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九州で脳卒中を診る内科医は悩みながら日々診療してる

毎年、神経学会九州地方会が福岡で行われる3月に、 脳卒中診療を行う内科医があつまって、研究会を行っています。 今年は、九州の脳卒中診療の現状と課題を各県の先生方に話していただき、情報共有を行う形をとりました。 1. 各県とも、脳卒中診療が充実していない地域がある。 -- 県庁所在地から離れている、山間部(必然的に県境が多い)などでその傾向あり。 そこで発生した急性期脳卒中をどう診療するか。 ヘリコプター? 確かに、一つの方法だが、夜間や天候不良は運用できない。 そんなときは仕方ない、陸路で運ぶしかない。 2. 現状では、九州すべての地域で、均てん化された(どこの地域でも、同質の)脳卒中診療を提供できているとは到底言えない。 -- それならば集約化。 しかし、搬送手段の問題が生じる。 地域での足並みの揃い具合の問題もあり、各県ともに最も悩んでいる問題の一つ。 熊本や鹿児島は、組織的に、そして、現場の先生の継続的な努力で、現状の把握に取り組んでいました。 詰まった脳血管を再開通させるカテーテル治療。 集約化だけでは、カバーできない現実に、均てん化の要素も取り入れようとしている現状が見えてきました。 日本全国のデータ( RESCUE-Japan project )では、各県の脳血管内カテーテル治療の充実度の差を明らかにしたデータが提示されています。 しかし、各県の"中"での地域格差は示されていません。 九州から、各県内の脳卒中診療充実度の地域格差を出して、さらに地域に即した提言を行っていき、改善していくことは、住民の安心につながるはずです。 3. 脳卒中診療を行う内科医が、順調に増えているか、というとそうではない。これは各県で格差あり。 一部の県では危機的な状況にあります。 脳外科の先生方が頑張っているわけですが、脳外科の先生には手術を頑張ってほしい、と多くの人が思っていると思います。 脳梗塞の多くは手術が不要です。脳出血も手術になることは10−20%程度でしょう。 脳卒中診療は歴史的に脳神経外科の先生方が頑張ってきた歴史の上に成り立っています。 そろそろ内科、がんばらんばでしょう。 3. 基礎研究を脳卒中の領域で行っている内科医が限られている。 -- これは、脳卒中診療の忙しさが...

救急隊は勉強熱心なのです。

先日、救急搬送された患者さんの経過をフィードバックする会を大学病院で行いました。 なんと、32人も来ていただきました。 ただ、これが多いのかどうかはよくわかりませんが、 非番の日に、18時に、大学病院まで来て、仕事の話をする、という、苦行をこんな笑顔でできる、 そんな人達が32人もいる。 勉強熱心か、 どちらかというとMか、 ということなんだと思います。 ところで、なぜ、このような会を催すかというと、 ただ、集まって、 「一緒に頑張ろうね。」 と、再確認するためではありません。 それもありますが、それだけではただの仲良し集団です。と思います。 最終的な目標は、 「長崎の脳卒中診療をより良くする」 です。 漠然としていますが、これ以外ないでしょう、という感じ。 そのためにどうするか。 救急隊に現在の脳卒中診療の潮流を知ってもらい、脳卒中患者に対する観察、対応をアップデートしてもらうことが重要です。 しかし、更に重要な事。 それは長崎でまだまだ足りない、脳卒中診療を行う若い医師を育てること。 このことに関して、救急隊にも積極的に関与してもらいたいと思っています。 長崎全体で、脳卒中診療をする若い医師を育てたい。育ててもらいたい。 そのためには、より多くの患者さんを診療させていただくことが不可欠です。 まだまだ若い医師を育てる必要が有ること、 それを救急隊にも知ってほしいと思っています。 救急隊は、脳卒中患者だけでなく、ほかの内因性疾患、さらに外傷患者への初期対応、災害現場での対応、などやるべきことはたくさん。 脳卒中だけよろしく、というのは虫が良いことはわかっていますが、 でも、 今後も 「長崎の脳卒中診療をより良くする」 ために、 「一緒に頑張りましょう」

