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8月, 2013の投稿を表示しています

指導医講習 at 山の上

研修医を指導する指導医のための講習会。 ほぼ2日間まるまる、たくさんのワークショップ(ある議題をグループで話し合って、いろいろな方法で解決策を探る)がありました。 指導をするためにも、多少の方法論があり、それをみんなで協力しながら学ぶ。 医師は患者を診療させていただくだけでなく、その自分の診療技術を若い先生に伝えなければなりません。 殆どの仕事で、当たり前のことが、医療の世界でもあるわけです。 しかし、命を扱うという仕事の特性上、指導には難しさが伴います。 瀕死の状態で救急搬送されてきた患者の対応で、研修医がちょっとした間違いをしようとしたら、有無をいわさず、 「もうよか、あっちいっとって(もういい、あっちに行ってて)」 となります。 ミスして勉強。 というわけには行きません。 とはいえ、すべての状況で、「もうよか」とするわけではないので、ちょっと落ち着いた状況では、指導のテクニックが必要になります。 P: positive N: negative P: positive ほめて、指導して、ほめる。 PNPが重要です。 日本人は褒めるのが下手なので、PNでもいいそうです。 当たり前ですが、難しいですよね。 間違いがあったら、「そら、違う。」「なんでそうなる??」とすぐに突っ込みたくなります。 褒め忘れ。 褒められると嬉しいですよね。その上で指導されると、「がんばろー」と思うのはよくわかります。 だって、これまで35年間、たくさんの指導者に指導を受けてきたので。 体に、心に染み付いています。 ただ、痛烈に覚えているのは、怒られたこと。 だから、"N"が一番大切だと思っています。 "N"の前の"P"は、卓袱料理のお鰭(最初に食べる吸い物)のようなもの。 プレコンディショニング、前準備です。 "N"が心に入るための準備を整えてあげる。 そして、"N"のあとの"P"は、コース料理のデザートのようなもの。 かもしれません。 PNP どんな場面でも使えそうです。 疲れました。 準備された先生方やスタッフもお疲れだったことで

健康診断は職員の義務です

なんて院内放送が流れたからではなく、 受けました、健康診断。 医師は自分たちの病院で適当に検査して、検診代わりにしているわけではありません。 外部の団体に検診をしていただいています。 意外と知られていないような気がする。 でも、どうでもいいような気がする。 こんなこと知らなくても、日常生活は送れます。 まじめに、ちゃんと受けますけど、検診の内科診察を内科医の先生から、内科の医師がしていただく、 という図が少しシュールでおもしろいなぁ、と毎回思ってしまいます。 丸いくるくる回る椅子に座ると、いつもと違うのでなんだか変な感じです。 ちなみに、内科検診の診察バイトは意外としんどいです。 多数の検診者を時間制限内に診察しなければなりません。 以前、したことがあります。 その時は、引っ越し会社の検診だったので、屈強な兄ちゃん達ばかりを内科診察したので、 違う感情が。。。 今年は憧れの35歳検診。 採血ありのフルコース。

にかいめ♡

1日でtPA静注療法3件。 二回目です。 tPA静注療法の適応時間が、 「発症から 3時間 」 から 「発症から 4.5時間 」 に延長して、治療できる患者さんが明らかに増えました。 当たり前ですが。   救急外来看護師、救命病棟看護師、9階東病棟看護師のみなさん、   ありがとうございました。   脳外科当直のお二人。   お疲れ様でした。   長崎は久しぶりの雨です。   土砂降りになったり、晴れたり。   ほんとに久しぶりの雨。   「気圧の影響があるんですかねぇ?こんなにたくさん患者さんが来るのは。」   と若い脳外科医に聞かれましたが、     知りません。     勉強しよーかな。

