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Journal of the Neurological Scienceに論文が掲載されました。

tPA静注療法患者において、発症から1週間後ぐらいの虚血巣体積が、90日後の予後を予測する。

って言う論文が

Journal of the Neurological Science に掲載されます。

Tateishi et al. JNS 2016 Subacute lesion volume as a potential prognostic biomarker for acute ischemic stroke after intravenous thrombolysis

来院時の虚血巣体積も重要だけど、最初の数日で、再発したり、虚血巣が増大したりします。

つまり、症状も悪化することがある。

ということで、

『1週間後ぐらいの虚血巣体積が、90日後の予後を予測するのにちょうどいいのでは?」

と考えて、研究してみました。

そうすると、やはり、来院時の虚血巣体積よりも、よく予後を予測していました。

カットオフ値は以下のとおりでした。

90日後mRS 0-1は15ml以下
90日後mRS 4-6は30ml以上
90日後mRS 6 (死亡)は100ml以上

きりがよくて、わかりやすい感じ。

患者説明に使えるかもしれません。

これは、すでに、tPA静注療法を施行した患者に限らず、「脳梗塞患者」で調べている研究があって、
Tourdias et al. AJNR 2011. Final cerebral infarct volume is predictable by MR imaging at 1 week.


それをconfirm (確認する)した形になります。

最初は、「自分は新しい発見をした」的な感じに思っていましたが、

査読者から2回査読を受けて、指摘を受けて、納得しました。

よく読んで、ちゃんと査読していただいて感謝です。

勉強になりました。

臨床研究の論文は、まさしく臨床の現場で要られた情報をもとに、書き上げられています。

日々の診療の積み重ねです。

つまり、診療させていただいた患者さん、共著者の先生方、看護師、検査技師、薬剤師MSW、病院事務、救急隊、

すべてのみなさんのおかげです。

臨床論文を書くということは、

自分たちのチーム力を世に示す、

という側面もあります。

それもモチベーションになったりします。

ありがとうございました。


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