大事なのはサインじゃない、ちゃんと説明すること。

佐世保で行われた研究会で、演者の一人として参加しました。 佐世保の街は大きいです。道も広い。 長崎よりも発展している感じがします。 ただ、少し駅から遠くなると斜面地になるあたりは、長崎と同じ。 演者は3人。 佐世保総合医療センター脳神経外科の林先生から、「急性期脳梗塞に対する再開通療法の過去と現在」 私から、「Door-to-Needle時間短縮の鍵はチーム医療」 そして、最後に中村・平井・田邉法律事務所 田邉先生から、 「弁護医師が語る血栓と出血の法的リスクマネジメント」 非常に興味深い研究会でした。 林先生は、脳血管内治療のスペシャリストです。 2000年より前のデータも提示して話をしていただきました。 MerciからPenumbra, Solitaire, TREVO 急性期脳梗塞の再開通療法は、10年と言わず、この5年で大きく変貌しました。 林先生はそれを、身を持って経験されてきたからこそ、話に重みがありました。 田邉先生の話は、普段聞くことのない医療訴訟の話。  我々医師は、冷や汗をかいた経験は一度や二度ではありません。 正しいと思った処置、治療などが、必ず、良い結果に結びつくわけではありません。 合併用や副作用の確率は行為などにより様々ですが、”0”になることはありません。 「医療訴訟」は身近な問題でありながら、あまりにも知らない自分がいることに気付かされました。 医療訴訟は2004年をピークに少し減っていたが、最近増えている。2014年900件弱。 内科が1/4と多いですが、医師数に対する訴訟の数は、形成外科が最も多く、2番めは産婦人科です。 美容形成が要因。 一般的に、被告が出廷する普通の訴訟は原告が2/3勝訴します。 しかし、実は、医療訴訟は2割ぐらいしか原告が勝てません。 医療訴訟は人格訴訟といって、「訴えないと気がすまない。」という場合があることも影響しているそうです。 医療事故(刑事)。2012年93件、2015年43件。 病院からの届け出が最も多い。医師法21条。 しかし、実は、外表面に異常がなけれ...

脳梗塞治療最前線 @ 大阪

岸和田徳洲会病院脳神経外科松本先生にお招きいただき、お話をさせていただきました。 私以外に3人の先生がそれぞれ講演され、2時間30分近く(!) の時間、100人以上(!!)の皆さんが参加されました。 満員御礼 というか、入れないぐらいでした。 脳梗塞急性期治療をチームワークで乗り切るためにはどうすればいいかをそれぞれの先生が、それぞれの立場からお話しされていました。 まずは、大阪南医療センター 脳血管内科の尾原先生。 なぜ、脳梗塞診療を急がないといけないのか、チーム医療がどれだけ重要か、 わかりやすく、見やすいスライドで、 話していただきました。 同じ脳神経内科医、同じ志をもった者同士、これからもよろしくお願いします。 なんて、言ってもらいました。 カッコいいっす。 次は、りんくう総合医療センター 脳神経外科 出原先生 脳梗塞急性期再開通療法について。 実際の治療風景のビデオがあって、 それを見ていると、疑問が浮かんできました・・・。 脳血管内治療、もしかして一人でやってる? ・・・、そういうこともあるそうです。 いろいろ器具を工夫して、一人で完遂することも可能だそうです。 人が少なくてもやらなければいけない現場で、 工夫と努力で、乗り越えていらっしゃいました。 3番めは、大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学講座 西田先生 放射線科技師の方もいらっしゃっていたので、 脳梗塞急性期の画像撮影のポイントについて、 わかりやすくするのが難しい分野でしたが、非常にわかりやすく、まとめて、話をしていただきました。 脳梗塞急性期画像検査は、施設によって、MRI、CTどちらでも良いと思います。 ただ、海外と同じように造影CTをするのはなかなか難しいのではないか、とも思います。 クリーブランドクリニックでは少なくとも2011年当時は、造影CTは腎機能の確認なく、同意書無く、行っていたと思います。間違っていたらすいません。 日本人は体型が小さく、同じように造影剤をたくさん使っていると(造影剤の量は海外の人と違うのか、いまいちわかっていませんが)、危険かもしれません。 最後に、 私は長崎大学病院の取り組み、...

