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2月, 2014の投稿を表示しています

小春日和の日曜日に、

脳血管内治療。 再開通は得られましたが、症状の変化はどうでしょうか? 詰まった血管が再開通しても、症状がよくなるとは限りません。 しかしながら、症状がよくなるのは、再開通が得られた患者に多いのは間違いありません。 本日も、脳卒中内科と脳神経外科で一緒に治療を行いました。 終わったと同時に、次の患者さん。 93歳というご高齢。 症状は感覚性失語。 外界の状況や情報が処理できない状態です(in-putがうまくいかない)。 具体的にいうと、こちらが言っていることが理解できないので、コミュニケーションがとれない。ベッドから起き上がろうとしたり、点滴を抜こうとしたり、と本人はもちろん大変ですが、医療者側も管理が難しい状態です。 ちなみに、運動性失語はout-putがうまくいかないので、基本的にはしゃべることが出来ない。 ただし、理解は良好なので、コミュニケーションはとれる。 それぞれの患者さんで、その程度はさまざまはありますが。 失語症などの、高次脳機能障害は脳卒中診療の中で遭遇する症状です。 なかなかほかの神経疾患で出会うことはありません。 若い先生で、高次脳機能障害に興味を持ったら、脳卒中をしっかりやっている病院で研修を受けましょう。 脱線しました。 で、今日は当直の脳神経外科医に任せて・・・、と思っていたら、当直の脳神経外科医は緊急の手術をしなければならなくなり、対応させていただきました。 脳神経外科医は手術をして、なんぼ。 脳卒中内科医と脳神経外科医で、助け合いながら、診療を行っています。 治療において、やることはやったので、これから患者さんがよくなるかどうか、どう経過するか、は神のみぞ知る。 よくなることを祈るのみ。

心房細動を、焼き止める。

心房細動へのカテーテルアブレーション治療。 カテーテルアブレーション治療とは: 足の付根などの太い血管からカテーテルを挿入し、心臓まで到達させます。 そのカテーテルの先端を不整脈を起こしている標的部位に当てて、高周波電流を流し、その部位の細胞を焼いて、死滅させます。 現在のガイドラインでは、薬剤で心房細動が落ち着かない患者にカテーテルアブレーションを考慮するようになっています。 しかし、 ドアは開かれるかもしれません。 first-line(第一選択)の治療として。 Radiofrequency Ablation vs Antiarrhythmic Drugs as First-Line Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation (RAAFT-2) A Randomized Trial 心房細動患者において カテーテルアブレーション vs. 薬物治療 ガチンコ勝負。 ヨーロッパとアメリカの16施設。ランダム化比較試験。 カテーテルアブレーション66人 vs. 薬物治療61人 2年間経過観察。 主要エンドポイント:30秒以上の心房頻拍(症候性または無症候性心房細動、心房頻拍、心房粗動)が最初に検出されるまでの期間。 二次エンドポイント:症状を伴う心房頻拍またはEQ-5D toolを使った生活の質評価 結果:                                      2年間のうち、心房頻拍があった患者 カテーテルアブレーション:36人(54.4%) 薬物治療:44人(72.1%) ハザード比 0.56, 95%CI 0.35-0.90, p=0.02 2年間のうち、症状を伴う心房頻拍 カテーテルアブレーション:47% 薬物治療:59% ハザード比 0.56, 95%CI 0.33-0.95, p=0.03 どちらの群でも「死亡」、「脳卒中」なし。 カテーテルアブレーションで心タンポナーデ:4人 薬物治療群:26人(43%)が1年後にカテーテルアブレーションを受けた。 どちらの群も、「生活の質」は1年後に改善したが、その改善度に差はなかった。 まとめ:                    

International Stroke Conference 2014 in サンディエゴ

International Stroke Conference 2014 in San Diego 参加してきました。 今年で5年連続の参加になります。 結構簡単ではなくて、採択率20%ぐらいと言われています。 ですので、それなりに頑張っているのかもしれません。 しかし、サンディエゴ、いい気候でした。爽やかな空気と1年のうち300日は晴れ、という。 逆に、頭がおかしくなりそうな・・・。 今年もいろいろな発表がありました。 急性期治療から、リハビリテーション、予防、看護、基礎研究などなど。 私は、脳血管障害急性期治療を行っていますので、そこを中心に話を聞いていきました。 今年の話題は・・・・。 あまりぱっとしたものがありませんでした。 もちろんそれぞれで面白いものはたくさんあったのですが、去年の脳血管内治療の話題(脳卒中をやる医師の間ではHonolulu shockと言われています)のような派手なものはありませんでした。 目についたのは、 どうすれば、脳血管内治療を早く行えるか、もしくは、早く再開通できるか、という話題。 それから・・・・。 主だったものは、あまりなかったです。 あとは、reversible cerebral vasoconstriction syndromeのreviewとか、血液学的マーカーの話。 perfusion MRIで側副血行路がわかる、という話。 echo-planner FLAIR and GREをDWI, contrast MRA, perfusion MRIに加える事で6分でMRIが終わる、という話。 多かったのは、チーム医療でtPA静注療法開始が早くなる、という話。それでもアメリカでは60分を超えるのは至難の業。 われわれの看護師の研究は全く負けていないので、いけそうです。ISC2015。 日本と違うのは、多民族国家なので、人種間の違いの話。男性と女性の違い(女性のほうが脳卒中を起こしやすい、かも) 基礎のデータで発表している先生方がおっしゃっていて、気になったのは幹細胞治療の発表が少なかった、ということ。幹細胞治療とは、脳梗塞の部分に幹細胞を移植して、脳機能を改善させるということ。 私は基礎研究ができないので、適当な事は言え

