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to drip tPA, or not to drip tPA, それが問題だ

脳血栓回収術の前にtPA静注療法をすべきか、すべきでないか。

現在のところ、そのデータは無いので、

「tPA静注療法の適応が有るならば、する」

ということになっています。

本当に必要でしょうか?

現状では、

「(まだ)わからない」

将来的にはランダム化試験が必要になります。

MT + IVT vs. MT alone
※1 MT, mechanical thrombectomy (機械的血栓回収術)
※2 IVT, IV thrombolysis (tPA静注療法)

現在はメタ解析の段階です。

メタ解析2論文。

その結果、

「(それも、まだ)わからない」

Stroke誌の結果は
-- MT + IVTに軍配。

JAMA neurology誌の結果は、
-- MT alone に軍配。

で、現時点での臨床現場での方針は、

「これまで通りtPA静注療法をやって血栓回収術へ。将来的にはランダム化試験の結果を待ちましょう」

と、いつも通りの流れ。

実は、残念ながら、長崎大学はJAMA neurologyが閲覧できない、という寂しい状態。
なので、JAMA neurologyはアブストラクトのみ。
Coutinho et al. JAMA neurol. 2017 Combined Intravenous Thrombolysis and Thrombectomy vs Thrombectomy Alone for Acute Ischemic Stroke A Pooled Analysis of the SWIFT and STAR Studies

JAMA Neurologyのメタ解析は

SWIFT trial と STAR trialをメタ解析。
ちょっと古め。

MT + IVT 160人 平均年齢67歳
MT alone 131人 平均年齢69歳

全体的に若い。とても。

発症から鼠径穿刺まで、
254 vs 262 min
差なし。

何Pass施行したか、再開通率、90日後自立、90日後死亡
差なし。

症候性頭蓋内出血
1% vs 4 %
差なし

血管攣縮
27% vs 14%, p=0.06
なぜか差あり。MT + IVTに多かった。

IVT必要かい?

という結論でした。

しかしながら、Stroke誌は
Mistry et al. Stroke 2017 Mechanical Thrombectomy Outcomes With and Without Intravenous Thrombolysis in Stroke Patients A Meta-Analysis

IVTは不要とは言えない。という結論。

こちらがメタ解析したのは、
ランダム化試験の論文
 HERMES trial ※1
 上記したJAMA neurologyの論文 ※2
非ランダム化試験の論文
 11論文

※1 HERMES trial: (MR CLEAN, ESCAPE, REVASCAT, SWIFT PRIME, and EXTEND IAのメタ解析)
※2 既述の通り、SWIFT trial と STAR trialのメタ解析

ランダム化試験だけでまとめると、
mRS 0-2: MT + IVT良い傾向。有意差なし
OR 1.28; 95% CI, 0.93-1.75; p=0.12

非ランダム化試験だけまとめると、
mRS 0-2: MT + IVT良い傾向。有意差なし
OR 1.31; 95%CI, 0.99-1.73; p=0.06

合わせると MT + IVTに軍配。




ランダム化試験
死亡: MT + IVTに軍配。
OR, 0.56l 95% CI, 0.36-0.86; p=0.007

非ランダム化試験
死亡:MT + IVT良い傾向。有意差なし
OR, 0.76; 95%CI, 0.56-1.03; p=0.08

合わせると、MT + IVTに軍配。


(統計学的にランダム化試験と非ランダム化試験のheterogeneityがないので、合わせて統計解析可能(すいません、統計的意味はわかって書いていません。。。)。)



症候性出血は差なし。OR 1.11; 95%CI, 0.69-1.77; p=0.67
再開通率はMT + IVT に軍配。OR 1.46; 95%CI, 1.09-1.96; p=0.01
デバイス2pass以下はMT + IVTに軍配。OR 2.06; 95%CI, 1.37-3.10; p=0.0005

各々のtrailで、年齢、重症度(NIHSS score)、発症から穿刺時間で調整すると有意差は出ないので、やはり前向き研究が必要。

とのこと。

やはり、今のところは、tPA静注療法。

MT alone vs. MT + IVT

この結論はでるのかなぁ。

臨床的印象は、

tPAやってたからこそ、再開通が素早かった!!
と「先入観を持って」感じる症例もあれば、

tPA意味ないじゃん。
と「先入観を持って」感じる症例もあります。

先入観のない、二重盲検ランダム化試験が必要でしょう。

結果は、やってみなくちゃわからない。




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