第4回九州脳卒中カンファランス

九州の脳卒中診療を行う脳神経内科医が、 毎年、年末の神経地方会の前日に集まって、症例報告や特別講演を拝聴する機会があります。 昨日、博多駅にほど近い、とあるビルで行われました。 佐賀大学医学部 神経内科 吉川先生から、ダニ咬傷からDIC、さらに脳梗塞をおこした内頸動脈閉塞の症例 は劇的に症状悪化をきたし、治療が困難でありました。 私達も経験しうる症例であり、注意が必要と思いました。 熊本市民病院の橋本先生からは、とても興味深い、片頭痛、脳梗塞、卵円孔開存、reversible vasoconstriction syndrome (RCVS)の関係について、話題提供を頂きました。 片頭痛は神経領域のcommon diseaseで、診療させていただく機会は多いです。 特に、前兆のある片頭痛は脳梗塞と関連することが示唆されています。 その片頭痛は卵円孔開存と関連することも言われています。 また、最近では、RCVSと卵円孔開存との関係も示唆されているそうです。 わからないことが多い、この領域。 解明すべきこと、興味深いこと、まだまだたくさん埋まっていることを教えていただきました。 一方、九州医療センター 脳血管・神経内科 徳永先生からは、 ありふれた脳梗塞でも、 その機序はありふれていない でも、見逃していることが多くあるかもしれない 頸部回旋による内頸動脈の移動に舌骨が関与し、 さらに血栓形成に寄与する という症例について、報告を頂きました。 頸部回旋と嚥下運動により内頸動脈が舌骨にあたる。 それにより内皮の障害が起こり 血栓形成が起こる。 ものすごくインパクトのある症例でした。 それに気づいた経緯が、すばらしかったです。 いつも深く考えながら臨床をしているからこそ、という感じでした。 すでに論文になっています。 しかも、症例報告でCirculation !! Tokunaga et al. Circulation 2015 Repetitive Artery-to-Artery Embolism Caused by Dynamic Movement of the Internal Carotid Artery and Mechanical Stimulation...

福岡で脳梗塞急性期治療研究会。

脳梗塞急性期治療、とくに脳血管内治療にfocusをあてた、pinpointな研究会にお呼びいただき、参加させていただきました。 九州医療センター脳血管内治療科長・医長、脳血管センター部副部長 津本智幸先生 ありがとうございました。 15時から18時30分まで。 皆さん研究熱心で、頭が下がります。 最初からdiscussion。 ホットです。 先生方のご意見をお聞きし、私の解釈を加えて記載します。 どうかご理解の程よろしくお願い致します。 Trevo 透視で見えやすい。 屈曲部も、比較的沿いやすい。 テクニックについて、 Push and Pushing (Fluff):Trevoを押していき、展開。そうすると曲がり角が密着しやすい。M2は怖いので、やらないほうが良い様子。 Solitaire Penumbraよりも治療時間が短くなった。 tip-less構造 使用できるMarksmanカテーテルが遠位部まで誘導しやすいカテーテル。 サイズが豊富 エビデンスが豊富 Penumbra 血管内皮の損傷が少ないはず。 テクニックいろいろ 5MAX ACEとSolitaire。一緒にOPTIMOに回収するか、5MAX ACEに回収するか。 4MAXは血栓の取りこぼしがある可能性。一緒にOPTIMOに回収すべき、かも。 3MAXは遠位病変に有効。 容易に上がるなら、MAX ACEごと(Stent Retrieverも一緒に)、OPTIMOに回収した方がいい。血栓がMAX ACEに入りきらない可能性がある。しかし、中大脳動脈の血栓を内頸動脈まで引いてきて回収するときに、前大脳動脈に取りこぼすことがあるかもしれない。Marksmanは抜いておく。 Immediate flow restrationがでるなら、ストラッドの外に血栓が付いている可能性が高い。できるだけ、OPTIMOに回収した方がいいかもしれない。 立石からは、長崎大学病院の脳梗塞急性期対応についてお話をさせていただきました。 脳神経内科医が、脳神経外科医や看護師などコメディカルスタッフとともに脳卒中診療を行っている現状につい...

