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ダビガトランの中和剤。アメリカFDAが認可

Non vitamin K antagonist oral anticoagulant: NOACの中で最初に上市されたダビガトランに対する中和剤(イダルシズマブ:Idarucizumab (Praxbind))が、アメリカFDAに認可されました。

FDA approves Praxbind, the first reversal agent for the anticoagulant Pradaxa

認可された根拠となった研究は2つ。

283人の健康な人にダビガトランを内服してもらい、イダルシズマブを投与。

少なくとも24時間以内に抗凝固作用が消失。

the RE-VERSE AD trial.
123人のダビガトラン内服患者。
コントロール不能な出血や緊急手術のためにイダルシズマブ投与。

89%の患者は4時間以内にダビガトランの抗凝固効果消失。

副作用は、低カリウム血症、混乱、便秘、発熱、肺炎。

ただし、製品のラベルには

「可能なかぎり早期に抗凝固療法を再開すること」

と記載。

この中和剤が必要になる患者はそこまで多くないかもしれません。

なぜなら、ほとんどの症例は、対症療法で対処可能。

しかし、生命の危機に瀕するような出血には、常に

止血対応

抗凝固剤効果の中和

出血源への対応

が重要。

ダビガトラン内服患者では、腎機能が悪化している状態での内服(何らかの拍子での急性腎不全や年齢とともに徐々に悪化した腎不全など)が、出血性合併症を引き起こす可能性があり、そういう時にイダルシズマブは重要でしょう。

NOACが使えるようになって、10年、20年となると、内服継続している患者も10年、20年となってきます。

加齢に伴う腎機能の悪化。

NOAC内服患者において、特に注意が必要です。

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