう一つの理由は、
脳梗塞発症に関与するのは「心房細動があること」だけではない可能性があるということです。
左心耳をデバイスや手術などで閉じてしまえば、心房細動が持続していても、塞栓症の発症予防効果はあります。
また、塞栓源不明の患者に皮下植込み型心電図計をつかっても、1年間で12%しか心房細動が検出されません。
大雑把に言うと、
脳塞栓症の原因は心臓で血栓ができたことだろうと疑っても、88%は心房細動が見つからない。
心臓内の血流うっ滞が心臓内の血栓形成に大きく関与することは、間違いないであろうということは、多くの同意が得られるところだと思います。
つまり、
心房細動が、あっても、なくても、左房内に血流うっ滞があれば、血栓が形成される。
逆に言うと、
心房細動が、あっても、なくても、左房内の血流うっ滞がなければ(少なければ)、血栓は形成されにくい。
同じ心房細動でも、若年者は、高齢者と比べて塞栓症を起こしにくいことは、この事によるのかもしれません。
塞栓症を起こしにくい、若年心房細動患者には、少なくとも「短期的な」塞栓症予防効果については、データが出にくいことは容易に予想できます。
そもそも塞栓症を起こしにくいから。
しかし、若年者でも10年20年で考えると、塞栓症予防効果はあると、私は思います。
カテーテルアブレーションによる塞栓症予防効果をみるためには、
まずは、塞栓症を起こしやすい人を対象にすることが重要になります。
(どんな検討も同じことが言えるのですが。)
脳梗塞を発症した人
を対象にするのは良いかもしれません。
今後の検討が期待されます。
心房細動を有する患者の問題の一つは脳梗塞。
なので、カテーテルアブレーションの有効性に大いに興味があります。
脳梗塞予防効果はあるのか?
しかし、その問いに対する答えはまだありません。
Marrouche et al. NEJM 2018 Catheter Ablation for Atrial Fibrillation with Heart Failure
今回は
心不全を有する心房細動患者にカテーテルアブレーションをすることは、「実際に」いいことかどうか?
を調べた論文です。
いままで、「実際に」いい、という結果を出した検討はありませんでした。
たぶんよかろうもん、
という風には思っていたのだろうとは思いますが。
CASTLE-AF試験。
多施設、非盲検、ランダム化比較試験
ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの33施設。
対象は、心不全を有する心房細動患者。
363人(アブレーション群179人、薬物療法群184人)
left ventricular ejection fraction (LVEF)<35%。
LVEFの中央値は32%ぐらい。
かなり心臓の動きが悪い人が対象になっています。
観察期間は60カ月(中央値は37.6±20.4カ月)
primary end point: 死亡または心不全入院
約40%のリスク低減効果!
これは、特筆に値する結果です。
今後は、LVEF<35%で心房細動がある人には積極的にカテーテルアブレーションが行われていくのでしょう。
現在、心不全を合併していない心房細動患者の予後を検討する研究が遂行中です。
では脳塞栓症はどうだったかというと
その予防効果における有効性を示すことが出来ませんでした。
(「脳血管障害 (Cerebrovascular accident)」とありますが、出血はなかったようです(supplementary appendixより))
差が出なかったのは、サンプルサイズが小さく脳梗塞の発症率が低かったのもその理由の一つかもしれません。
こんなに心臓が悪い(LVEF<35%)のに、意外と脳梗塞って起きないんだな、という感想も持ちました。
脳梗塞発症予防に、カテーテルアブレーションは寄与するのでしょうか?
まだわかっていません。
今回のポジティブな結果から、おそらく、脳梗塞発症予防効果もあると思います。
ただし、問題はあります。
一つは脳梗塞の発症数が思ったほど多くないことです。
有効性を示すには今回の症例数よりも多く登録しなくてはならないでしょう。
もう一つの理由は、
脳梗塞発症に関与するのは「心房細動があること」だけではない可能性があるということです。
左心耳をデバイスや手術などで閉じてしまえば、心房細動が持続していても、塞栓症の発症予防効果はあります。
また、塞栓源不明の患者に皮下植込み型心電図計をつかっても、1年間で12%しか心房細動が検出されません。
大雑把に言うと、
脳塞栓症の原因は心臓で血栓ができたことだろうと疑っても、88%は心房細動が見つからない。
心臓内の血流うっ滞が心臓内の血栓形成に大きく関与することは、間違いないであろうということは、多くの同意が得られるところだと思います。
つまり、
心房細動が、あっても、なくても、左房内に血流うっ滞があれば、血栓が形成される。
逆に言うと、
心房細動が、あっても、なくても、左房内の血流うっ滞がなければ(少なければ)、血栓は形成されにくい。
同じ心房細動でも、若年者は、高齢者と比べて塞栓症を起こしにくいことは、この事によるのかもしれません。
塞栓症を起こしにくい、若年心房細動患者には、少なくとも「短期的な」塞栓症予防効果については、データが出にくいことは容易に予想できます。
そもそも塞栓症を起こしにくいから。
しかし、若年者でも10年20年で考えると、塞栓症予防効果はあると、私は思います。
カテーテルアブレーションによる塞栓症予防効果をみるためには、
まずは、塞栓症を起こしやすい人を対象にすることが重要になります。
(どんな検討も同じことが言えるのですが。)
脳梗塞を発症した人
を対象にするのは良いかもしれません。
今後の検討が期待されます。
コメント
コメントを投稿