tPA静注療法は脳梗塞発症から4.5時間以内の患者に施行できる点滴治療です。 脳梗塞急性期治療だけでなく、脳梗塞患者の治療・ケア全体においても、大きな転換点となった治療です。 その適応が拡大というニュース。 脳卒中学会から、 静注血栓溶解(rt-PA)療法適正使用指針 第三版が発表されました。 日本脳卒中学会HPより その中で、 発症時間不明でも、画像次第では、tPA静注療法を行うことが検討可能になりました。 具体的に、どういうことかと言うと、 ------------------------------------ 例: 前日の21時に普段どおり就寝。 翌朝6時起床時から、すでに右麻痺あり。 (21時から6時の間に発症しているが、発症時間を断定することは不可能。つまり、「発症時間不明」) 8時に救急外来に来院。 8時15分、頭部MRI撮影。拡散強調画像(DWI)で高信号が出現しているが、FLAIRではまだ高信号になっていない。 (DWI +/FLAIR -) tPA静注療法施行を検討可能! という流れ。 ------------------------------------- 今までは、発症時間不明のときは、tPA静注療法が施行できませんでした。 しかし2018年に、WAKE-UP trial WAKE-UP trialのメインの結果。発症時間不明、発見から4.5時間以内の 患者を二重盲検でtPA群とplacebo群に分け、3ヶ月後予後を評価 tPA群がPlacebo群より3ヶ月後予後が良好、という結果に。 MRI-Guided Thrombolysis for Stroke with Unknown Time of Onset Thomalla et al. NEJM 2018. からポジティブな結果が出て、世界各地で進んでいた同様の研究も、その結果をもとに、研究を中止したほどでした。 日本では、対照群はPlaceboではなかったものの、同様のTHAWS trialが国立循環器病研究センター中心に行われており、2018年7月に早期終了の運びとなりました。 そして、2019年3月21日から23日に開催された脳卒中学会を機に、tPA静注療法の拡大が発表されたというわ