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MRIの機械

当院にはMRIが3台あります.

機能を”テスラ”で表現します.数字が増えれば増えるほど,いい性能ということです.

1.5テスラが2台,3Tが2台.

1.5テスラ1台と3テスラ1台は救急外来や入院病棟から遠いところの地下にあります.

もう1台の1.5テスラは救急外来や入院病棟に近いところにあります.近いというか,救急外来の目と鼻の先です.

脳梗塞急性期診療は時間との闘いです.

脳は非常にナイーブな臓器です.血流がなくなると3~6時間で脳細胞は死んでしまいます.

したがって,脳梗塞急性期は1分1秒も無駄にできず,どれだけ早く,再灌流療法ができるかがポイントになります.

MRIは脳梗塞診療において,とても重要です.体内に金属がないことが確認された脳梗塞患者さんはよっぽどのことがない限り全員頭部MRI検査を行います.

以上のことから,MRIの機械は救急外来から近ければ近いほどいいわけです.

しかし,当院の急性期脳梗塞患者では,この写真の救急外来に近いMRIではなく,遠い地下のMRIを使用しています.

このSIEMENS MRIの欠点は,患者さんが横になる部分(ガントリー)が着脱できないことです.この部屋の中は,磁場がすごいので金属禁です.したがって,脳梗塞患者さんが乗って移動するストレッチャーベッドは中に入れません.となると,どうやってこのガントリーに移す?という話になります.

MRI専用のストレッチャーベッドを介して,ガントリーに乗り移る方法はありますが,煩雑で,夜間帯とかに問題が起きそうです.

ということで,毎回毎回遠い地下のMRIまで,患者さんを連れていっています.時間がもったいないけど仕方がないです.

何やってんだよSIEMENSと思っていたら,最近ガントリー着脱可能な3テスラMRIがSIEMENSから出たそうです.

うーん,うちも欲しいなぁ.


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