NIHSSスコアなど勉強会 at 長崎みなとメディカルセンター市民病院

先日、長崎みなとメディカルセンター市民病院で、 市民病院にいる当科のスタッフとともに 看護師やリハビリテーションスタッフ向けの勉強会を開かせていただきました。 他の病院で、勉強会をさせて頂く理由は、 地域の脳卒中診療を充実させるため、 です。 現在、日本では、1,2分に1人、脳卒中を発症しています。 イマイチイメージが湧きませんが、「多い」ということはなんとなくわかります。 このような頻度の高い病気を、ある程度大きな医療圏において、一つの病院で見ていくことはほぼ不可能です。 いくつかの拠点病院が、「地域の脳卒中診療」を診療していく必要があります。 今回は、主に、National institute of Health stroke scale (NIHSS) スコアの、ポイントを抑えた取り方、についてでした。 私達、脳神経内科医のstrong pointは、診断能力です。 その武器が診察。 しかし、コメディカルスタッフにまで、同じレベルの診察は求めることはできません。 その落とし所がNIHSS スコアです。 その中で、重要なのは、頻度が多いながら、難しいと敬遠しがちな、 「失語」と「消去現象」 それを中心に、話をさせていただきました。 ●NIHSSスコアにおける失語の評価3つ 呼称(提示されたものがなにか答える。言葉が出なかったら選択させる) 復唱(単語、二語文、三語文) 指示に従えるか ●NIHSSスコアにおける消去の評価 線分二等分:聴診器などの真ん中をつまませる。 感覚無視:両腕を同時に刺激して、片方を認識できないか。 身体失認:患者自身の左手を患者の眼前に持ち上げ、「これは誰の手」か聞く。身体失認があると、「看護師さんの手」とか「先生の手」と言って、自分の手と認識できない。 模擬患者を診察。 時間の制限もあり、十分伝えることが出来ませんでした。 今後も、継続させて頂きたいと思っています。

ストップNO卒中プロジェクト エリア会議in長崎

脳神経内科から私が、抗血栓薬と脳出血の話をさせていただきました。 まだまだ、なかなか、聴衆を引き込むような話をできません。 反省して、次回に活かします。 次に脳神経外科の先生から。 脳血管の治療を、大学でメインでやっていらっしゃる先生です。 脳動脈瘤直達手術の歴史は近代脳神経外科の歴史。 脳動脈瘤クリップの歴史、手術顕微鏡の歴史。 面白かったです。 2006年Lancetに掲載されたISAT studyの結果で、破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血の治療は基本的にコイル塞栓術を優先して考えるようになった。 当院のデータで、症候性血管攣縮や水頭症に対するシャント術が減っているのは、 コイル塞栓術優先の治療が影響していることが考えられるかもしれない、 とのことでした。 患者さんにとっていいことですね。 ありがとうございました。勉強になりました。 今回のメインは、九州大学第二内科の吾郷先生。 先生の話をお聞きになりたいということで、多数の先生方にご参集頂きました。 一般臨床の話とミクロな話をFukuoka Stroke Resistoryの10000例近くの症例データをもとに話していただきました。 説得力があり、合点がいく話ばかり。 私が臨床現場でなんとなくしていて、深く考えていなかったことに思い至り、恥ずかしい気持ちになりました。 アスピリンはシクロオキシゲナーゼを阻害するので、血管内皮機能維持に働くPGI2を抑制してしまう。 それが出血につながるかも。 だったと思います。 もう一度勉強し直します。 吾郷先生、脳神経外科のお二方。 ありがとうございました。 脳神経内科スタッフも多数参加していただきました。 ありがとうございました。 地域の開業医、総合病院の先生方に多数ご参加いただきました。 ありがとうございました。 今、脳卒中センターを研修してくれている、研修医が、実家が吾郷先生とご近所さんということで、びっくりしました。 研究会等での出会いが、今後のつながりに発展していくこともあります。 でも、長崎でがんばってくださいね。

地域の病院で語る脳卒中

昨日、地域の病院で、その地域の開業医の先生方もご参集いただき、脳卒中の話をさせていただきました。 「急性期脳卒中診療を行うということ」 と題して話をさせていただきました。 それは、 急性期を含め、慢性期までの「死亡を減らす」ためであることとともに、 さらに大切なことは、 「要介護者を減らす」ということ。 介護保険において、要介護者となる人の大多数は脳卒中を患った人たちです。 患者さん自身も大変ですが、 国民医療費においても、上位にある脳血管疾患を減らすことは大きなインパクトがあります。 脳卒中になったら、リハビリテーションは大切です。 しかし、もっと大切(と信じています)なことは、急性期治療を行うことが出来る人に適切に治療を施すことだと思います。 最初が肝心。 だから、頑張っている。 つもりです。 開業医の先生から質問を頂きました。 「大学病院に紹介して、診断が間違っていても大丈夫か?」 脳卒中の診断は、専門外の先生方にとっては難しいですし、我々でも難しいことがあります。 オーバートリアージ 疑ったら、脳卒中と考えて対応し、検査を行って、脳卒中じゃなかったらしようがない。という対応。 救急隊は血糖測定ができないので、仕方ないのですが、脳卒中ホットラインを介して運ばれてきた脳卒中疑い患者さんが、実は低血糖だった。 ということは、比較的よくあります。 でも、仕方ないのです。 これからも、長崎の脳卒中診療をもっと良くするために、救急の現場で頑張っていく所存でございます。 チーム医療で。

