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International Stroke Conference 2015, Feb. 11 ナッシュビル

MR CLEAN (MR CLEAN 脳血管内治療の有用性)の後に続くESCAPE, EXTEND-IA, SWIFT-PRIME studyにおいて、

ステント型血栓回収デバイスを使った急性期脳血管内治療(ほとんどはtPA静注療法併用)は、tPA静注療法単独またはstandard therapyよりも、明らかに良い結果が得られることがわかりました。

例えば、EXTEND -IA trial (Solitaire FR使用) では

24時間後の再開通が100%vs 37%,p<0.001、

90日後のmRS 0-2(症状なし - 症状多少で、完全自立) が71% vs 40%, p=0.01

でした。

ESCAPE trialも似たようなデザインで行われた研究です。

発症12時間以内の患者が対象。CT perfusion and CT angiography.

90日後mRS 0 - 2は 53% vs 29%, p<0.001

90日後死亡も少なかった (10.4% vs 19.0%, p=0.04)。

ここもポイント。

発症から治療開始までの時間が早かったのが勝因の一つ。

7日前に途中でストップしたSWIFT PRIME trialも

90日後mRS 0 - 2は60.2% vs 35.5%, でした。

Numbers needed to treat (NNT) は3-4。
(=1人にその有効性を示すためには3 - 4人への治療が必要)

「This is not just about technology. It will take some time to get thr workflow and teams optimized」

器具の進歩もさることながら、チーム医療が重要。的な。

2013年のInternational stroke conference。

その時の発表会場では、脳卒中診療医達の自嘲的な笑いが耳に残ったいわゆるワイキキショック。

脳血管内治療の優位性を示せなかった。

2015年のInternational stroke conference では器具とチームワークの進歩によりより早い再開通が得られたことも関与して、脳血管内治療の優位性を示すことができました。

今年は安堵の拍手が会場に鳴り響きました。

よかったなぁなんて気分で会場を出たところで、クリーブランドのボスに会いました。

「うーん、じゃぁ、次の急性期脳梗塞の臨床研究テーマはどうしたらいいだろう」

・・・・

いやー、その発想はありませんでした。

優れている人は一般人の先を行くのが世の常。

刺激をもらいました。

もちろん今はno ideaです。

考え続けます。

昼はクリーブランドのスタッフ達のマシンガントークを聞きながら、肉を食べ、

夜は脳外科の先生の差配で北海道、新潟、京都の有名な先生方と若手の優秀な先生とご一緒させていただき、肉を食べ、

がんばろー、と思った夜でした。

コメント

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