スキップしてメイン コンテンツに移動

Moble Stroke Treatment Unit + TelemedicineはDoor-to-Needle timeを30分短くする

以前紹介しました。

クリーブランドクリニックのMobile Stroke Treatment Unit (MSTU)。

Mobile Stroke Treatment Unit goes to the patient !!




Dr. Uchinoグループから論文が出ました。(写真:わたしとUchino先生)


Mobile Stroke Treatment Unit (MSTU) + Telemedicineにより、

発症からtPA静注療法までの時間が25分縮まりました。

MSTUには、CTが搭載されていて、PT-INR, 白血球、血小板、ヘモグロビン、電解質、血糖などが測定できます。

911オペレーターが脳卒中疑いと判断すると、看護師、CT検査技師、救急隊、Emergency Medical Technician (EMT) が、MSTUに乗車します。

317回の出動がありましたが、217回は到着前にキャンセルされました。

残り100回を検討。

33例が急性期脳梗塞疑い。

99例はtelemedicine成功。
1例はビデオ不具合でうまくいかず(近くの病院へ搬送された)。

93例は問題なくtelemedicine接続。
5例は電波環境が悪かった。
1例は神経内科医が、不適切なタブレット端末を使用したから。

来院からビデオ接続時間:中央値11分
ビデオ接続時間:中央値20分

56例の年齢、重症度を合わせた、救急外来受診患者と比較すると

MSTU vs control
Door-to-CT: 13 vs. 18 min
Door-to-IV thrombolysis: 32 vs. 58 min
CT読影の時間は差がなかった。

Dr. Uchino曰く、
「最近のWireless networkの改善が、この治療方法の問題解決に大きく寄与した。」

日本では、Wireless network環境はかなり悪いので、telemedicineを使うと分が悪そうです。

Dr. Uchinoにメールしたら、他にも

ワルファリン内服中の患者をMSTUのCTで脳出血と診断し、MSTU内で、すぐさまプロトロンビン複合体を投与した症例報告
Gomes et al. Stroke 2015 Prehospital reversal of warfarin-related coagulopathy in intracerebral hemorrhage in a mobile stroke treatment unit.

MSTUsは脳血管内治療への時間を短縮する。

来院または乗車から脳血管内治療までの時間比較
100分:MSTU乗車から脳血管内治療まで
141分:Comprehensive stroke center (脳卒中の総合的な診療ができる病院)に直接入院から脳血管内治療まで
216分:Primary Stroke Center (tPA静注療法はできるが、脳血管内治療はできない病院)を経由し、CSCへ搬送して、脳血管内治療:
Cerejo et al. J Neuroimaging 2015 A Mobile Stroke Treatment Unit for Field Triage of Patients for Intraarterial Revascularization Therapy.

論文を紹介していただきました。



アメリカなど広大な土地ならば、道も広いし、運用できるでしょう。

日本の道路、住宅環境では、このでかいトラック、ちょっと厳しい。

でも日本の技術を持ってすれば、

軽自動車搭載も可能?

CTがあるので難しいでしょうけど。




コメント

このブログの人気の投稿

NIHSSスコアの基本を再確認。

※付録 NIHSSスコア NIHSSスコアを作ったLyden先生がNIHSSスコアについて書いています。 NIHSSスコアを評価すると、ときどき、 「これ、何点にすべきですか?」 なんて、看護師や、研修医から聞かれて、 「まぁ、1点と2点の間って感じかな?」 と、ぼかしたり、 「思うとおりに評価していいよ。それが、大切だ!」 と、妙に「お前を信頼しているぜ」感を醸し出したりして、 その場を切り抜けていました。 それも、間違いだとは思いませんが、「もっとスッキリしたい」とみんな思っていたのだと思います。 で、このもやもや感を少しでも解消できるかと思って、 Lyden et al. Stroke. 2017;48:513-519 Using the National Institutes of Health Stroke Scale を読んでみましたが、 基本、NIHSSスコアが作られた歴史 的な話ばかりで、 スッキリせず。 期待がずれていたのは、こっちの問題です。 それでも、2つ再確認出来たことがありました。 NIHSSスコアを評価するときのルール すべての項目で、Score what you see, not what you think (診たものを評価する。検者が考えたものではない) すべての項目で、Score the first response, not the best response, except item 9 best language (最初の反応を評価する。ベストの反応ではない。でも、言語の評価はベストの反応で) すべての項目で、Do not coach (コーチしちゃだめ) 項目1aで、May be assessed casually while taking history (会話している間に評価可能でしょう) 項目2で、Only assess horizontal gaze (水平方向の眼球運動のみ評価) 項目5 and 6で、Count out loud and use your fingers to show the patient your count (声を出して数字をカウントし、患者の前で指を折ってカウントすることもす

