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緊急血管内治療

昨日は,日曜日.

脳梗塞急性期患者さんがいらっしゃって,カテーテルを使った血管内治療を行いました.

今日の話題は,カテーテル治療ではなくて,

「オンコール」のこと.

「オンコール」とは,自宅待機のことで,急患が来たときに,特別な治療が必要だとか,急患がたくさん来た,とかいうときに,当直の先生が「オンコール」の先生にコールして,病院に駆けつけるシステムです.

昨日も,脳外科の先生が3人駆けつけて,血管内治療を一緒に頑張りました.

「オンコール」はシステムになっている場合と,なっていない場合があって,圧倒的に後者が多いです.

つまり,そのオンコールの先生の専門治療が必要な患者が来たら,365日いつでも(夏休みとか冬休み以外)呼ばれるということです.

外科の場合が多いです.

これって,ふつうに考えると結構つらいのです.

お休みの日は車で買い物にも行きますし,映画にも行くでしょう.子どもと約束をしてやっと一緒に遊べていたりするかもしれません.

でも,コールがあれば行かなければなりません.

出かけるときは,大泣きされます.

このシステム,やってられない.と,医師が放り出すかと言うと,そんなことはないから続いています.

なぜか.

一つは医師の倫理観.

ちょっとも手を抜かない.

もう一つは,医師自身の問題.スキルアップ”欲”.

手術のことが多いです.

患者さんを治療(手術)すればするほど,スキルアップするのは間違いありません.

だから,大変だと思いつつも,呼ばれれば駆けつけてしまう.

駆けつけないといけないのですけど.

医者って大変だ.

他の仕事でも,そういうことあるかもしれませんが.


緊急の患者がたくさん来る病院に,たくさん医師を配置すればいい.

そうすれば,医師同士で分担することができる.

それがいいと思います.

しかし,現状はそうではありません.

総合病院が散在し,各病院に専門医師が配属されて,患者さんもバラけてしまいます.

そうなると,各病院で少ない専門医師が常に臨戦態勢を整えていて,いざ専門的緊急治療の必要な患者が来ると,みんなが集まるのです.

病院がバラけているから,そんな患者が次から次に来るわけではないので,一つの症例を逃すと,貴重な経験の機会を逃してしまうことになるから,駆けつけざるを得ない.

多くの問題が横たわっています.

ただ,その問題にかかっている,いろんなものを取り除けば,解決策は一つしかありません.

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