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雲行きが怪しいぞ.機械弁へのダビガトラン.

機械弁を有する患者へのダビガトランの有効性を検討する第2相試験RE-ALIGN trialが途中で止まったそうです.

第2相試験は,有効と思われる量を決めるために少数の患者さんで検討する段階です.その後,第3相,第4相につながっていく重要なところ.

Study designはこちら

RE-ALIGN trial 概要

対象:
18-75歳.僧帽弁または大動脈弁の機械弁置換術後で入院中,もしくは僧帽弁機械弁置換術後3か月以上経っている.

方法:
ダビガトラン処方初期量はCCRから算出して,その後はダビガトランの血中濃度が50ng/ml以上になるように調節.その範囲は150mg1日2回~300mg1日2回(300mg/day~600mg/dayってこと.多いなぁ).
open label

対照:
ワルファリン内服


中断したというニュース内容はこちら.見れなかったらごめんなさい.

FDA Issues Pradaxa Valve Warning

RE-ALIGN trailが中断されたのは,

脳卒中,心筋梗塞,弁への血栓形成がワルファリン患者よりダビガトラン患者で多かったから.

また,ダビガトラン患者では,弁置換術後の出血がワルファリン患者よりも多い.

もちろん,ダビガトランは生体弁の時に,使っちゃだめです.勧められていません.


なんだか,新規抗凝固薬の雲行きが怪しくなってきたなぁと思うのは私だけ?

RE-ALIGN trialはやりなおすのでしょうか?




機械弁:人工のもので作られている.耐久性があるが,血の塊がついてしますので,抗凝固薬の内服が必須.

生体弁:ウシ,だったかの心臓の膜を使って作ったもの.耐久性は機械弁に劣るが,血の塊がつきにくいので,抗凝固薬は最初の3-6か月のみでよい.

生体弁と抗凝固薬の継続期間の話はこちらを参照.

生体弁術後のワルファリン.3か月?6か月?それ以上?

コメント

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