40年の歴史がある東京心臓の会。
なぜか、西の果ての私にお声がかかり、お話をさせていただきました。
「なぜか」というか、世話人であられます東京大学医学部附属病院総合研修センター江頭先生が私のブログを御覧になったことが理由の一つであったそうです。
ブログをやっているとそういうこともあるのですね。
変なことは書けないですね。
下ネタはやめよう。
約100名の先生方がお集まりでいらっしゃいました。ほぼ全員が循環器内科の先生方でありまして、そんな中で脳血管障害の話をするのは、話しやすいのか、話しにくいのかよくわからない、そんな感じでした。
80回(40年)の歴史を拝見すると、脳血管障害の話はこれまでなかったようでした。
記念すべき回に参加させて頂いて、恐悦至極に存じました。
私を含め、演者の先生は4人。
時間は1時間ずつ。14時から18時過ぎまで。
帝京大学医学部内科学講座・循環器内科
上妻謙先生
急性冠症候群に対する抗血栓療法の新展開
ACSに対する抗凝固
Bivalirudin (直接トロンビン阻害薬)
GPⅡbⅢa inhibitorは出血が多い。海外では使われているが、日本では未承認。
ACUITY試験。
BivalirudinはGPⅡbⅢaと比較し、出血は1/2だった。効果は同等。
ADP receptor(P2Y12)が抗血小板のポイント。
ADP receptor antagonist作用発現が早い。
やめると早く効果が切れる。
プラスグレルは代謝が早い。
PCI施行に関連した心筋梗塞が減るのではないか。
チカグレロール、プラスグレルなら糖尿病患者にも効果が変わらない。(クロピドグレルは糖尿病患者が苦手。)
腎機能が悪い群でチカグレロール、プラスグレルはクロピドグレルよりbetter。
ヨーロッパでは、プラスグレルやチカグレロールを早く投与。それがダメなら、クロピドグレル。
非ST上昇心筋梗塞では、冠動脈造影の所見を待って投与。バイパス術に行く人もいるから。
冠動脈造影後から投与でもすぐ効くから大きな問題ない。
Cangrelor はすぐ効く。すぐ効果が切れる。
ステント血栓症を減らす。
プラスグレルは海外の1/3の量。
85歳以上は2.5mgにしている。
ヨーロッパではDESのDAPTは6ヶ月で十分。
STEMIもNSTEMIも、DESでもBMSでもステント血栓症は変わらない。
トロンビン受容体 antagonist
Vorapaxor 頭蓋内出血が多い。
リバーロキサバン + 抗血小板薬2剤併用(DAPT)
脳出血多い。
京都大学医学部附属病院 循環器内科
静田聡先生
AF合併PCI施行例に対する抗血栓療法
ワーファリンは脳梗塞1/3に減らす。
CREDO KYOTO PCI registry
心房細動合併グループは脳梗塞が多い。
半分弱しかワーファリンを飲んでいなかった。
しかし、ワーファリンを飲んでいても飲まなくても脳梗塞の発症頻度は変わらなかった。
ワーファリンが効いていなかったのでは?
--TTR PT-INR 2-3 24%, 1.6-2.6 52.6%
やっぱりワーファリンの効きが緩かった。
でも、心筋梗塞やステント血栓症が少なかった。緩めでも。
冠動脈において、ワーファリンはアスピリンに負けない。
アスピリンはクロピドグレル non-responderに対して有効なだけかもしれない。
やはり1年後はワーファリンのみで行くべき。
ワーファリン単剤 vs ワーファリン+アスピリンの臨床研究を開始している。
現在、心房細動合併患者の冠動脈ステント留置術後に、新規抗凝固薬とクロピドグレルの有効性をみる臨床研究が開始されようとしてる。
長崎大学病院 脳神経内科
立石洋平
私からは、「脳卒中診療医が直面する抗血栓薬と脳出血の問題」と題しまして、話をさせていただきました。
NOACはワルファリンと比較して、総じて、出血性合併症が多いですが、消化管出血が多い。とくに、高用量群や1日1回のとき。
脳出血は総じて、少ない。
当院ではリーバロキサバン内服中の脳出血で死亡が2例。
などなど。
最後に、
日本医科大学大学院 神経内科学分野
木村和美先生
私の川崎医科大学時代の大ボスです。
超音波造影剤とプラークの造影効果。
心臓粘液腫で 脳動脈微小動脈瘤が形成される。
木村教授はtPA治療第1例目の主治医だった(1990年)。
tPAで良くなった患者の動画が示されていましたが。立石が主治医の患者さんでした。
夜中に患者さんの症状が良くなって、ビデオ撮影したのを思い出しました。
経頭蓋ドプラの検査風景。立石が施行していた。
手だけ出演。
tPA静注療法の治療可能時間が発症から4.5時間に延長しても、できるだけ早く投与する。投与開始が早ければ早いほど、予後が良い。
wake-up stroke
発症時間不明でもFLAIR陰性ならば、発症して間もない。
でもCTでは低吸収になっている。
NOACの脳内出血。全国アンケート。
血腫の拡大はワーファリンよりない。
が、リバーロキサバンの脳出血頻度は多いかもしれない。
当院からの症例報告もリバーロキサバンの脳出血が多いことを示唆している。
これは、ちかぢか「脳卒中」という雑誌に掲載予定です。次の号かな?
終わったあとは、木村先生と、川崎医大時代の仲間の青木先生、坂本先生とバーへ。
東京、おしゃれシティー、お店もおしゃれ。
ウイスキーの値段高い!
長崎の倍ぐらい。
帰ってから、おじさんがやっているおしゃれではないバーに行こう。
江頭先生、この度は、お声をかけていただき、誠にありがとうございました。
循環器領域と脳血管領域においては、両方の問題を考えながら、一人の患者さんを見ていかなければなりません。これからも、ご指導お願い致します。
立石先生 東京心臓の会では大変お世話になりました。おかげさまで大変有意義な会になり感謝しております。今後ともよろしくお願いいたします。 江頭
返信削除江頭先生、下手くそな講演で失礼いたしました。いつも、話をさせていただいた後は反省しきりです。少しでも、伝わっていればそれで満足です。
削除大変貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
これからも、循環器の先生方には、お世話になること、ご指導いただくことは多いです。私達、脳卒中診療医も、少しでも循環器の先生方のサポートが出来れば良いと思います。たぶん、それは患者さんのためになるのだと思います。
重ね重ね、ありがとうございました。