統計解析も臨床医のたしなみ

今日は、医学統計が専門の先生による統計の講義がありました。 たくさんの参加者があり、みんな関心が高い話題だと実感しました。 必要だし、関心が高いけど、あの難しい式の数々を見せられると 「参りました〜」 となってしまって、頭に入らないんです。 理系クラスだけど、理系が苦手だったわけで。 今回の講義は、とってもわかりやすくて、臨床研究に入る前準備の重要性とその方法がよくわかりました。 いや、わかったつもり、か。 今回は、サンプルサイズの決め方。 どのくらいのサンプルがあれば、有意差が出るかを、研究を始める前に(草案を作っているときに)考えることが重要。 その方法の話。 必要なサンプルサイズの決定には 1:帰無仮説(AとBは一緒ぐらいという仮説)と対立仮説(AとBは一緒ぐらいではないという仮説=”帰無仮説は違う”という仮説)の設定 2:連続データならt検定。2値データならχ2乗検定 3:効果量(effect size)の設定 が重要 専門家じゃないので、優しい言葉に変換して、ブログに掲載することができない。 しかたないので、好き勝手に復習してみます。 多少の知識の固定になるでしょう。 Type 1 error (第1種の過誤=誤検出)とType 2 error (第2種の過誤=検出失敗)、そして検出力の関係が少しわかった。 真の状態とは、実際はわからないけど、神様は知っていること。 "1.96"という数字は時々見かけますが、これと関係があるわけですね。意味はわかりませんが。雰囲気はわかりました。 このサンプルサイズの計算が鬼門です。 講義後に質問がいくつかありました。 過去の研究から、μと標準偏差(SD)を”適当に”代入して、算出する。 ここがポイントですが、いろいろな報告で、数値が大きく違うので(特に標準偏差)違いが出るところです。 でもあんまり考えすぎたり、とらわれすぎても進まないから、まぁ代入してみるって感じでしょうか。 こんな票があるので、計算せずともだいたいわかります。 2値データの場合は、連続データよりも標準偏差が不要な分、代入が簡単。

静脈血栓症にアピキサバン パート2

アッピーの話。 前回はワルファリン内服6-12カ月以降にアピキサバン内服。 vs プラセボ(偽薬) 静脈血栓症にアピキサバン ”次に期待される検討は, さらに延長して使用していいかどうかということ, ワルファリンとガチンコ勝負.” なんて書いていました。 そして、先月、ついにワルファリンとのガチンコ勝負がNEJMに載っていました。 Agnelli et al Oral Apixaban for the Treatment of Acute Venous Thromboembolism.NEJM 2013 Jul 1 目的: アピキサバン vs ワルファリン。 主要評価項目:症候性静脈血栓症再発と静脈血栓関連死 安全評価項目:重大出血、重大出血と臨床的に重要な非重大出血 これは非劣性試験なので、ワルファリンと同じであることが証明されればそれでOK。 方法: 二重盲検(double-blind) ということは・・・、 アピサバン群:本物アピキサバン+偽エノキサパリン+偽ワルファリン ワルファリン(conventional therapy)群:本物エノキサパリン+本物ワルファリン+偽アピキサバン PT-INRは2-3に調節。 ということは・・・、 アピキサバン群では、偽のPT-INR値が提供されて、それに併せてワルファリンを調節した気になっているということ。 いやはや、壮大な臨床研究です。 実際、やるのって大変でしょう。 対象: 膝窩静脈より近位の静脈血栓 and/or 肺塞栓のある患者 結果: 主要評価項目 アピキサバン群:56/2609人(2.3%) ワルファリン群:71/2635 (2.7%) 相対危険度:0.84 (95%CI 0.60-1.18), p<0.001 安全評価項目:重大出血 アピキサバン群:15/2676人(0.6%) ワルファリン群:49/2689 (1.8%) 相対危険度:0.31 (95%CI 0.17-0.55), p<0.001 アピキサバンはワルファリンに比べて、出血が全体的に少ない。 頭蓋内:3(0.1%) vs 6 (0.2%)

ココアどこ、私は誰?とならないように。

ココア1日2杯で脳機能が改善。 Sorond FA et al "Neurovascular coupling, cerebral white matter integrity, and response to cocoa in older people" Neurology 2013 残念ながら全文は読めていませんが。 指標はNeurovascular couplingと認知機能(Mini-Mental State Examination、Trail Making Test A and B) Neurovascular Couplingの考え方: 脳が活動すれば、酸素と糖が必要になる。酸素と糖をよりたくさん運ぶために、ある一定時間あたりの脳血流が増える。つまり血流速度が速くなる。 血流速度が速いほど、脳活動が活発ということ。 つまるところ脳血管の血流速度をみます。 MMSEは、いわゆる認知症チェックのための質問表です。30点満点で、一般的に20点以下が、認知機能低下と考えられます。 Trail Making Test Aは紙にランダムに書かれた1から25までの数字を線で結ぶテスト。 Trail Making Test Bは紙にランダムに書かれた1から13と「あ」から「し」までを、「1」→「あ」→「2」→「い」→「3」・・・・・→「13」と結ぶテストです。 もともとNeurovascular couplingが低下していた患者がココアを1日2杯飲むと、 Neurovascular Couplingが 24時間後10.6%改善 30日後8.3%改善 ※ベースラインでNeurovascular Couplingが正常だった人は 24時間後-1.5% 30日後-2.0% Trail Making Test Bの結果(スピード)が有意に改善(p=0.007) 1日2杯のココア。 ココアって、日本人にはなじみが薄いです。しかし、侮れません。 アメリカ人は結構なじみがあったような気がします。よく見かけてような。どうだったか。 Neurovascular Couplingが正常、すなわち認知症になっていない人には悪化予防効果があるかもしれない。 とも読み取れますが、これはこの論文の主点

