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The Mt. Fuji workshop on cerebrovascular disease

今日は大阪で学会でした。

研修医の先生に発表してもらいました。

今学会のテーマは 「妊娠分娩と脳卒中」 。

レアだなぁ~と,侮っちゃいけません。

とても面白かったです。

また,「なぜ,Mt Fuji?」というつっこみも不要です.

知りません.


他領域のテーマが混じるとこんなにも面白くなるんだなぁと勉強になりました。

うちの研修医の発表は、反省点もあったけど、たんたんと発表をすすめて、1発表1テーマでわかりやすかったと思います。聞きやすかったです。

さて,今回は,都合により1セッションのみの参加となりました.

でも内容が濃かったです.

静脈洞血栓症は初期と産褥期におおい
D-dimer は後期に向けて上昇して行く。

どうしてか?どうせならD-dimerも初期と産褥期に多くあってほしい・・・.なにか,別の因子が関連する?ホルモン?

ワーファリンは15週から使っていい。弁置換術後の患者 。
でも,2012年1月1日から高リスク妊婦にはヘパリン皮下注が保険適応になった.

ワーファリンの催奇形性(思ったほど多くない?5mg以下ではまれ?)を考慮するとへパリンの方が安全ですかね.

プロテインS欠乏症も原因になりうる。しかし,妊娠時は低値になるので,出産後しばらくしてからも採血して評価が必要.

もちろん,アンチトロンビンⅢ欠損症も注意.

分娩後脳アンギオパチーは血管攣縮をきたす。まれ。血圧正常のことも。激しい頭痛。
Reversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS) 一部。

注意すべき点は,「産婦人科からみると、頭痛少ない。痙攣、意識障害がおおい。」印象があること.

一つの疾患にも,いろいろな側面があることのいい例.

RCVSは頭痛が起こってから1週間ぐらいで血管攣縮、虚血。虚血をきたした時には頭痛がないことがある。
最近のStroke誌にも載っている。


分娩後脳アンギオパチー.

脳梗塞やら脳出血,reversible vasogenic edema,多様な臨床像を呈し,今まで思っていたほどは予後はよくないとのこと.

当院脳神経外科 H先生から,当院の過去の報告を拝聴しました.

くも膜下出血3例
1例破裂脳動脈瘤あり。
1例:4年後動脈瘤検出。検査,治療拒否.10年後大きくなっていてクリッピング術
1例:24週。内頸動脈遠位端のdissection? spasm? 数日後、広範な脳梗塞。

出血:脳動静脈奇形から.

1例:posterior reversible encephalopathy syndrome.


今回,産婦人科の先生も参加されていて,非常に勉強になりました.

避妊薬と血栓症の関係も言われていて,血管にホルモンが影響していることが示唆されています.

この関連の論文も最近NEJMにあったので,見直してみます.

うちの研修医の発表の後に質問をいただきました.
リザトリプタンは片頭痛性脳梗塞予防に良いのでは?

答えは"no"です.

血管収縮作用があるので,だめでした.




乗車券を無くした人。
でも,よい発表でしたよ.質問に対する答え方は,また勉強.

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