ダビガトランの研究会。

一昨日はダビガトラン関連の研究会がありました。 ところで、Time in Therapeutic Range (TTR)について、知ってますか? TTRとは、ワルファリンがある一定期間のうち、有効なPT-INR値を示した期間の割合です。 ※ワルファリンとは抗血栓薬で、血液が固まりにくくなる薬。 採血でPT-INRという値を見ながら調節します。 簡単に言うと、TTR 60%ならば、 ある一定期間のうち60%の期間は有効なPT-INR値で、40%は有効なPT-INR値でなかった。 ということになります。 ・・・おそらく。 どうやって計算しているのか、気になっていたのですが、 ただ、計算ソフトに値を、「がさっ」と投入するだけ。 たぶん、計算はややこしいので、理系なのに文系男子な私は、計算の仕方なんて考えないことにしました。 最近の新規抗凝固薬のstudyでは、TTRはだいたい60%程度で良好です。 今回の研究会のメインである北松中央病院院長福井先生の話の中で興味深かったのは、 TTR < 40%の人は、ワルファリンを「内服していない」人よりも、塞栓症が多い。ということでした。 「飲んでりゃいいってもんじゃない」 長崎県内では? というのを、循環器病院でやっている現在のデータを教えていただきました。 総じて、良好なTTRでした。 非循環器内科医ではどうなのでしょう。 非循環器外来のTTRは・・・・、 27.4%!! さらに、TTR 0%(全く効いていない)40%にも昇る!! という、驚愕の事実が示されました。 ・・・。 ただ飲んでいるだけは、飲まないより、危ない。 長崎市民病院循環器内科の布廣先生からは、症例提示があり、どれも実臨床に沿った興味深い患者さんの話でした。 今後の診療に役立ちそうです。 私からは、当院に入院したの脳梗塞患者さんのうち、塞栓低リスク(CHADS2 score 0-1)患者さんの特徴をお話させていただきました。 病理解剖から左心耳の形が塞栓症と関連しているかもしれないと思うに至ったことも話題に挙げさせていただきました。

新規抗凝固薬の研究会。諫早で。アブレーションの話も。

アピキサバンの研究会が諫早であり、前座で話をさせていただきました。 メインは京都大学医学部附属病院 循環器内科 静田聡先生。 心房細動に対するアブレーション治療を年間300件以上されていらっしゃるというエキスパート。 翌日も朝からアブレーションがあるということで、会終了後に福岡まで戻られました。 お忙しい中、ありがとうございました。 アブレーションの適応は、動悸という自覚症状があって、たくさん薬を使っても、それが改善されない心房細動。 発症1年以内。 「発症」の定義が曖昧ですが、おそらく動悸を自覚してからということだと思います。 そこを静田先生は5年はいける、と考えているそうです。 また、適応となる左房径は50-60mm以下だということは初めて知りました。 あまり左房が大きくなっていると再起不能。 心房細動の起源は肺静脈内心筋。 そこを隔離するために(電気刺激が伝播しないために)、肺静脈の出口を焼く(アブレーションする)。 肺静脈隔離アブレーション。 焼き過ぎたら、穴があく。 心タンポナーデ(心臓の表面に出血) 裏にある食道を損傷することもある。 7割5分はうまくいく。それ以外は不十分で再施行することがある。 アブレーション後の抗凝固は? コンセンサスは無さそう。 本人と相談だそうです。 アブレーションで焼いたところは傷になっているので、 やはり抗凝固薬は必要ではないでしょうか? 私の話は、「脳卒中診療医が直面する抗血栓薬の光と影」と題して話をさせていただきました。 「光」は、新規抗凝固薬への期待。特に安全面について。 それはワルファリンよりも出血が少ないということ。 「影」は心房細動患者が冠動脈ステント治療をした場合、抗血栓療法をどうするか?ということ。 抗血栓薬たくさんは出血のリスクが上がります。 例えば、ワーファリンと抗血小板薬1剤内服している人が脳出血を起こすと6割が死亡。8割が寝たきりになります。 これは当院のデータです。 脳卒中診療医は脳出血と脳梗塞のどちらもみるので、抗血栓薬の怖さを他の診療科の先生方よりは知っています。 我々脳卒中診療医が、この怖さを他の診療科の先生方にお伝えすべきだと思います。