人を診るということ

土曜日16時の脳卒中ケアユニット。 朝3時に血管内治療を施行した患者さん。 緊急の頚部血管ステント留置術と脳血管カテーテル治療を行いました。 少し脳出血を合併したので、朝の時点では抗血栓薬を使わない方針でした。 しかし、午後になって、気になって、やっぱりMRIを撮影して、抗血栓薬を使うかどうか考えなければと思い返し、来棟。 ステントを留置すると、急に血栓ができて詰まってしまうことがあります。 かくして、この患者さんには抗血栓治療が再開されました。 頭が下がります。 日本の医療のいいところであります。一人の医者が、一人の患者さんの事をしっかり考えて、治療方針を検討する(もちろんみんなで考えるのですが、責任の問題です)。 担当医が、診療時間帯ごとに変わると、きめ細やかなことができにくいことがあります。 日本の医療の悪いところでもあります。一人の医師に負担がかかりすぎて、休めない。 どうすればよいのでしょうか? 少なくとも、日本人はもっと休むべきで、その体制をどこの現場でも、もっと考えるべきなのでしょう。

最後の病棟講義。

「いつも病棟でふらふらしてばっかりと思われているので、ちゃんと仕事をしていることを話します」 という、言葉で始まった、脳神経外科教授の講義です。 今年で退任されるので、最後の講義になります。 病棟の看護師、リハビリスタッフ向けに、脳神経外科手術の話をしていただきました。 冒頭の言葉のとおり(と言ったら失礼(?))、よく病棟に顔を出されます。患者さんのところにも、もちろんよく行かれていらっしゃって、コミュニケーションを取ることの大切さを体現されていらっしゃいました。 土日の病棟にも出張の時以外は、顔を出していらっしゃって、なかなかそんな教授をいらっしゃらないのではないでしょうか。 我々、脳卒中内科医は、本当にお世話になりました。 我々がここにいるのは、教授のサポートを頂いたからこそでございます。 病棟のカンファランス室で、大入り満員。熱気ムンムン。講義室みたいな、かしこまったところではありません。 もう本当に残り僅かです。 我々脳卒中内科は、これからも発展して、御恩に報いたいと思います。

リバーロキサバンと間質性肺炎

イグザレルト®錠 10mg,15mg ― 適正使用についてのお願い ー 2012年の発売以降、間質性肺炎が13例で報告されています。 死亡に至ったケースは少なくとも3例あります。 リバーロキサバンはⅩa阻害薬です。抗凝固薬です。 呼吸器症状が出現した場合は、胸部画像診断必要です。KL-6も参考になると思います。 間質性肺炎を発症した症例の詳細なデータが参考になるので、それを待ちましょう。

新研修制度。気になること。

研修医お疲れ様会。 脳卒中センターを1カ月研修してくれて、ありがとうございました。 1カ月でではなかなか教えるのが難しいと、言い訳をしながら、それなりに考えて指導させて頂いています。 研修医と一緒に診療しながら気になること。 ●1年たっても、事務的なことをしてきていない人がちらほら。例えば、紹介していただいた病院への返事の手紙など。 ●点滴が上手にできないことはいいとして(患者さんには申し訳ありませんが、当たり前ながら数をこなさないと上手になりません)、注射の準備などができない。薬の静注をしたことがない。 理由は、指導する側にも指導される側にもあります。そして、環境の問題も。 指導する側の問題:1カ月しかまわらず、その研修医の能力がわかりづらい。将来入局(要は、「同じ会社」で働くということ)しない研修医に指導することに、徒労感を感じる。 基本的には、我々指導する側の医師は、ちゃんと教えます。もう、そんなことは当たり前です。 ただ、聖人君子ではないので、いろんなことを考えながら指導します。 「この研修医は来年から、うちに入局するからびしっと鍛えよう!」 とか。 正直に言うと、実際、現場で教えているときは、細かいことは忘れています。 「うらーっ」とか「ガミガミ」とか言いながら、研修医にやさしく話しかけています。 そんな感じで、指導する側の気持ちも移ろいやすいのです。 研修医の問題: よく考えると、これはあまりないかも。 人の性質は世代で変わります。 私の子供は4歳でiPadを上手に使います。 それが大人世代になったら、それは今の価値観と違うものがスタンダードになっているはずです。 じぇねれーしょんぎゃっぷ ってやつ。 ただ、言えることは、ときどき、環境の問題にする若い人がいる。ということ。 これも昔からか。 自分ができないのは、このシステムがよくないから。 でも、言いたくなるよね〜。 環境の問題: 昔:点滴は、薬の注射も含めて、すべて医者がする 今:一般的なものはすべて看護師がする ときどき、研修医に話しているのは、 「私とあなた(研修医