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International Stroke Conference 2016 ロサンゼルス day 1

2016年2月17日〜19日
International Stroke Conference 2016
ロサンゼルス

参加してきました。

世界各地から(ヨーロッパからの参加はわずかなんですが)、脳卒中とたたかっている多くの臨床医、研究者たちが、集まって、議論し合います。

昨年のトピックは、学会前後で次々と世に出た、脳梗塞急性期血管内治療でした。

その全てが、ポジティブな結果であったので、大いに盛り上がりました。

今年は、逆に、そう大きなインパクトのある発表はなく、昨年の少し高揚した雰囲気はありません。

多施設研究などの大きな研究、比較的大きな研究、

今回発表の多くは、

「差がなかった」

「サブ解析では差があった」

的な結果が多かったです。

会場を沸かせるような結果があまり見受けられなかったと思います。


初日。

今年はあまりめぼしい物がなかったので、
(といったら偉そうですが、偉そうに言ったらそんな感じ)

これを聞きに行こう!

という勢いもなく、

最初は看護師の発表を聞きに行きました。

日本と一緒です。

嚥下評価

が重要視されています。

日本との違いは、そこにリハビリテーションスタッフが深く関わることです。

それがポイントです。

アウトカムが違えばいいのですが。

状態が悪い人でも、胃ろうをせずに食べることができるようになる。

でしょうか。

発表を拾って、記載しているので、間違いはあると思います。
また、私の記憶定着のためでもあり、記載がおかしいところが多々あります。
その点を考慮してお読みください。

Evidence based aspiration risk tool: improving stroke care
swallowing check to prevent aspiration pneumonia

評価項目
10分間座っていて、ぼーっとしないか。
3oz waterを使う。
湿性咳嗽とか、咳嗽が弱いとか、をみる。

RACE to treat stroke
NIHSS scoreより簡単な評価があるのでは?

Rapid arterial occlusion evaluation
face, arm, leg, ,,,, 
5分以内に評価。
5以上なら高次の病院へ転送する。
救急隊が判断。

RACE alerts のほうが、Stroke alertのみより、虚血性脳血管障害が多い?64% vs. 50%
脳出血、TIAが少ない

救急隊に教育する。4時間必要。

Stroke Camp offers emotional and physical relief for stroke caregivers
脳卒中後の家族の精神的落ち込みについて。
2日半のキャンプ。教育、レクレーション、経験をシェアする。
ボランティア healthcare providers

PHQ 9, caregiver stain index (CSI)を使って評価。
2009-2015
1回10−12人。

67人CG completed the survey.

CSI: change in personal plans 64%, being confined to home 43%, financial strain 40%

自由時間が少ない、患者とのコミュニケーションが難しい、loss of companionship
50%が自宅復帰にストレスを感じている。

Stroke camp後、CGは、less lonely 79%, recharged 77%, educated/informed 58%

個人的感想。
逆にしあわせは感じないのか??
ある友人から教えてもらったが、死の受容に似る、とのこと。
精神的葛藤が当初あり、その後の受容に近づく。

精神的葛藤の期間を短くすることが、その後の受容の程度にプラスに働く、

らしいです。

なるほど。

キャンプをする、という発想がアメリカっぽい。

A nursing swallowing screen is better than the national institutes of health stroke scale at a predicting dysphagia

dysphagia screening
CVMC(病院名) stroke swallow screen 
240人、2010-2011

書き取れず。


次は、

Vascular cognitive impairment

今年のちょっとしたトピック。

たしかに重要です。

ただ、いろいろな要素(アパシーや不安症、うつ、など)が関わるので、評価は難しいし、治療効果もでづらい。

でも、重要で取り組むべき課題。

脳出血後のnew onset dementia

lober hemorrhageのほうがdementiaになりやすいのではないか?
MMSE =< 27
アルツハイマーのスケール

ICHの4年後30%がdementia

中央値6年follow-up
独立した因子
disseminated superficial siderosis, 
cortical atrophy
old Macro hemorrhage
older age

もともと因子があった人に脳出血を起こすと、認知症が起こりやすくなる。

Enlarged perivascular space, CSF biomarkers, BBB permeability, neuroinflammation, VCI pts
EPVS (T2 で基底核におけるたくさんの低信号)
EPVSを数で分ける。4群、1-40個

BBB dysfunctionの評価は
CSF albumin index

MMP2
ABβ1-42

EPVSとCSF alb indexは正の関係。
EPVSとMMP2 and ABβ1-42 負の関係 (ABβのdranageが悪くなる?)

Cerebral micro bleeds and cognitive function in community-based study in Taiwan
Deep, infratentorial, lobarの3つを評価

non-dementia and non-stroke subjects
CMB locationとCI
lobar CMBの患者: complex figure test, Clock drawing testが低スコア。

Preventing stroke recurrence: Will we prevent dementia, too?
脳梗塞の再発を予防することは認知症も予防する?

post stroke dementia
3%/year

脳卒中再発予防をすることが、認知症発症を抑制することに影響するようだが、結論めいたことは言えない。今後、脳卒中再発予防を目的とした研究には認知症評価もoutcomeにに含めるべきである。

Cognitive impairment after TIA/minor stroke
30-57%!!

もっとも興味深かったのは
tPA + アルガトロバン phase 2 study.
ARTSS 2
pilot, Phase2b, ランダム化、多施設研究

早期終了した
理由

tPA+アルガトロバン群:excellent recovery 31.2%
tPA群:excellent recovery 20.7%

Endovascular Rxのデータがない。

穿通枝領域の脳梗塞患者へのtPA治療は、早期改善があるが、その後の増悪率が、tPAなしの患者とあまりない可能性が示唆されています。

穿通枝領域の脳梗塞に意味があるかも。 

コメント

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