”末梢”血管障害っていうけど,癌より悪いやつかも

今日は,Nagasaki Vascular Forum -アテローム血栓症 (ATIS) に挑む- と銘打った研究会がありました. 北関東循環器病院 血管病センター長の熊倉先生と,虎の門病院 脳神経血管内治療科の松丸先生のご講演を拝聴しました. と,言いたいところですが,自分の患者さんの件で病院に戻ってしまい,熊倉先生のお話を2,30分聴いたのみでした. 残念. でも,その2,30分でも勉強になりました. たくさんの自前のデータでお話をされており,説得力がありました. その内容を少々. 私の書きとりなので,間違いがありえます. その点をご理解ください. 末梢血管障害の5年生存率は60%. 重症虚血肢は最初の1年で1/4が死亡. と言っていたように聞こえました. 危険な病態です. Obesity Paradox Body Mass Index: BMI (体重kg÷身長m×身長m)が18.5未満は予後が悪い. Lancet 2009にも海外の報告があり,BMI 24をそこにして,Jカーブ現象あり. Lancet 2009. Body-mass index and cause-specific mortality in 900 000 adults: collaborative analyses of 57 prospective studies 末梢血管障害 Peripheral Artery Disease: PADの性差 男性が女性の4倍多い. 男性は近位部の閉塞.女性はひざ下の動脈閉塞が多い. 男性は間欠性跛行で発症することが多い.女性は重症虚血肢で発症することが多い. ※間欠性跛行:歩いていると足,とくにふくらはぎがつったように痛くなり,休み休みでないと歩けないこと. 発症する女性は重症なことが多い. そもそも間欠性跛行と重症虚血肢は違う病態? 間欠性跛行が重症虚血肢に移行するのは5-10%/年と意外と少ない. 重症虚血肢と関連するのは,女性,糖尿病,低HDL-C,そしてBNP. BNPが明らかな高く,心収縮低下などと関連するのでしょうか? 間欠性跛行と重症虚血肢が違う病態かもしれないという,その発想はありませんでした. なんでもデータを出...

PM10のこと.PM2.5じゃないです.

昨日は,脳卒中地域医療連携プロジェクトの研究会がありました. 長崎県歯科医師会,理事でよしだ歯科院長の吉田敏先生 九州大学大学院医学研究院 病態機能内科学,いわゆる第二内科教授の北園孝成先生 のお二人からのご講演を拝聴しました. 仕事の都合で吉田先生のお話を拝聴することはできませんでした. 参加されていた看護師やリハスタッフには特に興味深いお話だったことと思います. 北園先生の話は,私の脳髄に響きました. 「得られた臨床研究の結果を,基礎研究で解明し,また臨床に反映させる」,という基本的だけど,難しくて大変なことを,淡々とした口調で,淡々と,次々とこなしている,筋の通った強さを感じました. PM (particulate matter)10レベルの黄砂が脳梗塞と関係している!? 答えは「yesかも」.ということでした. 実は,先日,当院のある医師から私に質問があって, ある先生「黄砂と脳梗塞って関係があるんですか?」 私「ふふ,眉つばですな」 ・・・すいません. 北園先生の話聞いて, 「むむ・・,眉つばは自分じゃん」 データが示しています. でもPM2.5のデータじゃないので悪しからず. PM2.5の方が小さい粒子ってことらしいです. 北園先生も取材の依頼などがあるそうで,「PM 2.5のデータは持ってない」と言ってもあまり理解していただけないようで,困っていらっしゃいました. PM 10の黄砂がくると,アテローム血栓性脳脳梗塞(動脈硬化により血管が細くなって起こる脳梗塞)が有意に増える. PM 10が肺に入ると,マクロファージが食べて,炎症のカスケードが始まるそうです.それが,動脈硬化病変の血管内皮に影響し,プラークの進展悪化が起こる. と,基礎研究データを絡めてご説明いただきました. 臨床データの正当性を,基礎データで検証する. それが臨床医には大切だ. そんなことを再確認させていただいた夜でした.

