心不全合併心房細動患者へのカテーテルアブレーションは、薬物療法に比べて、死亡または心不全を減らすという結果が、CASTLE-AF試験で得られました。
リスク低減効果は約40%。
個人的に興味があるのは、脳卒中をやっている身とすれば、アブレーションをすることによって脳塞栓症の発症を抑制できるかどうか、ということになるわけですが、
CASTLE-AF試験では、差は出ませんでした。
アブレーション: 5/179 (3%) vs. 薬物: 11/184 (6%)
HR 0.46; 95%CI 0.16-1.33; p=0.15
そもそも脳塞栓症発生数が少なかったことも影響したかもしれません。
今回のCABANA試験
Packer et al. JAMA 2019 Effect of Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy on Mortality, Stroke, Bleeding, and Cardiac Arrest Among Patients With Atrial Fibrillation The CABANA Randomized Clinical Trial
登録症例数がアブレーション群、薬物治療群それぞれで1000例を超えており、期待が持てます。
更に期待が持てるのは、脳卒中リスクを1つ以上有する65歳以上の患者を登録していることです。
脳卒中リスク: 高血圧、心不全、脳卒中の既往、糖尿病、他の心疾患
んが、結果は微妙な感じになりました。
世界10カ国126病院
非盲検ランダム化試験
2204人の有症候性心房細動患者が登録されました。
ITT解析では、アブレーション1108人 vs 薬物治療1096人
Per-protocol解析では、アブレーション群987人 vs 薬物治療1096人
Primary end point
複合エンドポイント(死亡、重篤な脳卒中、重篤な出血、心停止)
Secondary end pointは13項目
1. 全死亡
2. 全死亡 or 心血管病による入院
3. 全死亡, 脳卒中, or 心血管病による入院 (心不全or虚血性心疾患)
4. 心血管死
5. 心血管死 or 重篤な脳卒中
6. 不整脈死 or 心停止
7. 心不全死
8. 心房細動再発
9. 心血管病による入院
10. 医療費、施設利用、cost effectiveness
11. quality of life
12. 副作用
13. 左房径、形態と機能
多いな・・・。
Per-protocol解析では、有意差あり。
心タンポナーデ 0.8%, ちょっとした血腫 2.3%, 仮性動脈瘤
薬物治療群の合併症
甲状腺疾患1.6%, 不整脈誘発0.8%
脳卒中の発生率を比較したかったのですが、統計解析は行われていませんでした。
数のみをみると、アブレーション群で少なかったです。
やっぱり、そもそもの脳卒中発生率が低い(2〜6%)ので、解析は困難ですね。
もっと、脳梗塞リスクが高い人を登録しないとわからないですね。
サブ解析の論文も出ていました。
生活の質 QOLはどうなの?
Mark et al. JAMA 2019 Effect of Catheter Ablation vs Medical Therapy on Quality of Life Among Patients With Atrial Fibrillation The CABANA Randomized Clinical Trial
結果は、かなり、アブレーション群で良好。
baselineから3ヶ月後、12ヶ月後・・・と評価。 |
そんなバカな、というほどの結果じゃないようです、いい意味でも悪い意味でも。
CABANA trial。
脳梗塞予防効果をみるならば、脳梗塞を起こしやすい患者さんを登録するのが大切。
心房細動患者で脳梗塞を起こしやすい患者さんはCHADS2 scoreが高い人。
(C: うっ血性心不全、H: 高血圧、A: 年齢、D: 糖尿病、S: Stroke既往)
心不全患者へのアブレーションでは脳梗塞発症抑制効果は検討できなかったので、
やっぱり次は、脳梗塞の既往がある患者さんを登録して、アブレーションの効果を検討することになるでしょうか。
今後の研究が待たれます。
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