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九州で脳卒中を診る内科医は悩みながら日々診療してる

毎年、神経学会九州地方会が福岡で行われる3月に、
脳卒中診療を行う内科医があつまって、研究会を行っています。

今年は、九州の脳卒中診療の現状と課題を各県の先生方に話していただき、情報共有を行う形をとりました。

1. 各県とも、脳卒中診療が充実していない地域がある。
-- 県庁所在地から離れている、山間部(必然的に県境が多い)などでその傾向あり。
そこで発生した急性期脳卒中をどう診療するか。
ヘリコプター?
確かに、一つの方法だが、夜間や天候不良は運用できない。
そんなときは仕方ない、陸路で運ぶしかない。

2. 現状では、九州すべての地域で、均てん化された(どこの地域でも、同質の)脳卒中診療を提供できているとは到底言えない。
-- それならば集約化。
しかし、搬送手段の問題が生じる。
地域での足並みの揃い具合の問題もあり、各県ともに最も悩んでいる問題の一つ。

熊本や鹿児島は、組織的に、そして、現場の先生の継続的な努力で、現状の把握に取り組んでいました。

詰まった脳血管を再開通させるカテーテル治療。
集約化だけでは、カバーできない現実に、均てん化の要素も取り入れようとしている現状が見えてきました。

日本全国のデータ(RESCUE-Japan project)では、各県の脳血管内カテーテル治療の充実度の差を明らかにしたデータが提示されています。

しかし、各県の"中"での地域格差は示されていません。

九州から、各県内の脳卒中診療充実度の地域格差を出して、さらに地域に即した提言を行っていき、改善していくことは、住民の安心につながるはずです。

3. 脳卒中診療を行う内科医が、順調に増えているか、というとそうではない。これは各県で格差あり。
一部の県では危機的な状況にあります。
脳外科の先生方が頑張っているわけですが、脳外科の先生には手術を頑張ってほしい、と多くの人が思っていると思います。
脳梗塞の多くは手術が不要です。脳出血も手術になることは10−20%程度でしょう。
脳卒中診療は歴史的に脳神経外科の先生方が頑張ってきた歴史の上に成り立っています。
そろそろ内科、がんばらんばでしょう。

3. 基礎研究を脳卒中の領域で行っている内科医が限られている。
-- これは、脳卒中診療の忙しさがあり、仕方ない部分があるのかもしれないですし、また、小さな研究を行っても世界的に大きなインパクトを与える可能性が低いため、重要視されないという意見もあるとは思います。しかし、学生のときに学んだ生理学、生化学、解剖学、病理学、などは、医学の基本です。医師になって、臨床を行って、その臨床的疑問を解決するのは、多くの場合基礎的研究のデータです。そういう手段があるのに、それを無視するのはもったいない、と個人的には思います。

「知りたい」しかも「深く知りたい」という知的欲求は、どんな領域であれ、進歩発展に寄与するもの。
その知的欲求の充足に取り組んだ結果は、小さな一歩、ないしは、数ミリの前進程度かもしれませんし、もしくは横に進んでしまう(さらなる疑問)ことになるかもしれません。しかし、少なくとも後退することはない。
患者さんが多く、そして、ある程度均質化している脳卒中診療を日々行っている私達には、臨床的疑問にぶつかる多くのチャンス(同じ問題や事象が繰り返し起こると、鈍感で頭が良くない私でも「なんでこんな事が起こるんだろう」って気づいちゃいます)を持っていて、それをそのままにしておくのは、とてつもなくもったいない。

今回の会で拝聴した、九州大学の吾郷先生の講演。

引き込まれまくりました。

その日の夜は、pericyte, astrocyteが、私の夢に出てきて、

「脳卒中診療しているならば、もっと、私達のことを考えて!それが、臨床の現場で必要なの。それが患者さんのためになるのよっ!!」

って、私に訴えていました。

のような気がします。

いや、夢も見ずにぐっすり寝た、みたいです。

それぐらいの話だったということです。

astrocyteの機能不全って調べられないのか?
側副血行路の形成不全は遺伝的な要素があるなら、ヒトではわかっているのか?

などなど。

今度聞いてみよう。

やらなければいけないことはたくさんあるようで、そうでもない。

結局できることはそんなに多くはない。

現状を把握し、必要なことに対応していくこと。

まずは県内の診療の現状を把握すること。
基礎研究の基盤を作っていくこと。

まずはそこから。

日々の診療の手を抜くことなく。






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