開業医の先生は大変だ

昨日は,県医師会救急医療研修会で,開業医の先生方や地域の中核病院の先生方に,恐れ多くも講演させていただきました. 14時から17時までぶっつづけ. 私の持ち時間は16時から17時までの1時間. もう,大変. 講習を受けないと,何かポイント的なものが足りなくなってしまうのでしょうか? 3時間もだまって人の話きくなんて,しかも自分の専門外の話で, もう,大変大変. 本当におつかれさまでした. 何か一つでも開業医の先生方の明日からの診療にプラスとなるような話を,と準備してきたつもりでしたが,どうだったかはわかりません. 脳卒中を認識する 脳卒中を予防する の二本立てで話をさせていただきました. 脳梗塞の急性期治療がどんどん進んでいる現在. 発症から治療までに行きつけるか,さらにどれだけ早くいきつけるか. それが重要です. 脳卒中をいかにちゃんと認識できるかが重要になります. 脳卒中が発症してから治療に至るまでの律側段階は,「発症して,家族が認識して,救急車を呼ぶ」という部分です.これを短くするには,脳卒中の症状を認識しなければなりません. 普通の人が. そこで,世界や日本では ACT FAST なんて言うのを使って啓蒙していますが,すぐにイメージできますか? F: Face 顔面半分が突然ゆがむ A: Arm 片腕が突然上がらなくなる S: Speech 言葉が突然話せなくなる,理解できなくなる T: Time 即救急車 高齢者の方が覚えられるとは到底思えない. 私が,推奨しているのは 「ことば,かお,うで」 長崎弁ならば続けて言うと言いやすい. 「琴ば,買おうで」 この3つの症状のうち1つでもあれば脳卒中の可能性が高いのですぐに救急車を呼んでください. という話をしています,という話をしました. 他にも,いろいろ. 「ことば,かお,うで」 ちゃんと広まるかなぁ.

昨晩の研究会

昨晩はダビガトラン会社主催の研究会. 大学病院循環器内科教授前村先生が座長で,講演は脳神経外科教授永田先生. 「心原性脳塞栓症における脳外科の役割」 その後,私は「ワルファリンの問題点」と題して, 虹が丘病院迫先生はダビガトランの使用経験, そして,原爆病院芦澤先生は,患者さんにダビガトランの説明をして,ダビガトラン内服を開始するかワルファリンのままか,それぞれを選択した患者さんの背景を話されました. 自分の話. ワルファリンと相互作用を示す薬.こんなにたくさんあったんですね.すべては知りませんでした. 今回困ったのは,ロスバスタチン(クレストール)かベンズプロマロン(ユリノーム)の影響でPT-INRが急激に上がったこと. 内科医たるもの,薬を使う者たるもの,知っとかんばいかんことです. お恥ずかしい限り. ところで,長崎の人って,あんまりお金をまあまあ持っている人はいない,と私は思っています. 新規抗凝固薬. 値段が高いです. 月に,3割負担で5000円弱,1割負担で2000円弱. ワルファリン 月に,3割負担で300円弱,1割負担で100円弱. こんな話を,脳梗塞になった当院入院中の患者さんにすると, 今までワルファリンを内服していた人は, 「今までのままでいいです」 と言う人が結構います. 今までワルファリンを内服していなかった人も, 「今回はワルファリンでいいです」 と言う人が結構います. 他の病院では結構すんなり,ダビガトランを処方しているようでした. 大学病院に来る患者さんの背景がちがうのかな? 確かに原爆病院を受診する人は「原爆手帳」を持っている人が多いようですが. 話題になったこと. 心房細動を有する患者さんにおけるステント留置後の抗血栓療法. このブログでも先日,話題にしました. triple, mono mono, dual どれにする? tripleは出血のリスクが高くて,こわいです. 循環器内科の中でもしっかりとしたコンセンサスはないように,昨日の会では思いました. 先日,このブログをある有...