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6月, 2014の投稿を表示しています

下垂手になって、脳卒中後遺症を思う。

柳の木の影にいる幽霊は、下垂手。 鉛中毒の恐ろしさを知らせるための幽霊と思ってます。個人的に。 妖怪かな? 鉛中毒で下垂手は有名な話。 でもよくあるのは、変な寝方で橈骨神経麻痺。 手を反り返すことが難しくって、意外と大変。 右手が反り返らないので、左下奥歯を磨くのが難しい。 アイドルみたいに歯ブラシを両手で持って磨いています。 超音波検査するのも大変。 普段の1.5倍ぐらい時間がかかりました。 こんなことでも、大変なことがたくさんあって、 あたり前にできていたことが、できなくなる脳卒中の後遺症は、 精神的に、ボディーブローのように効いてくるであろうことを容易に想像できた、いい機会でした。 身体的な問題は、心にも影響します。 脳卒中後のうつやPTSDの問題が話題になっています。 脳卒中を経験した人の4人に1人はPTSDである 脳卒中は急性期を乗り越えるだけではだめで、その後も継続的なサポートが必要な疾患です。

大気汚染は心血管病と関連?PM2.5は?

話題のPM2.5を含め、大気汚染はかの大国から日本の西の果てに余裕で飛んできます。 昔、黄砂は春の風物詩として捉えられていました。 しかし、最近は忌むべきもので、さらに春だけではなくいつでも、飛んでくる。 大丈夫なんでしょうか。 日本でも大気汚染と心血管疾患の研究はなされています。 PM10のこと.PM2.5じゃないです. 九州大学第二内科教授の北園先生のご講演で勉強しました。 大気汚染と心血管病の関連をイングランドとウェールズで調べました。 Milojevic et al. 2014 Short-term effects of air pollution on a range of cardiovascular events in England and Wales: case-crossover analysis of the MINAP database, hospital admissions and mortality そもそも、大気汚染と心血管病の関連は以前から言われていた。 今回は、4万人を超える心筋梗塞患者データベースを利用して、急性の大気汚染暴露が心血管病と関連するかを検討。 ここでは、大気汚染物質が増えてから0−4日後以内の発症を検討しています。 方法はCase-crossover analysis 一人の対象者で、経時的にみて、暴露による発症の有無を検討します。 大気汚染と心血管病発症の有無を経時的に検討します。 調べたのは、 Carbon monoxide (CO): 一酸化炭素 Nitrogen dioxide (NO2): 二酸化窒素 Particulate matter less than 10 micrometers in diameter: PM10 PM2.5 Sulfur dioxide (SO2): 二酸化硫黄 Ozone (O3): オゾン 結果は、ちょっと複雑で難解。 救急入院について。 二酸化窒素の増加が、 心血管病入院、心筋梗塞以外の心臓病入院、不整脈入院、心房細動入院、心不全入院 と関連していた。 死亡に関して。 PM2.5が、 不整脈死亡、心房細動死亡、肺塞栓死亡 と関連していた。

脳卒中カンファランス。祝角尾学術賞!

当院脳神経外科の先生が、当大学(臨床および基礎医学)で、活躍している若手臨床研究者に送られる、最高の賞である角尾学術賞を受賞されました。 おめでとうございます! 我々脳卒中内科医は脳神経外科の先生方の活躍に負けないように、さらに、もっとがんばらんばいけん。 褌を締め直したした次第です。 その記念講演の内容を若手医師や、看護師、リハビリテーションスタッフに対してわかりやく話していただきました。 その前に、リハビリテーションスタッフが、日々、リハビリテーションを提供するだけでなく、自分たちが患者さんに行ったことが、どういう効果を生むのか、データ化して検討する試みを話してくれました。 手前味噌ながら素晴らしいです。 一緒に頑張りましょうね。 そして、メインイベント。 当院は、「脳梗塞に対する再生医療ガイドライン」作成に参加しています。 脳梗塞後の後遺症でつらい思いをしている人も、意外とそうでない人も、 いつか、再生医療によって、 「脳梗塞になって、麻痺が残ったばってん、大丈夫。細胞ば、チューっと注射して、良くなるらしかよ」 って、言える日が来ることを願って。

栄養小ネターbulletproof coffee、アルコール摂取。ほどほどがベター?

bulletproof coffeeって知っていますか? コーヒーにバターを入れて飲むそうです。 これを朝から飲むと、 いわゆる「健康に良い」 という人たちがいて、少し話題になっているようです。 新トレンド!コーヒーにバターを入れると脳が活性化―ただしカロリーも高い そりゃ、カロリーも高かろう。 そのbulletproof coffeeが血中の悪玉コレステロール上昇に関連することがあるようです。 そりゃ、あるでしょうよ。 'Bulletproof' Coffee May Hike Lipids 2杯分のコーヒーに、バタースプーン2杯、ココナッツミルクスプーン2杯を入れる。 それを朝食代わりに。 ”バター爆弾” すると、LDL-コレステロールがすぐに上昇して198mg/dlになった。 人がいるそうです。 なんでもほどほど、でしょうね。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 1日1〜1.5杯までの飲酒は脳卒中リスクを下げる。 1日3杯以上の飲酒は脳卒中のリスクを上げる。 Zhang et al. Int J Cardiol 2014 Alcohol intake and risk of stroke: A dose–response meta-analysis of prospective studies 27の前向きコホート研究をメタ解析。 研究の数は、アメリカ11、ヨーロッパ9、日本4、中国3 酒の種類はいろいろですね。 6〜35年の経過観察期間。 低アルコールは15g/day未満、中等度アルコールは15〜30g/day(1〜1.5杯ぐらい)、高度アルコールは30g/day以上 禁酒に比べて、低アルコール群は 全脳卒中   relative risk 0.85, 95%CI 0.75-0.95 虚血性脳卒中 relative risk 0.81, 95%CI 0.74-0.90 脳卒中死   relative risk 0.67, 95%CI 0.53-0.85