薬剤溶出冠動脈ステント留置後12カ月経ったら、抗血小板薬は1剤にしましょう。 なぜなら出血のリスクが上がるから。 これまで、脳卒中診療医として、梅干しを3個いっぺんに口に入れたくらい、酸っぱくして言ってきました。 いや、3個は言い過ぎた。 いずれにせよ、そう言ってきました。 しかし、最近のNew England Journal of Medicineに、 「薬剤溶出冠動脈ステント留置後の抗血小板薬2剤は30カ月続けた方がいい。」 という論文が掲載されました。 Mauri et al NEJM 2014 Twelve or 30 Months of Dual Antiplatelet Therapy after Drug-Eluting Stents この論文を読んだ感想は、 「アスピリンがダメなだけで、アスピリンとチエノピリジン系薬剤のタッグがいいというわけではないのでは?」 ということ。 つまり、 「チエノピリジン系薬剤(クロピドグレルまたはプラスグレル)単剤を12カ月以降も続ければいいのでは?」 ということ。 読まれた皆様、いかがでしょうか? ・・・・・ 登録された患者さんは薬剤溶出冠動脈ステント留置後12カ月を大きな問題なく乗り越えた方。 つまり、薬剤溶出冠動脈ステント留置後12カ月間の間に、虚血性心疾患や中等度から重度の出血合併症がなく、また脳卒中もなかった人。 つまり、リスクが高い人はこの研究から除外されています。 これは、重要なポイントです。 5020人がアスピリン+チエノピリジン系薬剤。 4941人がアスピリン+プラセボ。 さらにもう一つのポイント。 登録された患者さんは、とにかく「でかい」 体重の平均が91.5kg。って、 こんな体重の人、日本人にはほとんどいません。 このことからも、この結果をそのまま日本人に当てはめるべきでないように思います。 結果: ステント血栓症は、アスピリン+チエノピリジン系薬剤群の方が少なかった。 19人(0.4%) vs 65 (1.4%), ハザード比 0.29