3度めの正直。日本神経学会専門医合格。

第40回神経専門医試験に合格しました。 合格をいただきました。 3度めの正直なのです。 第38回☓、第39回☓、で今回。 試験結果が出るまで、 「3度目の正直」:「2度あることは3度ある」=1:5 ぐらいの心境でした。 2回不合格だったことは、少しだけ恥ずかしいですが、仕方ありません。 それが、現実ですし、逆に、得られたことも大きかったです。 神経診察を基本からやり直すと、より深く、それぞれの診察の意味と、的確な総合的診断に結びつくことを理解することが出来ました。 疾患についても勉強しなおしました。 あたり前ののことですが、でもそのあたり前(基本)が重要なんですね。 多くの神経内科医は知っていることなのでしょうけど。 今回も試験当日は20分ずつ2部屋で面接試験がありました。1つ目の部屋では、診察の実技です。 面接官の先生はiPadを見ながら、どれを質問しようか考えていらっしゃいました。 おそらく、神経診察の到達目標みたいなのがあって、そのうちの1つか、2つを受験者にさせているのだと思います。 「右麻痺があって、複視がある人の診察をしてください。あっ、意識障害も有るということで」 横に座っている若いお兄ちゃんを診察させていただくことになります。 いつも(3回目なので)思うのは、この普通の人を、病気の人としてイメージしながら診察することの難しさです。 診察しても、麻痺の症状をしてくれるわけではありません。「ものが二重に見える」と訴えてくれるわけではありません。もちろん、意識清明です。 脳神経の2番から順に診察をしていくと、省くことができず、そのまま脳神経診察終了。 ベッドに寝かせて、運動の診察をして、チラッと試験管をみても、何もおっしゃらないので、そのまま感覚、協調運動の診察。チラっと試験管をみても、何もおっしゃらないので、そのまま腱反射、病的反射の診察。そこで、試験管から一言。 「あのー、意識障害もありましたよね」 「あっ。」 かるく、混乱して、最後まで意識障害の診察をせずに終わってしまいました。 やってしまった~と思いつつも、意識の診察を「わかりますか〜」なんて、質問したところで、 「ま、それはいいので」「意識障害があれば、髄膜刺激徴候も必ず診ますよね」

足モミモミポンプ.あれ,意味あるの?

足の静脈にできる血栓.深部静脈血栓症. これが,流れて肺の血管に詰まると, 肺塞栓症. 命にかかわる病気です. 救急で入院すると,看護師に聞かれます. 「フットポンプつけますか?」 また,その書類ももろもろあります. これがフットポンプです. これで静脈血栓を予防します. これって,意味あるんですか? 意味あります.手術後の患者さんに. これまで20以上のランダム化比較試験があり,手術後にフットポンプをつけることは,明らかに静脈血栓の発生率を減らします. じゃぁ,他の状態では? 例えば・・・, 脳卒中. 麻痺があったら,静脈血栓は出来やすいです.静脈の流れが悪くなるから. これまで,急性期脳卒中における,この足モミモミフットポンプの有効性を調べたの研究は2つぐらいしかなくて,しかも有効性を見出すことができませんでした. でも,やっぱり,フットポンプつけています. 良さそうだから. ということで,それを調べている今回の論文. CLOTS (Clots in Legs Or sTockings after Stroke) trial Lancet 2013 CLOTS Trial Collaboratrion. Effectiveness of intermittent pneumatic compression in reduction of risk of deep vein thrombosis in patients who have had a stroke (CLOTS 3): a multicentre randomised controlled trial 多施設ランダム化比較試験です. 対象患者: 急性期脳卒中 .トイレまで自分で歩いていけない人. インターネット登録すると,足モミモミフットポンプグループと,しないグループに分けられます. この2つのグループで Primary outcome: 30日以内の深部静脈血栓(大腿,膝窩静脈) Secondary outcome: 30日以内の死亡,深部静脈血栓(大腿,膝窩,下腿の静脈),肺塞栓,足モミモミフットポンプの合併症(傷,転倒) 結果 Primary outcome 足モミモ