デスクワークも臨床医のたしなみ

自慢のmac book pro。 iPhone, iPad, iPodときたら、 次はmac bookです。 このような環境でやっています。 このキーボードの横のパッドが最高です。 これを指ですーっとさすると、画面もすーっと動きます。 左手に持ったマウスはクリックだけです。 そういう意味では普通のマウスで全く問題なかったと思いますが、見た目がかっこいいので満足。 ちなみに、このマウスも表面をすーっとさすれば、画面もすーっと動きます。 統計ソフトはまだWindowsにはいっているだけなので、統計解析はWindowsでやって、論文をiPadで参照しながら、自分の論文作成や抄録作成を行っています。 ただ、iPadでPDFになっている論文をみるとなかなか見づらいので、そこが難点です。 iPadもRetinaにすべきかもしれません。 学会準備、論文作成、講演準備、講義準備。 デスクワークに費やす時間もなかなかなものです。 ですが、これらの仕事も、患者さんを診療する臨床医のたしなみです。 自分が経験したことを、世間の皆さんにお知らせする。 「こんな興味深いことがありました。」 「このような方法で検査すると、有意義ですよ」 自分が知っている貴重な経験を世界で共有する。 したつもりかもしれませんが、自分の足跡を残す意味でもやるべきことです。

脳卒中センターで脳波をみる

意識障害患者さんの診察依頼を院内の他の科からいただきます。 そのため脳波検査を行うこともしばしばです。 低酸素脳症で周期性同期生放電が出ることを初めて学びました。 周期性同期性放電は孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病で典型的です. よく考えてみるとどちらも大脳皮質が障害され、どちらもミオクローヌスが出現します。 それなら、周期性同期生放電がでるのも納得です。 今日も一つ、患者さんから学びをいただきました。 脳卒中センターでありますが、脳卒中以外のことで他科の先生から相談を受けることがあります。 特に意識障害の患者さん。 ありがたいことです。 研修医とともに学びながら、日々精進させていただいています。

Stroke Doctorが進路を示し、Emergency Nurseが舵を取る、脳卒中超急性期診療

と題して、本日、救命救急ナースと勉強会を行いました。 ありがとうございました。 tPA静注療法は、脳梗塞発症4.5時間以内に使用することができる、血栓溶解薬です。 点滴で行えるので、病院内であればどこでもできます。 大切なことは、この薬は、早く投与すればするほど、患者さんの治療効果があがるということです。 当たり前の話ではありますが。 tPA静注療法。当院では、救急外来で行っています。 つまり、来院から治療開始まで、すべて救急外来で診療しているということです。 救命救急ナースの役割。 とても重要。 ということで、看護研究を行うことになりました。 研究課題:Nurses of emergency department Guide stroKe team to early thrombolytic treatment within 48 minutes from hospital arrival. NGK 48 study 来院から治療開始までの時間が48分以内の患者は現在23%。 それを40%ぐらいに増やすことで、全体の治療開始時間がもっと短くなる。 それが目標です。 tPA静注療法は来院から点滴開始まで60分以内が、最低限の目標です。 しかしながら、CT検査の4倍時間がかかるMRI(当院ではMRIができない人以外は、すべてMRIで評価しています)で脳梗塞を評価すると、60分は厳しいことがあります。 当院においては、さらに、「工事中」がネックになっています。 MRI室までが回り道になって、遠い、遠い。 しかし、それを言い訳にしていると大学病院の名が廃る。 ということで、来院から治療までの時間を、看護師がsystematicに動くことで、さらに短くしようということがNGK 48 studyのねらい。 本日の勉強会が第1歩です。 すでに始まっています。 医師、放射線技師、検査技師を巻き込んで、よい治療をよりよく提供するようにがんばりましょう。 看護師の皆さんが、どうすれば早く投与できるか、討論しております。 この絵だけで感動でおなかいっぱい。